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Channel: 美容外科開業医の独り言
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ピコレーザーの可能性〜第3の波長の登場〜

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先週末はレーザー会社のセミナー講演。2週続けての大阪でした。相変わらずバタバタと過ごしています。

 

今回の講演はキュテラ社のピコ秒レーザーenLIGHTenの新波長(670 nm)の有効性について、少し前に募集した学術モニター試験のデータを踏まえてお話しをさせて頂きました。

座長は近大奈良病院の山田秀和先生、演者は他に真弓愛メディカル美容皮膚科・皮膚科の真弓愛先生、札幌中央クリニックの岡橋怜先生。

岡橋先生は私の大学の17年後輩。何だか嬉しく思いつつ講演を拝聴しました。

 

さて、

ピコ秒レーザーは入れ墨除去には絶対的な効果が証明され、私自身は手術で切り取ることは殆どなくなりました。手術後の傷・瘢痕が治まるまでの期間よりもレーザーを照射・終了する期間の方が短くなり、結果も綺麗になりました。

ただピコ秒レーザーでも、多彩な色調全てに対応ができずカラータトゥーは難しいと考えられていましたが、各社様々な波長(色で言うところの補色関係の光)を出せるようになり、この問題も解決されました。深く彫られたタトゥーでもきちんと反応します。もはや手術をする意味が殆どありません。

唯一、入れ墨を入れる時に皮膚が盛り上がって(かなり濃い色)、傷跡が生じていると予期されるような場合に、色は抜けても傷跡までは消せませんから、少し輪郭が追えてしまう場合、そのあとにフラクショナルレーザー等が必要になることがあるというくらいです。

Qスイッチレーザーのみでの入れ墨治療は、時代遅れで、患者様の苦痛を強いるだけです。回数も2〜4倍かかりますし、取れない濃さ、色もあります。厳しい言い方をすれば、Qスイッチレーザーのみで入れ墨治療はするべきではない時代です(専門的には初回などに用いる意義はあります)。

 

そして薄いシミもピコ秒レーザーは効果的です。これに関してはQスイッチレーザー(ルビーやアレキサンドライト)の出番も多々あり、良い点もあるので使い分けが大事です。

 

一方、シミなどに対する顔全体の治療は,トーニングという手法を除けば、レーザーフェイシャルやIPL・フォトフェイシャル,ジェネシスに比べてピコ秒レーザーは劣る部分もありました。サイノシュア社のピコシュアーによるピコチューニングという手法が全顔治療できる方法ですが、他社の機器では波長の制限から上手くいきませんでした。

ここで新しい波長が各社から登場し、その構図は崩れようとしています。キュテラ社の670 nmレッドレーザー、シネロンキャンデラ社の785 nmチタンサファイヤレーザーです。

幸運なことに私は、アジアで最初に両方の機器を使わせて頂いた医師になりました。

670 nmは既にデータも8割方出来上がり、その有効性が確認できました。

チタンサファイヤは今テストの真っ最中。まだ詳細は言えませんが、秘密の手法を用いると全顔で非常に良い結果が出るようです。これは安全性と有効性が確認できたら、近日中にモニター試験をする予定です。

 

演者の先生方、本社の製品開発部Jamesと(岡橋先生とは残念ながら一緒に撮れず)。

 

おっと、私が編著の新しい医学書籍のことを詳しく書こうと思ったのですが、また次回に。。。。

 

 

 

 


自身が編集・執筆した医学書が発刊されました(遅ればせながらのご報告)

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私が執筆・編集した医師向け書籍が先月発刊されました。

「Non-Surgical 美容医療超実践講座」という題名で、美容医療を一から学び、そして応用するための書籍です。

あくまで医師向けで一般向けではありません。

 

4年前に「イチからはじめる美容医療機器の理論と実践」という書籍を単独で執筆して以来、機器だけではなく美容医療全般に関して学べる書籍がほしいというリクエストを同業のドクターから多数頂きました。

幸い、前書が皮膚科・形成外科分野でベストセラーとなったこともあって、出版社の方から第2弾の執筆を依頼され、苦節3年、やっと発刊にこぎ着けました。売れ行きは絶好調のようで、一安心。

この書籍、総論は全て自分で執筆したのですが、各論はこの業界で中心的に活躍している・注目されている若手中堅医師にも依頼することにしました。誰が見ても文句のない、読んでみたいと思わせる執筆陣です。もちろん、ほかにも優秀なドクターは沢山いらっしゃいますが、分野毎に厳選して選出させて頂きました。きちんとした知識を持ち合わせ、初心者にも分かりやすい文章が書けるメンバーです。

 

見せかけの知識だけで中身がない医師は、素人は騙せてもプロにはすぐにばれてしまいます。

私自身、色々なドクターと交流し、また講演を聴いて、そのあたりは分かっているつもりですので、今回の執筆陣が書いた内容は間違いない、そう思っています。

 

中堅のドクターの執筆内容は安定感がありますが、今回は若手の医師もバランスよく織り交ぜたくて、その後の校正などで結構苦労しました。世代によって考え方も違いますし、一冊の書籍にみんなの知識をきちんとまとめることの難しさを感じました。

考え方は様々でも、一冊の書籍にする以上は「癖のある」内容は省き、統一性を持たせなくてはなりません。

しかしそれぞれの個性を削ぐことは避けたいので、補足・注釈を沢山入れたり、章ごとに私自身の意見を章末に加えたり、それぞれの執筆内容で重複する、関連する部分をリンクで繋げたりと、かなり工夫をして,読みやすい形に仕上げました。

 

通常編集というのは偉い先生がまとめ上げるだけなのですが、今回は偉くない私ごときが編集の大役なので、自身も沢山執筆して、かつ事細かに書籍の方向性、作りに意見をさせて頂きました。出版社の担当の方は相当大変だったようです。こんな書籍作ったことがないとか。でも出来上がった時には、私自身が理想としていた書籍に仕上がっていて、業界のスタンダードになる,長く使ってもらえるものになったのではないかと感じています。

 

思えば私の恩師が、昔美容外科の教科書を執筆したんだよと,嬉しそうに書棚からご自身の書籍を取り出されて笑顔でお話し頂いた時、いつか自分もこんな書籍を書いてみたいと、漠然とですが憧れました。4年前に書いた書籍は美容医療全般ではなく機器のみに関するものでした。今回美容医療全体をとりまとめて書籍にしたことで、やっと恩師の思いと同じ域に達することができたのかなと、私自身感慨深いものがあります。

 

書籍を書くのは経営的なメリットがあるわけでもないですし、労力は大変なものです。特に自身の専門分野全体を網羅するものとなると量も膨大です。自分の力では無理だったと思います。今回不出来な私に対して多くの先生方に助けて頂き、書籍が完成・発刊されたことによって、美容医療のスタンダードとは何か、そして何を参考にして美容医療を始めたらよいのか、その答えを出すことができたのではないかと自負しています。自分自身、こんな書籍がほしかった、そういうものが形になりました。

 

同業の先生方、是非ご一読下さい。

 

ただ、

専門書なので印税は雀の涙。お酒代に消えそうです。

 

 

 

 

レーザー会社主催のセミナー in 那覇

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週末は沖縄で開催されたセミナーにて講演でした。

 

レーザー等の機器メーカー、シネロンキャンデラ社の主催するセミナーです。

この会社、日本においては長らくキャンデラ社の日本支店として、アザのレーザー治療機器など保険収載の製品を多く取り扱ってきました。また昨年は日本で初めての脱毛用医療機器の厚生労働省承認を取得し,美容領域における適正化をしっかりと進めている会社です。

数年前にシネロン社と合併し名称が変わったのですが、シネロン社製品は他社が日本の窓口となっていました。今月から全て統一してシネロンキャンデラ社が販売や個人輸入手続代行を請け負うことになりました。レーザー専業の会社がいわゆる光治療器や高周波なども取り扱うようになり、日本における存在感を増すことでしょう。

 

さて、今回のセミナーでは炭酸ガスレーザーCO2RE、Qスイッチレーザーアレックストライバンテージ(国内承認アレックスⅡ)、ピコ秒レーザーpicowayについてと美容医療の総論についてお話しをさせて頂きました。沖縄という地のため30名ほどの参加で少人数でしたが、そのぶん濃い話ができました。

もう一人の演者は咲くらクリニックの小林直隆先生。上述した脱毛用レーザー機器、ジェントルレーズプロについての総合的な御講演でした。承認を取ったばかりで売れ行き絶好調の機器です。皆さんの関心も高かったようです。そして、これをしっかりと安全でかつ効果的な治療に確立させようという会社の姿勢も窺われました。

 

 

 

さて、折角の沖縄ですので、前日夜に那覇入りをして、そのまま飲み会。小林先生、業者さんとともに、沖縄の美容業界、いえ日本の美容外科業界の重鎮である當山形成外科の當山護先生にご招待頂き、沖縄料理と美味しいお酒の会。

 

ラフティ

 

ゴーヤーチャンプルー

 

ヤギの刺身なども頂きました。

 

かなり上機嫌になって爆睡。

 

 

次の日の朝は早起きして、市内をジョギング。思いのほか登り坂が多くて、途中で那覇を走る鉄道「ゆいレール」も乗りつつ、市内観光です。出張では時間がなく観光など殆どできませんが、早朝Runをすることで最近は観光を堪能しつつ,街の素顔を見ることもできるようになりました。

守礼門。早朝で人影まばら。

 

首里城。早朝で閉門中。中は工事中?

 

波上宮。こんな絶景ポイントがあるとは知りませんでした。

看護師募集

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来週20日〜24日午前の間、インドネシアバリ島で開催されるIMCAS (International Master Coure on Aging Science) Asiaに参加、講演のため休診となります。ご不便、ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

この学会では何度か講演をさせて頂いておりますが、毎年恒例の解剖を勉強できるセッションなどもあり、診療にフィードバックできる最新の情報を入手してきます。そしてアジアの友人ドクターも多数参加されるので、個人的に情報交換をしてヒアルロン酸注入やレーザー機器治療の内緒話をするのも大きな楽しみの一つです。

 

さて、当院の看護師が1名退職することになりましたので、募集を開始します。

ご興味がある方は当院ホームページの「質問フォーム」からお問い合わせ頂くか、7月17日から掲載される「とらばーゆ看護」をご覧下さい。応募をお待ちしております。

 

このブログをお読みになっている方はお分かり頂けると思いますが、当院は真面目に美容医療に取り組んでおり、私自身は学会発表やセミナー講演なども積極的におこなっていますので、最新の美容医療を勉強できる環境です。もちろんノルマもありません。土日祝日が休診という、美容クリニックとしては珍しい形態をとっております。

先日事務員が出産のため退職しましたが,今回は看護師の退職となりました。メンバーが殆ど変わらない当院からすると1年で2名も入れ替わるのは久々です(10年ぶり?)。

経験者大歓迎です。怪しいクリニックに勤務して苦悩している方、休めなくて困っている方、楽しく正しい美容医療を勉強してみませんか?

 

 

バリ島での国際学会 IMCAS Asia出張〜その1〜

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先週はバリ島でIMCASという国際学会が開催され、講演をしてきました。出発は水曜の深夜。シンガポール経由で翌日朝にバリ島に到着しました。

仕事は夕方からで、チェックインまで時間があったので、暇つぶしにショッピングモールへ。

Dr. Fishを見つけたので初体験。

 

さて、会場のホテルはThe Westin resort Nusa Dua。

もちろん完全なるリゾートホテル。しかしたぶん宿泊客の半数以上は学会関係者。プールを横目に見ながらチェックインして、講演の準備に取りかかりました。

夕方からはインドネシアのドクター向けにdinner seminar。リゾート感溢れるインテリアの講演ブースです。

今回もアジア人向けの痩身についての講演でした。

インドネシア人はややお腹がぽってりしている人も多く、興味津々のようでしたので一安心。

 

ほかにも台湾のDr. Shangi Linによるピコ秒レーザー、タイのDr. Niwat Polnkornによるショートパルスレーザー全般の講演があり、最後にはディスカッションタイム。結構盛り上がりました。

 

インドネシアでは美容医療はまだまだ一部のお金持ちのためのものではあるようです。しかしドクターの皆さんは熱心であり、勉強意欲が素晴らしいと感じました。

ただ、まだまだ混沌とした世界でもあるようで、怪しい商業目的のクリニックが大手を振っているとか。日本人医師の関与もあるようで、嘆かわしい限りです。

 

さて、学会前夜のお仕事はここまで。講演後は少し飲んで、あとは疲れて爆睡しました。

 

続きはまた次回。

 

 

バリ島での国際学会 IMCAS Asia出張〜その2〜

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さて学会本番。IMCASという、フランスが本部の組織による教育的側面が強い学会(Master Course)。

 

また商業的要素もやや強い学会です。最近規模も大きくなり、今回は1800人ほどが参加したそうです。

ここ数年、Asiaでの会には時々参加しています。

昨年は台北での開催(ブログはこちら)。日本人も沢山参加したため、台湾の友人にお願いして食事会やクリニック見学など色々と企画をしました。今回はさすがに参加者が少なく、日本人同士では夜の食事やバーで飲んだりなどにとどまりました。

 

昨夜に引き続き、学会本番でも講演を2つさせて頂きました。

 

昨年と同じですが、まず初日午前はライブデモンストレーション。今回は規模が大きく、メイン会場でのセッションでした。かなりの聴衆がいたようですが、私はライブ会場にずっといたので、何となくのんびりペースでした。

ただ、ライブ中継元が会場から車で30分ほど離れた病院。ネット環境などやや不安だったのですが的中し,私の前のセッションではネット中継が上手くいかず、そして私の時にはまるで一昔前の衛星放送のように音声、映像の時間差あり。かなり辛い状況でしたが、何とか無事終了。

 

終了後に学会場に戻ると、声かけられたり、質問をされたりと、それなりの反響があったことが分かり一安心でした。

 

午後は実際の御献体を用いた解剖のワークショップ。例年大盛況で、メイン会場も満席、座る場所もありません。主にヒアルロン酸注入における解剖・手技の講義です。

今回、注入手技にはあまり見るものはなかったのですが、トラブル対策、その解剖などが非常に具体的で分かりやすかったです。何度見ても勉強になります。

その後は別会場で他の注入手技の講演を聴き、新しいコンセプトも吸収できました。アジア人には非常に良いと思えたので、早速取り入れようと思います。それ以外にも友人のアジア人ドクターと個人的に情報交換し、面白いテクニックを教わりました。

 

日本にいると新しい手技は殆ど入ってきません。海外では数年前に講演されたものを日本で焼き直して発表する、メーカー主導の初心者向けコンセプトの講習など,比較的保守的な治療手技ばかりです。それでさえも日本国内では画期的なように扱われているのですが、美容医療のプロであるからこそ、やはり毎年しっかりグローバルな勉強しなければいけないなと痛感。

 

ヒアルロン酸は誰が注射しても結果が同じではありません。医師のテクニックも重要ですが、コンセプト、用い方もそれと同じくらい非常に重要です。私自身、これらについては学会や個人的ネットワークなどを通じて沢山の情報を集めています。またそれを日本人向けにアレンジして、「控えめで自然」な手法を作り上げています。

これに関しては私と同じ事が出来る医師はいないと思いますが、自分の方法が一番とは思いません。医師それぞれに違った手法があって然るべきです。

 

 

さて、学会初日の夜は10人ほどの日本人ドクターと楽しい食事会。

 

学会2日目以降の報告は次回に。

 

 

 

 

バリ島での国際学会 IMCAS Asia出張〜その3〜

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さて学会2日目。

朝日を見ながらRunして、

その後に学会参加です。

 

この日はシンポジウムでの講演。痩身機器SculpSureについてです。

アジアにおいてこの機器のコンセプトを伝達する仕事を請け負い、おそらくこれが集大成。我ながら、苦手な英語を駆使しつつよくぞここまで講演活動したものだと思います。

 

30分程度の講演でしたが、濃い内容となるべく、かつ笑いも取れるよう、そして分かりやすい講演でという条件を自分でも満たせたかなと思います。

Q&Aでは知り合いのタイ人ドクターもお褒めのコメントを下さり、嬉しい限りです。

またこのシンポジウムでは、初日と同じくNiwat Polnikorn先生がパルスレーザー全体の講演をされました。Niwat先生はアジアのドクターなら誰もが知るレーザートーニング発案者、大家です。非常に気の良い先生で、以前から何度か一緒にお仕事はさせて頂いていますが、今回は短期間で何度もお話しさせて頂き、お近づきになれたことは光栄でした。

 

これでお役目終了。あとは海外の学会での新製品情報集めに企業展示ブースを散策。残念ながら全く新しいという機器は最近登場していません。糸や注入系の新しい材質において幾つか興味あるものを見つけたので早速情報収集。

 

ウルトラVリフト・ショッピングスレッド発案者の旧知の友人Dr. Kwonと。彼はビジネスマンとしても優秀で,最近は世界各国に輸出しているようです。

 

シネロンキャンデラのブースで。

 

女性の陰部の悩みを解消する機器Viveveブースの前で。

 

沢山の業者と再会しましたが、あれっ,勤務先の会社また変わったの?なんていう会話が多かったです。そのぶん世界中の業者に知り合いが増えるからまあ良いか。。。。

 

夜はだいぶ前から予約していたレストランへ。

店に行く途中、綺麗な夕日を鑑賞!

 

Cucaレストラン。

今流行りのオープンキッチン。

シェフは世界一のレストランと称されるEl Bulliやバスクの有名3つ星Arzakで仕事をしてきたそうです。

 

 

グルメブログではないので,内容はほどほどにしますが、ビジュアルも驚きの連続で、かつとても美味しかったです。

バリ島でこんなに素晴らしい料理が食べられるなんて!

 

と感動していたら、タイの(学術的に)超有名な女医 Rungsima先生とばったり。突然抱きつかれてちょっと恥ずかしかったです(笑)

彼女は英語も堪能で、海外講演も沢山こなし、様々なメーカーのキードクターをしています。超セレブなお嬢様でもあります。

 

記念に1枚。

 

さて、翌日は帰国です。次回ブログはほぼ仕事以外の内容となります。

 

バリ島での国際学会 IMCAS Asia出張〜その4〜&ご報告

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学会3日目。

早朝からヌサドゥアのビーチサイドをランニング。ウォーターブローという名所がホテルそばにあると知り、見に行きました。

波しぶきが凄くて、ちょうど満潮時と重なったため、さらわれそうになりました。先端まで行こうとしたら地元の人に止められました。

 

この日は自身の講演がなく、メインテーマも昨日までのため、途中から観光する事に決めていました。

今回の出張は家族同伴。学会続きできちんとした夏休みが取れないので、家族孝行の意味も兼ねて一緒に来ました。海外の学会なので様々な場所で妻同伴が役に立ち、もちろん仕事もしてもらいました。

 

私、実はバリ島に来るのは初めて。ベタな観光地を回りました。

 

まずはタマンアユン寺院。バリ島で一番綺麗な寺院だそうです。

 

ゴアガシャという石窟遺跡。神秘的です。

 

テガラガン棚田。ザ棚田、世界遺産です。でも棚田、だけです。

 

ウブドという街で買い物のあとはレストラン。

看板もなく、店の前に来てもどこにあるのか分からないのですが、評判が良いと聞き訪問してみました。

バリ島のダリと称されるアントニオブランコの美術館敷地内にあるレストラン Blanco par Mandif

 

お洒落なエントランスを抜けて、カウンターのみの店内(もうすぐ拡張するとか)。

 

出てくる料理はインドネシア料理をアレンジしたもので素晴らしかったです。グルメじゃないので細かいことは省略。

 

料理は味も重要ですが、感性・雰囲気というか美的な印象を与えてくれるところが好きです。美容外科という仕事の影響でしょうか。

私ごときが仕事以外の事を一生懸命書いても表現力に欠けるのでこのあたりで終わりにしておきます。

 

さて、ここからが本題。

私が編集者・執筆をした医学書籍が先日発刊されました。医師向けの書籍です。

 

 

従来散逸していた美容医療の知識を一つにまとめるべく、バリバリ中堅の執筆陣を揃え、これを読めば美容医療診療が殆どカバーできるようにしています。詳細はまた次回書こうかなと思います。

 

 

 

 

 

 


第35回日本美容皮膚科学会 in 大阪

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先週末は日本美容皮膚科学会に参加してきました。

今回の会長は近畿大学奈良病院皮膚科教授の山田秀和先生。アンチエイジング領域の第一人者です。

この学会は皮膚科の中で美容に特化した学会で、ここ数年大盛況。今回も聴衆が多くて会場から溢れ出すような状況も多々ありました。

美容外科学会のように最先端、マニアックな部分は多くなく、皮膚科らしく基本に忠実に、かつ学術的にという傾向にあります。

 

土日の2日間開催されたので,土曜の早朝に大阪へ移動。朝から参加です。今回私がおこなった講演は2つ。

一つ目は企業のハンズオンセミナーでの講演。某レーザーメーカーの各種製品の紹介と実際の使用法についてお話をしました。

 

そして夕方、メインイベントのシンポジウム講演。

ピコ秒発振レーザーによる色素性病変治療についてその理論と臨床、将来性について講演をさせて頂きました。

 

ピコ秒発振レーザーは、登場してまだ間もない技術ですが、ここ数年は世界中の学会・レーザードクターのメインテーマです。

照射時間がピコ秒と短いゆえに主に入れ墨の粒子に反応性が良くなり、欧米では素晴らしい評価を得ていました。ただ、アジアでは入れ墨よりもシミなどに対する関心が高く,こちらの効果がどのようなものかに注目が集まっています。

そして近年分かりつつあるのは、その本当の価値は照射時間の短さだけではなく、従来の機器と比較して異なる生体内での反応によって非常に薄いシミが取れること、かさぶたなどが非常に軽微にできること、顔全体の照射治療に良い成績を出せることです。

現在の機器では1台でそれを全て満たすことはできません。しかし各社とも新しい波長やハンドピース開発に力を入れており、私は幾つかのメーカーの機器をお借りしてデータ取りをしているところです。

まだ中間報告できるまでには至っていませんが、明らかに既存の治療と異なる効果が得られつつあります。この点も少し含めてお話しをさせて頂きました。言いたいことは沢山あるのですが、機密事項も含まれるのでブログではこのあたりまで。

 

感謝状頂きました。

 

演者及び座長の先生方と。

 

初日の夜は皮膚科・美容皮膚科系の医師大勢と楽しい飲み会でした。ドクターのネットワークが深まり、最近はこのような会が沢山開催されています。学会では言えないようなテーマなどで情報交換しました。

 

翌日の学会でも午前中に他のドクターの講演を聴きお勉強、その後は様々な業者さんのブースを訪れて,気がつけば2時間以上立ち話。。。。

 

また今週末もピコ秒レーザーで講演予定ですので、プレゼン作り中です。

 

 

 

 

 

 

スターラックスで傷跡修正?

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最近、スターラックスで傷跡を修正してほしいというメールを時々頂きます。

「スターラックス」は米国パロマ社(現サイノシュア社)の複合機器の名称で、旧型機器です。現在はアイコンICONという機種になり、より強いパワーでの照射が可能となっています。

一般にスターラックスというと、いわゆる光治療機器、フォトフェイシャルと称される機器でシミや肌の張り、艶を改善する治療になります。

その中のLux1540というフラクショナルレーザーハンドピースが傷跡治療に用いられます。

しかしリストカット瘢痕のような線状の傷跡、特に触ると少し盛り上がったタイプには治療効果が乏しく、現在ではより強力なフラクショナル炭酸ガスレーザーであるCO2REやeCO2を用いる事が殆どです。

Lux1540治療時、一時期色素沈着や赤みが生じることが多く、その時は少しぼけて見えるのですが、最終的にはあまり変化がないため、あまり積極的にはお勧めしていません。

また傷が生じてから1年以内に治療を始めた場合、自然治癒による改善過程と重なってしまい、レーザーが魔法のように効いたと錯覚することもあります。これはビジネス的なマジックで,由々しき問題ですが、早期に照射を始めた方が良いという論文もあり、するべきか否か、悩ましいところです。

 

そもそも傷跡をレーザーで修正すること自体が非常に難しく、手術的な修正の方が圧倒的に変化率が大きいものです。僅かな細い線状の傷跡になって最後の一押しという時にフラクショナルレーザー系を用いる方が結果が出せると考えています。当院では傷跡の外科的修正後にレーザー(eCO2やCO2RE)という治療を積極的に実施しています。

 

レーザー単独治療を望まれる場合には、あまり大きな期待を抱かせるといけないので、シビアにお話をします。効果がないと言われたと憤慨されたり,ネットでは効果があったと書いているのに,と反論されることもありますが、あくまで軽微な変化であると理解頂きたいと思います。逆に過度の期待をされてしまい、大して効かないと言われてしまうこともあります。傷跡治療は主観的要素も混じり、患者満足度の幅が大きい分野です。

 

傷跡(特に線状)のレーザー治療は難しいものであり、その中でもスターラックスのLux1540ですと,さらに効果は限定的です。CO2REやeCO2のような削るタイプ・フラクショナル炭酸ガスレーザーを用いる事で少し変化を得ることができるようになったというレベルです。これらは世界的に意見がほぼ一致しており、魔法のような治療法は現時点では存在しません。

ピコレーザーの可能性〜第3の波長の登場〜

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先週末はレーザー会社のセミナー講演。2週続けての大阪でした。相変わらずバタバタと過ごしています。

 

今回の講演はキュテラ社のピコ秒レーザーenLIGHTenの新波長(670 nm)の有効性について、少し前に募集した学術モニター試験のデータを踏まえてお話しをさせて頂きました。

座長は近大奈良病院の山田秀和先生、演者は他に真弓愛メディカル美容皮膚科・皮膚科の真弓愛先生、札幌中央クリニックの岡橋怜先生。

岡橋先生は私の大学の17年後輩。何だか嬉しく思いつつ講演を拝聴しました。

 

さて、

ピコ秒レーザーは入れ墨除去には絶対的な効果が証明され、私自身は手術で切り取ることは殆どなくなりました。手術後の傷・瘢痕が治まるまでの期間よりもレーザーを照射・終了する期間の方が短くなり、結果も綺麗になりました。

ただピコ秒レーザーでも、多彩な色調全てに対応ができずカラータトゥーは難しいと考えられていましたが、各社様々な波長(色で言うところの補色関係の光)を出せるようになり、この問題も解決されました。深く彫られたタトゥーでもきちんと反応します。もはや手術をする意味が殆どありません。

唯一、入れ墨を入れる時に皮膚が盛り上がって(かなり濃い色)、傷跡が生じていると予期されるような場合に、色は抜けても傷跡までは消せませんから、少し輪郭が追えてしまう場合、そのあとにフラクショナルレーザー等が必要になることがあるというくらいです。

Qスイッチレーザーのみでの入れ墨治療は、時代遅れで、患者様の苦痛を強いるだけです。回数も2〜4倍かかりますし、取れない濃さ、色もあります。厳しい言い方をすれば、Qスイッチレーザーのみで入れ墨治療はするべきではない時代です(専門的には初回などに用いる意義はあります)。

 

そして薄いシミもピコ秒レーザーは効果的です。これに関してはQスイッチレーザー(ルビーやアレキサンドライト)の出番も多々あり、良い点もあるので使い分けが大事です。

 

一方、シミなどに対する顔全体の治療は,トーニングという手法を除けば、レーザーフェイシャルやIPL・フォトフェイシャル,ジェネシスに比べてピコ秒レーザーは劣る部分もありました。サイノシュア社のピコシュアーによるピコチューニングという手法が全顔治療できる方法ですが、他社の機器では波長の制限から上手くいきませんでした。

ここで新しい波長が各社から登場し、その構図は崩れようとしています。キュテラ社の670 nmレッドレーザー、シネロンキャンデラ社の785 nmチタンサファイヤレーザーです。

幸運なことに私は、アジアで最初に両方の機器を使わせて頂いた医師になりました。

670 nmは既にデータも8割方出来上がり、その有効性が確認できました。

チタンサファイヤは今テストの真っ最中。まだ詳細は言えませんが、秘密の手法を用いると全顔で非常に良い結果が出るようです。これは安全性と有効性が確認できたら、近日中にモニター試験をする予定です。

 

演者の先生方、本社の製品開発部Jamesと(岡橋先生とは残念ながら一緒に撮れず)。

 

おっと、私が編著の新しい医学書籍のことを詳しく書こうと思ったのですが、また次回に。。。。

 

 

 

 

自身が編集・執筆した医学書が発刊されました(遅ればせながらのご報告)

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私が執筆・編集した医師向け書籍が先月発刊されました。

「Non-Surgical 美容医療超実践講座」という題名で、美容医療を一から学び、そして応用するための書籍です。

あくまで医師向けで一般向けではありません。

 

4年前に「イチからはじめる美容医療機器の理論と実践」という書籍を単独で執筆して以来、機器だけではなく美容医療全般に関して学べる書籍がほしいというリクエストを同業のドクターから多数頂きました。

幸い、前書が皮膚科・形成外科分野でベストセラーとなったこともあって、出版社の方から第2弾の執筆を依頼され、苦節3年、やっと発刊にこぎ着けました。売れ行きは絶好調のようで、一安心。

この書籍、総論は全て自分で執筆したのですが、各論はこの業界で中心的に活躍している・注目されている若手中堅医師にも依頼することにしました。誰が見ても文句のない、読んでみたいと思わせる執筆陣です。もちろん、ほかにも優秀なドクターは沢山いらっしゃいますが、分野毎に厳選して選出させて頂きました。きちんとした知識を持ち合わせ、初心者にも分かりやすい文章が書けるメンバーです。

 

見せかけの知識だけで中身がない医師は、素人は騙せてもプロにはすぐにばれてしまいます。

私自身、色々なドクターと交流し、また講演を聴いて、そのあたりは分かっているつもりですので、今回の執筆陣が書いた内容は間違いない、そう思っています。

 

中堅のドクターの執筆内容は安定感がありますが、今回は若手の医師もバランスよく織り交ぜたくて、その後の校正などで結構苦労しました。世代によって考え方も違いますし、一冊の書籍にみんなの知識をきちんとまとめることの難しさを感じました。

考え方は様々でも、一冊の書籍にする以上は「癖のある」内容は省き、統一性を持たせなくてはなりません。

しかしそれぞれの個性を削ぐことは避けたいので、補足・注釈を沢山入れたり、章ごとに私自身の意見を章末に加えたり、それぞれの執筆内容で重複する、関連する部分をリンクで繋げたりと、かなり工夫をして,読みやすい形に仕上げました。

 

通常編集というのは偉い先生がまとめ上げるだけなのですが、今回は偉くない私ごときが編集の大役なので、自身も沢山執筆して、かつ事細かに書籍の方向性、作りに意見をさせて頂きました。出版社の担当の方は相当大変だったようです。こんな書籍作ったことがないとか。でも出来上がった時には、私自身が理想としていた書籍に仕上がっていて、業界のスタンダードになる,長く使ってもらえるものになったのではないかと感じています。

 

思えば私の恩師が、昔美容外科の教科書を執筆したんだよと,嬉しそうに書棚からご自身の書籍を取り出されて笑顔でお話し頂いた時、いつか自分もこんな書籍を書いてみたいと、漠然とですが憧れました。4年前に書いた書籍は美容医療全般ではなく機器のみに関するものでした。今回美容医療全体をとりまとめて書籍にしたことで、やっと恩師の思いと同じ域に達することができたのかなと、私自身感慨深いものがあります。

 

書籍を書くのは経営的なメリットがあるわけでもないですし、労力は大変なものです。特に自身の専門分野全体を網羅するものとなると量も膨大です。自分の力では無理だったと思います。今回不出来な私に対して多くの先生方に助けて頂き、書籍が完成・発刊されたことによって、美容医療のスタンダードとは何か、そして何を参考にして美容医療を始めたらよいのか、その答えを出すことができたのではないかと自負しています。自分自身、こんな書籍がほしかった、そういうものが形になりました。

 

同業の先生方、是非ご一読下さい。

 

ただ、

専門書なので印税は雀の涙。お酒代に消えそうです。

 

 

 

 

客観的、主観的

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美容医療の難しさとして、効果の判定が単純ではないことが挙げられます。

例えば、糖尿病の治療であれば、本人の自覚があろうとなかろうと、血糖値やHbA1cを測定して,数値でお話しすれば殆どの方は納得されます。

どんなに自身が食事に気を付けていても、医師の言うことを守っていても、数字が悪ければ治療薬の変更、治療方針の変更に納得してもらえます。「いや先生、何の症状もないし調子良いから薬変えないでほしい。」といったような主観の入る余地はあまりありません。逆に数値が安定して良好なコントロールでも、「何だか調子悪いから薬いっぱい頂戴!」と患者側が言っても医師は否定できます。

 

美容医療の場合は、客観的評価も大事ですが、主観的評価がもっと大事なことが殆どです。結果が全てではあっても、それは客観的ではなく、患者満足度に依存します。

例えば同じ結果でも、「誰にも変わったって言われないからもっと効果を出してほしい」と言われることもあれば、「友人に何かしたでしょと指摘されてしまって困っている、こんなに変化させてもらっては困る」と言われることもあります。

同じ結果でも受取り手(患者側)によって全く違う反応となるのです。

 

美容医療には魔法はありません。人間(医師)のすること、人間の受けること(個人差)なので、結果も常に同じではありません。一般医療と同じく不確定要素がある、成功率100%ではありません。その上で、主観と客観的な評価にずれが生じます。

患者側が何を思おうと評価できる数字があるわけでもありませんし、それがあっても捉え方によって真逆に評価されます。

同じ「結果」といっても、非常に難しい、複雑な要因を含んでいるのです。

 

しかし、だからこそ面白い世界であり、一度信頼関係ができた患者様とは長くお付き合いをさせて頂いています。

逆に言えば、最初に話が噛み合わない状態であれば、私自身はまずシビアなお話をして期待を高めないように説明します。そこで納得した場合は大抵満足して頂けますが、納得されなかった場合には,効果は出ませんときっぱりお話をしていきます。

医師側だけでなく、患者側もこれは重視しなければいけないと思います。何でも医師にお任せではなく、自身が納得できないまま治療を受ければ,例えどんな名医でさえも結果を出せないのです、主観的には。

 

 

さて、先週末は台湾へ行ってきました。短い夏休みと仕事を兼ねた旅行でした。

友人のDr. Pauly Huangが新しいクリニックをオープンしたと聞き、見学に行ってきました。大変勉強になりました。

現在のクリニック杏立博全の向かいのビルです。

 

クリニック入り口にある医師の孤独を示したオブジェ。思い悩む医師の横に座り、患者と医師がもっと近い関係になれるようにとの意味合いもあるそうです。

 

外壁には後ろを向いたような人形。でも、そうではなく、先入観を持たないで,物事の表と裏を決めすぎずにという意味だそうです。ある意味,今回のブログの内容と重なる、美容医療の本質です。

 

クリニック内はコーヒーマシンがあり、カフェのようです。本当にお洒落な空間にプロフェッショナルな治療が集うコンセプト。

いつかはこんなクリニック、作ってみたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピコレーザーは本当に良いのか?

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先週末は大阪でピコレーザーPicowayの講演でした。

10数名とクローズドな会で、学会などでは話せない本音や自身の理論的空想(?)を交えて様々な内容をお話しさせて頂きました。

終了後は楽しく飲み会をして情報交換でした。

 

 

さて、ピコレーザー(ピコ秒発振レーザー)に関する疑問、医師患者ともにあると思いますので、私見を述べます。

 

ピコレーザーは果たしてシミ治療の救世主になるのか。

薄いシミには非常に有効です。今までなら塗り薬でと思っていたものでもしっかり反応します。

 

顔全体の治療効果は素晴らしいのか。

今の代表的治療フォトフェイシャル・IPL・レーザーフェイシャルより結果が良いという発表もあります。レーザーゆえに真皮内,深いメラニン沈着にも有効な点は優れています。しかし表在性のものに関しては、きちんとIPLを使いこなすなら大きな差がないのが現状です。IPLではなかなか難しい肝斑に良いという意見もありますが、これはまだ検討する必要があります。IPLもメーカーによって出力に差がありますので、この差違を凌駕していないのです。

ただ、ピコレーザーによる全顔の手法はポイントでのシミ照射を同日おこないます。弱めということもあり,かさぶた形成が少なく、これは利点です。ただ、全顔照射のメリットというよりはポイント照射におけるメリットというべきでしょう。美容的効果に関しては優れてはいるものの、従来のレベルを大きくは超えていないのが現状です。

これらを踏まえて、現行機種は次の手を打ち始めています。次の波長・ハンドピースが出てくれば凌駕していると言えるかもしれません。今、幾つかをテスト中で,ワクワクした結果も出つつあります。

 

入れ墨治療はどうか。

これに関しては全世界的な意見として,ピコ秒レーザー以外で入れ墨治療をするのは前時代的であると言えます。従来より少ない回数で綺麗に取れるのです。ピコ秒レーザーは熱の発生も少なく、傷跡も残しにくいですし、薄く残って輪郭が追えて苦労したようなものも取れていきます。多色の入れ墨にも対応できます。

手術の方が優れているという考えもありましたが、回数が少なく傷跡も軽いとなれば、切り取ってしばらく痛々しい状態が落ち着くまでよりも早く終わり、また最終的にも切った傷跡よりは綺麗なわけですから,よほどの事情がない限り手術は第一選択にはなりません。何でもかんでも手術を勧める考えはもはや改めなければなりません。但し、手術が不要になったとするのは言いすぎではあります。ピコレーザーを所有もしくは十分理解して初めて手術が許されると言ったら暴言でしょうか。

 

ピコ秒レーザーはこれからもまだまだ発展していきます。当院では世界的なメーカーの幾つかに依頼されて,アジア人におけるデータを取っていますが、本当に面白い機器です。

 

世界中のレーザーのプロは皆さん既に使用しています。商業的にはまだまだの面はありますが、ビジネス優先の医師でない限り、この機器の魅力を感じ、患者本位な治療をスタートしているのが現状です。

 

 

 

 

韓国出張〜新しい注入剤の工場見学〜

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先週末は韓国にて新しい注入剤の工場視察。

ソウルではなく光州という離れた場所のため、当日はソウル金浦空港から車で30分ほど移動し、光明(南ソウル)駅で高速鉄道KTXに乗り1時間半。

 

 

光州駅到着。さらに車で走ること30分。

 

工場にやっと尽きました。 着きました。

 

今回は全く新しい成分を用いた注入剤についてお勉強です。成分的には既に人体内に入れることへの安全性が確立されているものであり、また血管内にも入れることができる成分であることから、様々なリスクが少なく,面白そうです。

開発したドクターからの説明、討論ののちに実際の工場内が衛生的か、基準を満たしてるかを含めた視察をさせて頂きました。新しい成分であれば安全性は非常に重要です。これらに対する取り組みがしっかりしているかを、理論だけではなくこの目で確認することが今回の目的でした。

業者が安全と言っているから大丈夫と思う医師も多いのですが、海外では自信を持って風呂敷を大きく広げるのが当たり前、騙されて困るのは結局患者様なので、こういった作業も誰かがしなくてはいけません。

まあ私のお役目だと思って、こういった活動をしています(もちろん何かリベートが発生するわけではありません)。

 

内部に入るには何重もの扉を越えて、こんな格好に。

 

実際の原料などはまだ非公開です。また導入するかどうかも検討を要します。今は文献や実験データなどを送って頂き、解析中です。

滞在1時間半ほどで,またソウルへとんぼ返り。

光州って何があるのかさえ知らずに終わりました、、、、

 

夜遅くなりましたが、お食事は海鮮料理。

定番の生だこ踊り食い(サンナックチ)

 

エビの唐辛子醤油漬け。これが結構旨い!

 

そして翌日はソウル近郊の事務所で,新しい機器の業者デモンストレーション。写真は非公開。面白い掘り出し物が沢山。これらは上手くいけば当院でも導入するかも。

 

お昼にホルモン&カルビを食べて、帰国となりました。相変わらず慌ただしい出張でした。

 


ダイエット&ビューティフェア2017

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昨日はクリニックの昼休みを利用して、エステの展示会であるダイエット&ビューティフェア2017に行ってきました。

お台場のビッグサイトで本日まで開催されています。

 

毎年この手の展示会には足を運ぶようにしています。かなり違法な怪しい機器なども登場するため、エステの現状を観察するには良いのですが、それだけではなく案外掘り出し物も見つかります。もちろん医療ですからそのまま用いる事は出来ませんが、応用できるものもありますし、様々な施術後のアフターケアとして使えるようなものもあります。

 

今回、怪しい機器は殆ど見られませんでした。数年前は医療機器ではないかと思われるような機器が販売されていて、売る側に全くその認識がない場合もありました。

最近ではそのようなことをすると逮捕されることもあるため、慎重になっているのかもしれませんし、表に出さないようにしているだけかもしれません。。。。

掘り出し物は幾つか。また知り合いの業者さんもいるのでデモンストレーションも依頼しました。

エステの機器を馬鹿にする医師も多いですが、私は上手く使えば主ではなく副的な,補助的な役割を持って様々な応用が利くと思います。当院にも何台かその手の機器は置いています。怪しいアプローチをされると引きますが、きちんと学術的に話をしてくれれば協力しようといつも思っています。

 

しかしこの手の展覧会に行くと、話しかけてくる営業の人のノリが軽すぎてビックリします。魔法のように話をしてきますし、完全に違法じゃないの?というような言葉が連発されます。ちょっと辟易としました。。。。

 

サーマクール不正販売容疑で業者が逮捕されたことについて

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ちょっとブログサボり気味です。。。。

週末は講演や出張などがなく、のんびりしたいところでしたが、今週後半から日本美容外科学会が開催されるため、その講演準備や来月の日本形成外科学会基礎学術集会シンポジウム、日本抗加齢美容医療学会(MBF)での講演のプレゼン作成等でバタバタしてしまいました。そろそろ仕事のないリフレッシュできる日を増やさなければいけないお年頃ですが、業界への貢献が少しでもできればと思い、お仕事に励んでいます。

 

さて、今朝の朝日新聞で,業者の逮捕が報じられました(詳細はこちら)。

厚生労働省が承認していない海外製の医療機器を販売、リースしていた,消耗品の部品もリユースできるようにしていたとのことです。実際に健康被害も出ているようです。

 

医療機器は厚生労働省の管理下に置かれており、通常は承認と言って、様々な臨床テストをおこない,安全データを蓄積提出してやっと認可が下ります。これにかかる莫大な時間、高額な費用は美容医療にとって大きなネックです。通常の医療と異なりアップデートが激しく、また市場規模が極端に小さいため、現在の規制下では許認可を得ることが非現実的で、世界標準にほど遠い状況になってしまいます。

これを解消するために医師の個人輸入が認められています。美容だけではなくいわゆるマイナーな領域、患者数の少ないもので医療行為として必要であれば、都度医師側が国にお伺いを立てて輸入するのです。機械だけではなく薬品も同じです。我々の分野ですと、数年前まではボトックス、ヒアルロン酸も未承認で、輸入のたびに書類を国に提出していました。

ただ、業者さんの努力もあり、ヒアルロン酸やボトックスは承認されました(莫大な費用の元はなかなか取れないようです)。そしてレーザー脱毛(正式には減毛)の機器も承認が取れました。

今後は少し市場規模の大きな分野なら美容医療でも承認されていくことになるでしょう。もちろんマイナーな分野では業者さんも機械が売れるかどうか賭けみたいになりますので、医師個人輸入も上手く併用しながら我々医師は治療にあたることになるでしょう。

 

今回の件は、そのような制度の面倒さ、高額な医療機器の仕組みに風穴を開けようと、輸入車販売で実績を上げた会社が経営多角化の一つとして手を出した末の逮捕です。

医療機器は高額で、消耗品の再使用は安全管理上も許されません。確かに我々医師側からも少し高いなと思うことはありますが、やはり患者の安全性を考えると、再使用するべきではありません。ビジネスでもあり医療でもあるからです。

自動車ビジネスと同じ訳にはいきません。医療に関わる法律というものの重さを知らないがために起こった事件です。

 

そして実は、日本の美容医療機器の価格は諸外国と比較して非常に安いのです。業者が派手に宣伝できないぶん経費がかからないということもありますが、安いです。ピコ秒レーザーなんて半額(逆に薬剤は高いようです)。

海外で講演すると、私なんてスモークたかれて登場!という演出受けたことあります。芸能人も来場します。たぶん化粧品ビジネスと同じ感覚なんでしょう。それがグローバルには普通なのです。美容ですから。そのぶん機器価格に上乗せされます。

「医療」の枠が厳しいのが日本であり、良い部分もありますが旧態依然とした部分もあります。

 

業者(輸入代行)さんは案外真面目に安く提供してくれています。それを高いと感じてレンタルサービスなんて考えたのは、法を無視すれば分かりますが、個人輸入ではなくなります。そして未承認機は医師側が処分する時でさえも国内では転売は不可です。海外での中古品を個人輸入するなら、たぶん大丈夫かと。

 

じゃあ、高額にして、そのかわり全製品承認を取れ!なんて声も上がりそうですが、それをすると、たぶん諸外国の倍以上の価格になりそうですし、業者の倒産が相次ぎます。

美容医療の分野は、内科や外科などと比較するとあまりに市場規模が小さいです。しかし、承認にかかる費用が高い、かつ世界でも稀なほど手続が煩雑なのが現状です。承認手続は、安全と言えば聞こえは良いですが、小さな分野にとっては不可能とも言えるほど厳しいです。

これを改善しない限りは、美容医療分野に疎い企業の参入はまたあるでしょう。複雑な法規制に目を背ければ,ビジネスチャンスが沢山あるように見えるのですから。

この手の問題、根本では果たして誰が悪いのか、いつも色々思います。

でもまあ、私のような一開業医の意見なんて誰も聞いてくれませんので,ブログでぼやくだけです。

 

*TV等の取材お問い合わせが相次いでおりますが、予約が一杯であること、学会の準備等もあり、本日は全くお時間が取れません。本日は対応できませんので、ご了承ください。

 

 

 

日本美容外科学会 in 札幌

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先週後半はクリニックをお休みして,日本美容外科学会(JSAPS)に参加してきました。

今回の会長は蘇春堂形成外科の野平久仁彦先生。札幌での開催でした。

 

前日、札幌に入り、評議員会という私の苦手な会議に出席。

日本美容外科学会は、今では基本診療科たる形成外科の中の一分野という原則で動いており、厚労省の方針によって、大きな波に飲み込まれつつあります。そのため、大学の先生方の意見がやや強くなってきて、開業医が主たる「美容外科医の集団」にとっては、ちょっと窮屈でもあり、アイデンティティが確立できなくなりつつあります。大学主導で動くのが学会のような「組織」では妥当ですが、美容外科という開業医主体で発展してきた「学問」は希有です。この良さが消えないといいなと思います。まあ、私のような機器・注入主体の医師にとっては、どちらが大きな力を持っても辛い、むしろ大学系の先生の方が歩調を合わせやすいかもしれませんが。。。。

 

 

さて、今回の学会でのお仕事はランチョンセミナーでの講演として、部分痩身機器スカルプシュアーの臨床アップデート。それ以外に一般演題の座長と別日のランチョンセミナーの座長。

 

スカルプシュアーは当院で変わらぬ人気治療です。痩せるというよりも形状を整える、彫刻のような治療です。更年期脂肪の除去、「若い頃の体型を復活させる治療」としてアジアでのコンセプトの確立の経緯をお話ししました。最近は他の治療機器に関しても、意見を同じくするドクターが増えて有り難い限りです。部分痩身は患者様にはまだまだ良く理解されていない分野ですが、コンセプトの浸透とともにその満足度も上がるものと考えています。

一般演題(機器系治療)の座長では,少し時間オーバーして上手く仕切れなかったのですが、逆に言えば濃いディスカッションができたかなと思っています。

 

他にも腋臭治療機器と再生医療(幹細胞関連)のランチョンセミナー座長をさせて頂きました。腋臭は当院では今では取り扱わない分野ですが、ビューホットというなかなか面白い機械のご発表。再生医療は、幹細胞由来薬剤による肌治療のご発表。

幹細胞系は今後伸びてくる分野ですが、今はまだ安全性の面での検討が遅れており、新しいものが良いものであるかのような曖昧な根拠で突き進んでいる製品もあります。今回発表された製品は既に長期使用されており、その中では安全と言えるでしょう。もちろん100%ということが言えない分野ですが,危険だと疑われるものは排除する必要があります。それをきちんと仕分けしながら、でも再生医療という未来ある分野は常にアンテナを張っていく必要があります。実際に米国でも再生医療関連の製品は幾つも登場しており、それらの会社のビジネスは急激な伸びを見せています。FDA(米国食品医薬品局)認可も取り始めており、よく分からないから放置できる分野ではなくなってきました。これからのトレンドであることは間違いありません。

 

他に、今回の学会では映像を用いたセッションが沢山。眼瞼下垂をはじめとした様々な手術の第一人者のビデオを見ながら解説を聞けるという,非常に興味深い会でした。もちろん当院も手術をしておりますので、今後の診療に役立つ情報でした。

 

 

さて、夜はドクター仲間との楽しい飲み会。

初日は有名寿司屋での女子会に参加。

なぜかおっさん一人馴染んでます。

 

さらに翌日、美味しい和食を。

 

 

食べ過ぎた後は、翌日早朝にRUN。

学会期間では日中に出歩く暇はないため走って観光。

とは言っても、実は昔札幌にマンション買って住んでました。

 

20年ほど前に勤務した札幌医大も見てきました。

 

 

 

形成外科の専門医

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今回は専門医のことを少し書こうかなと思います。

私は日本形成外科学会の専門医です。1996年に取得したので、もう20年ほど保持していることになります。専門医でいるためには学会参加や発表、論文執筆など幾つかの義務が生じます。点数制度で,通常は学会に参加すれば維持できます。

しかし、この制度がもうすぐ大きく変わります(変わりました)。学会が認定する専門医ではなく、専門医認定機構という組織によって認定されることになります。形成外科だけではなく全科における変更です。

形成外科は、内科や外科などと同列の基本診療科という位置づけになり、これを取らないと更に細分化された領域の専門医(サブスペシャリティ)になれなくなるのです。美容外科はこの位置づけになろうとしており、決定されると形成外科専門医の取得が必須になります(まだ未定です)。面倒臭いですね。

 

学会認定で良いじゃないという意見もありますが、他国はどうでしょうか。

アメリカでは専門医のことをboardと言います。このboard協議会が認定します。学会専門医というのは「正式には」存在しないのです。インターン終了後、レジデントとなり、その後後期研修医であるフェローになります。そして専門医試験を受けるのです。

ちなみに最近のドラマで「コードブルー」があり、若い医師がフェロー:後期研修医として登場します。まさにあのような研修を沢山積み上げて専門医へとなるのです。ただ、米国では単なる研究員をフェローと言ったり、学会参加回数の多い会員をフェローと言うこともあるのですが、基本的に教育病院でのフェローになって数年勤務しないと専門医にはなれませんし、そのためには米国医師免許も必要です。

 

ややこしい話を書きましたが、やはり専門医というのは重みがあります。もちろん持っていないから駄目なのではないですが、専門医は「重み」でもあり、自身の技術知識に対する公的な裏付けです。

世にはサーマクール認定医とか、某クリニック指導医、訳の分からない学会専門医という肩書きが書かれた医師経歴があります。嘘を書いていない限り経歴詐称とは言えませんが、基本診療科たる形成外科の専門医とは全く別次元です。

だからこそ、この資格を大事にしていきたいなと思っています。しかし、開業医にとって、これを維持することが大変になってきたのも事実です。さて、いつまで保持できるか。。。。

 

ヒアルロン酸「入れすぎ」症候群

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この3連休はオフィシャルな仕事はなく、家でのんびりしながら、某医学雑誌の対談記事の校正をしていました。たるみ治療に関してなのですが、その中でヒアルロン酸などの注入剤の入れすぎについて言及させて頂きました。

入れすぎは、too muchとかover filled syndromeなどと海外では称されています。海外では多量のヒアルロン酸を入れるのが流行のようになっていましたが、ここ1〜2年はこれを問題視するドクターも増えてきました。

私自身も講演のたびにこの手の話しをさせて頂いてます。

 

現在、日本ではヒアルロン酸を大量に入れて輪郭を整える事が徐々に浸透してきました。患者が加齢によって骨などが萎縮しているから、沢山入れなければいけないということです。診察をして、ボリュームを出す注入剤をあちこちにしっかり入れる。。。。

上手に入れると仕上がりは綺麗だとは思いますが、決まった入れ方で数年来繰り返していくと、どうしても見た目はtoo muchな状態になってしまいます。米国ではpillow faceとも言いますが、浮腫んだような,頬がぱんぱんに張った顔です。それをご本人がまた気づいていないのですから、厄介です。

 

この過量注入というのは、かなり以前から国際的な学会でも再三取り上げられていましたが、volumizing liftの概念が発展して、老化で萎縮した構造物を補う概念やそれを先導するコンセプトへの流れが強くなり、どちらかというとこの数年くらいは沢山入れることが正義という風潮になってしまいました。私のようなローカルな医師が発言してもこの流れは止まりませんが、やはり違和感を感じる医師も多いようです。少しずつ、異論を唱える意見が増えてきた気がします。

 

当院では自然に若く見える、誰にも入れたとは気づかれないけど数歳若くなる、そんな注入治療をしています。原則ヒアルロン酸は1本だけ使用します。患者様と相談の上で、しっかり変化させる場合でも2〜3本までです。

 

そんなことを学術的にまた調べて、オフィシャルな形で世に問おうと連休中に色々と模索しましたが、論文がなかなか見つかりません。アジアの友人ドクターにメールなどしていたら、マレーシアのDr. Limからちょうど明日仕事で日本に行くよとの連絡が。彼はこの1年、入れすぎ状態over-filled syndromeについてあちこちで講演しています。

タイミング良く会う事が出来ました。

 

銀座のカフェにて。

 

彼の提唱するover-filled syndromeについて色々と討論し、またヒアルロン酸は靱帯を支えてリフトさせるべきか,はたまた別の構造物を支えて持ち上げるのが今後のトレンドになるのか等、情報交換しつつ,楽しい2時間を過ごしました。

 

 

私は、過剰注入を以前からtoo much状態と言っていましたが、Lim先生に倣ってover-filled syndromeと今後は称することにします。

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