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Channel: 美容外科開業医の独り言
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ヒアルロン酸注入による顔面の若返り:膨らませるのは時代遅れ

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最近、ヒアルロン酸やレディエッセ注入による顔面の若返り治療が一般化してきました。ヒアルロン酸製剤の一部が厚生労働省承認を取ったということから、製造会社の主催するセミナー、情報提供が盛んとなり、多くの医師が使用を始めたということも大きな影響があります。私もトレーニングドクターの一人に指名され、注入手技の指導などの活動をしています。

ただ、お隣韓国などでは注入治療が急激に普及し、それとともに誤った使用、手技などの問題からトラブルが急増したため、日本ではそのようなことが起こらないと良いなと思っています。もちろんどんなに経験豊富でもトラブルは起こりえるので、自分自身も含めて最新の安全対策など情報は入手していかなければいけません。

 

さて、ここ数年、注入手技は、「膨らませるだけの方法」から顔の加齢性変化を考慮した適切なボリューム補充と支持靱帯の補強という方法へと変化してきました。単に凹んでいるところへ注入するのではなく、加齢によって萎縮した顔面の骨や脂肪を解剖学的に理解し、溝を膨らませるのではなく溝を引き上げるような手法を用いるのです。顔面にはいくつもの支持靱帯があります。これは顔の皮膚などを吊り上げている重要な靱帯です。

フェイスリフト(たるみ取り)手術においても従来はSMASという筋膜を面状に持ち上げてたるみを取る手法が主流でしたが、さらに拡大手術として支持靱帯を再構築して引き上げていくという手技が開発されています。これはかなり大がかりであり、手術専門のクリニックの一部がおこなっているに過ぎませんが、注入治療ではこれが非外科的にある程度可能となりました。

知り合いの海外のドクターと話しても、ボリュームを補うだけなんて古い、今はいかに引き上げるかを考えなければいけないという意見を頻繁に聞きます。

それを簡便にしたビスタシェイプという手法も日本では紹介されています。もちろん初心者がはじめるには良いのですが、専門クリニックにとってはもっと個体差を考慮し、靱帯の周囲をどのように補填するか、そしてかつ必要なボリュームを補う手法を用いないと、他院と差別化のある満足いく結果は得られにくいものです。他にも製剤自体の問題もあります(なぜか、それはその他大人の事情もあり割愛します)。

 

どこのボリュームを補うかについては、例えば眼の下頬上方がたるんでいるからといって、ここへ大量に注入すれば、「リスが餌を含んだような顔」になります。下垂した目の下の深い層の脂肪周囲への適量注入、加齢で萎縮した骨の一部の充填(どのように萎縮するか理解せずに全体に入れるのではありません)をおこなうべきです。

頬骨の張り出しも加齢で変化しますが、欧米好みの顔と東洋人の好みは異なります。

ただ、このあたりは共通項もあります。先日のDr.Montesの注入レクチャーでは西洋人的であまり良い結果は得られないかなと思っていたのですが、実際には素晴らしい結果で驚きました。

 

様々な医師のアイデアを取り入れ、自分なりに組み立てていくことで、より良い結果を導くことができます。

 

幸い、私には多くのアジア人ドクターの友人がいます。いつも情報交換をしています。独りよがりではいけませんが、オリジナリティも大事であり、沢山の情報の中から自身の考える造形美を達成できる手法を編み出していく、おそらく日々進化していけるであろうと思います。通院して頂いている患者様においては、たぶん私の話は毎年のように変化しているのがご理解頂けると思います。

昨年聞いた治療内容と全然違う、そんなこともしょっちゅうです(笑)

 

注入剤は彫刻刀と同じだと考えています。色々な形状の彫刻刀があり、それを使い分けることは大事です。そして彫刻刀が同じなら誰が木彫りを作っても同じ作品ができるわけではありません。「技術」という要素があります。

しかし日々の診療において、ヒアルロン酸注入を勧めると、他院で実施したけど気に入らなかったからヒアルロン酸は嫌いと言われることもあります。注入治療に限りませんが、「どこでも結果は同じ」ではありません。

 

だからこそ、私自身も患者様に認めてもらえるよう、常に技術を磨き、かつ世界の最新トレンドを把握して差別化をしていくように日々精進します。まだまだ未熟な部分もありますが、成長の余地があるということで、50代のオッサン医師でも常に勉強です。

 

そして、注入剤だけではなく、機器や糸の組み合わせをおこなうコンビネーション治療、これも近年のトレンドです。知り合いの多くのアジア人医師は実践しています。日本は機器治療が主流ということもあり、なかなかここまで踏み込んでくれる患者様は多くはないのですが、最近は当院の流行りにもなっています。糸の入れ方も,吊り上げるのではなく、全く違う手法をおこなっています。靱帯の補強というテーマで最近は良い結果が得られるようになっています。いわゆるスレッドリフトとは全く異なる結果で自然で違和感なく、かつ顔の中心部が引き上がる、このテクニックは現在当院でのみ実施していると自負しています。ウルセラというたるみ治療機器においてもこれは同様で、最近グレードアップしているのです。

このあたりの話しは次回また。

 

 

 

 

 

 

 

 


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