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Channel: 美容外科開業医の独り言
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シミ取り:フォト(光)治療とレーザー治療の違い

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よく聞かれる質問に、シミ取りレーザーとフォト(光)治療の何が違うのかというものがあります。

フォトとはフォトフェイシャル、フォトセラピー(ICON)、フォトRF(オーロラ)、フォトシルクなど顔全体に光を照射する方法で、シミなどの肌の色むら、肌の張りなどを改善します。

光といえばレーザーも同じく光です。シミ取りのレーザーはQスイッチルビーやアレキサンドライトレーザーですが、照射後にかさぶたの保護も必要だし、シミのみが対象だし、ピンポイントでの治療となるので、だったらフォトの方が良いのでは?と聞かれることもしばしば。

例えて言うならフォトはカメラのフラッシュ、シミ取りレーザーは夜のレーザーショーなどで真すぐに進む単色の光(厳密にはもっと色々条件はあります)。
フラッシュとレーザービームとどちらが強いのか・遠くまで届くのか、どちらが周囲まで広がるのかを考えれば分かると思います。
フォト(光)治療に用いる光の波長は単一ではなくかなり幅広いものです。黄色からオレンジ、赤色などを含んでいます。
レーザーの光はほぼ単一の色(縦モードなど細かい話は専門的ゆえ割愛)。
メラニンや血管などにはそれぞれ吸収しやすい色の光がありますので、フォトは万遍なく肌に吸収され、レーザーは選択的に吸収されます。

そして何よりその強さです。フォトと比較するとシミ取りのQスイッチレーザーは照射時間が短く、かつ光自体が増幅されています。ぼわっと焼くフォトとバチッと油がはねたように瞬時に焼くレーザーといったところでしょうか。
そのためフォトでシミを徹底的に取り去ることはなかなか難しいとされています。
薄いシミでは効果の差は歴然です。

つまり、レーザーはシミを根こそぎ破壊しますが、フォトはシミを焦がして剥がすものです。
シミの再発ということに関して言えば、もちろんその後の管理や加齢によって再発はありますが、レーザーは1度きちんと取ることになりますので、再発したらまた治療を考えるものであり、フォトは定期的に実施をすることで良い状態を保つものです(もちろん限度があり、やり過ぎ危険です)。

しかし顔全体をきちんと管理するということでは、レーザーでは難しく、フォトでトータルに実施をする事の方が優れています。

但し、最近ではこれを何とか解決しようと、各メーカーも工夫をしています。
フォトの場合は出力を上げ、出す色のレンジ(波長域)を狭めて、短い時間で照射することによってレーザーに近づけます。但し、あくまでレーザー光線は増幅された特殊な光(誘導放出の光)であって、Qスイッチレーザーはナノ秒単位で発振。それと比較すると、フォトはミリ秒単位ですから、ミリ、マイクロ、ミリ秒という単位の違い、つまり1000x1000倍も照射時間が違います。
一方のレーザーもミリ秒単位で発振するレーザーがあります。脱毛に用いられます。これを利用して、大きな径で顔全体に照射するレーザーフェイシャルという手法があります。切れ味はフォトとあまり変わらなくなりますが、単一の色で吸収率の関係上、赤みなどには効果が劣りますし、表面を冷却ガスなどでしっかり保護しないとヤケドになります。つまりあえて表面の反応を抑えることになります。

結局はシミ取りのQスイッチレーザーとフォト(光)治療器の両方が必要となります。






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