Quantcast
Channel: 美容外科開業医の独り言
Viewing all articles
Browse latest Browse all 654

紫外線の話

$
0
0

いよいよ紫外線が強い時期になってきました。

日焼け止めをしっかり厚く塗って、頻繁に塗り直し、ゴミを捨てに行くような短時間でもUVケアしないと駄目、日傘を差して、屋外スポーツは避けて、標高の高いところには行かずに、ビーチに行くなんて以ての外、SPF値は大きいものを、PAもプラスが多いものを。。。。

さあ、皆さん守っていらっしゃいますか??

理想と現実、なかなか難しいです。
好きなこともしないでUVケアに打ち込む生活も、本人が納得すれば良いかと思いますが、ほどほどが一番と思う人も多いでしょう。

日焼け止めの、肌に対する負担もそれなりのものです。シミのできる原因が日焼け止めかぶれ、なんていう患者さんもいます。特に紫外線を化学的に吸収する材料が入っているとなおさらです。
日焼け止めを使う時はしっかりと厚く、でも普段の生活ならSPFは高くない製品、刺激の強くない製品でも良いかと思います。日焼け止め(紫外線反射剤)は紫外線を反射する物理的なものであり、薄く塗れば反射しなくなります。厚く塗ったら白くなるのが心配でも、最近の日焼け止めは反射剤の形状加工技術が発達しており、基剤のクリームが肌の熱で馴染んでくれば白さはかなり目立たなくなります。塗る時は少し白くなるまで、そして慌てず少し待ってから、それでも白さが目立つところだけ少し伸ばしていくと使いやすいです。塗り直しも重要です。朝塗ったらお終いでは、途中から効果はありません。下地からなんて2時間ごとにできませんから、現実的にはファンデ(少しSPF値があるもの)を塗り直すだけでも良いので、気を遣えば良いのではと思います。スポーツの時は、メイクの綺麗さを考えるより日焼け止めの塗り直しを考えて下さい。
日焼け止めを落とす洗顔で肌を傷つけてしまうこともあります。ゴシゴシ擦って肌が傷んでしまっては本末転倒。
神経質に紫外線を気にするよりも、その前提である肌を健康にする事、しっかりした角質とキメ、こちらを優先して、その上で紫外線対策をほどほどに、が良いかと思います。
私はオッサンで色白美人女医さんではありません。患者様にに指導しながらもついつい日焼けしてしまいますので、えらそうなことは言えませんが。

さて、
紫外線とは何でしょう?紫の外の光線、つまり虹の色でいうと一番下の青から紫がありますが、さらにその下、外の色で、可視光線ではありません。
紫外線は危険、それは短い波長(長いと虹の上の方の色・赤や黄色、短いと下の方の青から紫)は化学的に人体への影響があるからです。紫外線より短い波長はX線、ガンマ線、つまり放射線です。紫外線も同じような作用です。そもそも地球は大気で短い波長をカットされたために、生物が生きることができるのです。大気がなくなり、全ての波長の光(=電磁波)が全て降り注げば生命は死滅します。燃えて消えるのではなく放射線で細胞が傷害されます。
よく日差しがジリジリと熱いのを紫外線が強いという人がいますが、あれは水分に吸収されて熱を発する赤外線に近い領域の光です。紫外線は浴びても痛くなく、数時間後から炎症反応が起こって、熱を帯び真っ赤になり、ヒリヒリします。ヒリヒリは数時間前の紫外線の作用なのです。本当の意味での焼け焦げる作用はありませんので即時ではないのです。放射能と同じなのがお分かり頂けると思います。
また紫外線のような光は、瞬間的には深くまで届きませんが、長時間暴露で深くまで届きます。つまり真皮などに影響が生じ、シワの原因にもなります。そう聞くと怖いですね。

では、紫外線だけが危険でしょうか?波長幾つ以下は紫外線のA波で危険とか、そんなのは人類が勝手に区分しているだけです。それより1 nmでも波長が長いと安全、そういうことはありません。ざっくり、波長が短くなるにつれて化学的な影響が強いと考えてください。目に見える青色の光だって少ないながらも影響があるのです。短くなるほど危険であり、放射能のように皮膚炎を起こします。DNAに傷害が生じます。
一方、波長が長くなるほど、人体は防御できるようになります。メラニンという物質があるのです。短いB波より長いA波の方が炎症より黒くなりやすい、これはメラニンという我々の身体のバリア機能が働きやすいから、これは美容にとっては大敵であっても、実は身体にとっては味方です。メラニンに感謝。
レーザー等で言われる、光吸収率というものがありますが、メラニンは波長が長くなるほど吸収率が劣るというのは、これを考えるとなるほどと思います。人体は上手くできています。

しかし、メラニンの吸収が少なくなる長い波長、つまり近赤外線領域もまた人体への影響があることが最近分かってきました。メラニンでは防げませんし、水への吸収もあります。深部へ到達し、熱を発生させる領域のこの光は、地球を温め生命として生きていくための環境を作る光でもありますが、浴びすぎは良くないようです。
私が親しくさせて頂いているクリニカタナカの田中洋平先生がこの道の第一人者ですが、素晴らしい論文を幾つか書かれています。近赤外線は老化を早めると。。。。

でもそうなると、暗闇で引きこもらなきゃ。。。。。
だからこそ、あまり神経質にならずに、光にだけ気を取られずに、肌を丈夫にするようなスキンケアが大事ではないかなと思います。もちろん日焼け止めは塗って下さいね。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 654

Trending Articles