当院は形成外科手術後の傷跡修正なども診療しています。
大学病院からの紹介や、ご自身で当院を見つけられて、口唇裂手術後の変形や傷跡を美容医療でさらに改善したいという人が来院されるケースが最近多くなっています。
特に大学ではもうこれ以上無理ですよと言われて、レーザー等でもう少し傷をぼかしたいという希望を持っていらっしゃるようです。
殆どの方は成人されています。口唇裂の手術は生後数ヶ月以内に実施されますから、20年以上、時には40年ほど経っているわけです。
どなたに手術をして頂いたのか伺うと、私が若い頃に名医と謳われた先生方のお名前が出てきます。当時は学会のスライドでしか見る事ができなかった術式での長期経過を間近で見て、感動する事もしばしばです。名人の手術は本当に傷跡が綺麗!
残念ながらその後の修正で生じた傷跡の方が綺麗でない事もしばしばです。形成外科医は形態、機能を重視しつつ修正手術をしますので、ダイナミックに鼻や上顎の形態は変化している場合も多いのですが、一番最初に行われた一次修正の傷跡が素晴らしく綺麗だと、患者さんは形態に満足はしつつもその後出来た傷跡に不満を感じるようです。
先天異常の手術は、その人の将来にずっと責任を持つつもりで執刀しなさいとはよく言われたものです。
10年、20年先を見越してきちんと結果を出している名人の先生方は本当に素晴らしいです。
美容医療も、その場の流行だけで安全性を確かめずに実施すると、あとでとんでもない事になり得ます。魔法のような、夢のような治療はあり得ません。再生医療の名のもと、今も魔法のような治療法が登場していますが、果たして20年後に問題ないと言えるのかどうか。
「儲かるから」だけで決めてはいけない、医師の良心もあります。私自身、新しく素晴らしいと信じて実施、その後トラブルが発生した治療をした経験もあります。以後はじっくり考え、開発者の話を鵜呑みにせず、信じ込まずに自分の頭で考えるようにしています。今の美容医療を見てみると、平気でよく分からない成長因子系・幹細胞系の注射をおこなっている施設もあります。業者のセミナーで話を聞いて、全てを信じて導入することが本当によいことなのか?
誤っていると言うことも出来ませんが、正しいと言えるかどうか、言えないものには私は手を出さないことを基本にしています。
しかし新しいものが次々に登場している世界でもあります。あまりに保守的では機器治療くらいしか出来なくなります。注入系においては、アンテナを張り巡らし、しっかり勉強して知識をつけた上で取り入れなければなりません。特に国内では業者やお抱え医師の色がしっかりついてしまっていますし、情報の核心に迫ることが出来ません。時には海外に行って実際に見てくる必要もあります。
日々勉強。
さて、報告。新型サーマクールFLXが登場しました。当院でも既にデータを取っています。即効性があるのが最大のメリットですが、これは本当の意味での引き締めではありません。まだ数ヶ月の使用経験なので長期的な成績はこれからです。理論を考えると現行型から劇的な変化ではないと思いますが、痛みのコントロールや安全性などに優れていると思います。よって個々の症例に応じて最適な施術ができるのかなという印象です。実際、表面的な引き締め効果は高いようです。なかなか良さそうです。