Quantcast
Channel: 美容外科開業医の独り言
Viewing all articles
Browse latest Browse all 654

老化による顔貌変化は機器だけで改善できる???

$
0
0
以前から書いているように、皮膚内のコラーゲンを刺激・再構築させるなど表層の対策だけでは老化対策は不十分です。

機器や化粧品、薬剤の直接作用は皮膚表層から数ミリの範囲内に限られます。もっとも深く作用するウルセラシステムでさえも4.5ミリ、皮下の浅い層の脂肪を越えるのが限界です。老化による変化を治療するためには、本来は深部の脂肪の萎縮や骨の加齢変形、皮膚・筋膜から骨をつなぐ靱帯(retaining ligament)などに対して何らかのことをしなければいけません。
もちろんそれには機器が無効です。

多くの場合、ヒアルロン酸やレディエッセ(ハイドロキシアパタイト)などの注入材でボリュームを増したり、ウルトラVリフト等の糸で下垂した組織を吊り上げたりと深い部分での変化が出せる治療を要します。
一部のドクターはこれをlayer treatmentと称し、深さに応じて各種治療を組み合わせていく手法を勧めています。当院でも機器や糸、注入材を組み合わせる方法を、コンビネーションリフトと呼称して費用固定として受けやすくしました。

ただ、このような深部組織の老化を考慮するということについては、医師の間でもまだまだ認識が不十分です。機器を照射すれば、それだけで老化が予防でき、加齢変化は全て改善可能であるというのは大きな誤りです。あくまで「表層」という条件がつきます。

私自身はアンチエイジングに関しては非外科的な治療を主に組み立てていきますが、機器だけで全てがカバーできるとは毛頭思っていません。だからこそ注入系や糸などを用いた治療法に関しても情報を集め、最新の治療手技を身につけるようにしています。

もちろん一般皮膚科を主にしていて美容を少し実施しているクリニックでは、注入や糸まで手を出していくことは難しいですし、それを主にすることは時にはリスキーだと思います。

しかし当院のような美容が主のクリニックでは、機器や薬剤だけでは見た目のアンチエイジング治療は完結しませんでの、機器や薬剤とともに注入材・糸を用います。

また美容のうち外科を主としているクリニックでは、機器によるマイルドなものではなく手術を主とし、注入を組み合わせたり、時には脂肪注入もおこなわれています。

それぞれのクリニックの特徴を考えると分かりやすいでしょう。

機器治療によってシミなど色素系の改善を得るだけではなく、肌の張り感や引き締め感を感じ、満足する方も多いでしょう。しかしそれが全てかというと、そうではありません。注入系などの治療をする事でさらに深部の変化も得ることはできるのです。

ただ、これは患者様個々の考え方、希望次第なのだと思います。

注入系や糸、手術は避けたいという人は、機器や薬剤で出来る治療というのは皮膚~浅部皮下脂肪の変化に限られると理解して頂く必要がありますが、これをきちんと理解して頂ければ、機器治療というのは非常に気軽で有効な手段です。
しかし、医師が患者希望を無視して制限をかけてしまうのは良くないでしょう。機器は魔法ではありません。出せる変化は表層に限られます。美容を専業とするなら、注入系や糸などをきちんと使えるだけの技量も必要となります。もちろんどのような製剤を使用するのかは医師それぞれの考え方があります。全てを使う必要はありません。レディエッセの硬さなどは好みが分かれ、使わない人もいます。

但し、これらの話とは別に老化の予防・マネージメントとしての機器治療があります。テノールなどの痛みを伴わずに緩やかに熱を深部に生じさせる機器です。このタイプの場合、治療をお受けになった方はご存じのように熱影響は深部まで及びます。皮下脂肪層だけでなく、筋層まで広範囲に熱影響を及ぼし、老化の予防的作用を生じさせます。
瞬間的に熱を与えるタイプの機器と違い、持続的に照射していくと深部まで影響を与えることが可能となります。当院でも最も評価の高い機器の一つです。
ただ、大きな効果を得るタイプではないので、その点は注意が必要です。
それでも輪郭の萎縮が改善する事は、やはり残念ながら難しいのです。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 654

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>