ここ1~2年、ヒアルロン酸などの注入剤に関して国内外のセミナーに参加すると、注入に関する考え方が大きく変化してきたことが分かります。
最初の頃は線状のしわを持ち上げるという考え、その後溝を埋めて持ち上げるという考え、そして近年は加齢によって減少したボリュームを補う考えへと発展してきました。
さらには、ただボリュームを増やすだけでは顔がパンパンになる人・不自然な人もいるために、解剖学的な加齢性変化を骨や脂肪などの各層ごとに理解し、必要な部位に必要最小限のボリュームを補い、かつリフトアップさせていく手法へと進化してきています。
ただ単にくぼみを埋めて、顔が腫れぼったくなるような注入法は、特有の「ヒアル顔」などと揶揄されます。皮膚や浅い脂肪層は加齢とともに下垂、量も余ってきますが、それと反対に顔の骨や深い部分の脂肪などは萎縮します。内部の萎縮分膨らませるのは自然ですが、余っている皮膚がパンと膨らむまで注入してしまうと、若い頃よりも顔は大きくなるのは必然のことです。実際に内部の萎縮がどうなっているかを診察の上で判断しそれに合った量を注入、また下垂した浅い層の脂肪や皮膚は注入剤のリフトアップ効果を用いて、膨らませるよりも持ち上げるようにしていきます。そうなると自然な若返り効果が得られるのです。
僅かのシワにこだわって膨らませすぎるのではなく、自然に見える範囲内で、というのが重要です。それ以上は機器や糸などを上手く用いて皮膚を引き締める、引き上げるようにした方が断然良い結果になります。
これらの施術ができるような注入技術がますます問われる時代であり、また機器だけ用いていては理解できない顔面の複雑な構造への解剖学的知識も求められてきました。
形成外科医は顔の深部までの構造を理解していることが殆どです。どんなベテランであっても手術の直前まで顔の解剖図を眺め、血管や神経の走行などを頭に叩き込みます。顔の構造は微細であり、わずか数ミリの違いで大きなリスクを生じますので、手術においては準備に余念がないのです。時には生後数ヶ月の小児の顔を修復することもあります。
このような経験を元に形成外科専門医は注入剤の治療を実施しています。
しかし形成外科医だからと言って注入が上手いというわけではありません。美容外科イコール形成外科ではないので、経験も必要ですし、施術における考え方、理論を勉強もしなければなりません。
常に勉強。。。。。
特に最近の注入手技に関しては、各ヒアルロン酸メーカーごとの違いや厚生労働省の承認有無などによる違い(適応症など)もあり、またそれぞれの特性もあるので、当院でも10種類以上のヒアルロン酸等の注入剤を使い分けています。
部位や用途に応じた最適な硬さのものを複数使い、局所の溝を埋めつつも引き上げ効果を出し、骨の上から皮膚直下、皮膚内まで注入層を変えて実施となると、たった1本・1種類のヒアルロン酸では結果は出せません。ただ費用もかかりますし、前述したような皮膚の引き締めや引き上げ効果を得てたるみを解決するために、コンビネーションリフトという手法を提案し、注入剤、糸、機器の治療を、特に注入剤に関しては本数にあまりこだわらずに定額で実施をしていました。
しかし注入剤単独でもある程度の結果が出せるのは事実であり、皮膚の引き締めや局所の引き上げはさほど求めない方もいます。そのため注入剤単独に関して、費用設定の見直しを致しました。
2~4本程度を使用して全体に施術していく場合の治療費の設定を作りました。
2~4本で12~18万円(+消費税)となります。実際に使用する本数などは診察の上で決定、相談致します。
もちろん変わらず、1本での治療(ほうれい線や目の下など局所)も実施をしております。
それに合わせて、クリニックホームページ内容も書き換えております。
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ヒアルロン酸注入に関するお知らせ
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