新型コロナウィルスの影響で,世界中が大変な状況となっております。美容医療なんて言っている場合ではない、そんな時期です。他国の医師仲間の状況を見ると、欧米では多くが休診中です。国際学会のwebセミナーではafter CORONAでどうするべきか、等が論じられています。
しかし一方で、台湾や韓国では診療を継続しているようです。我が国も多くのクリニックは診療を継続しています。平常通りの患者数というところもありますが、激減しているところもあり、経営が大変という話もよく耳にします。
美容だけではなく内科等の一般医療機関も受診患者数が減少し,経営難になっているそうで、飲食だけでなく、人と対面する必要のある仕事は感染症関連以外は全て厳しい状況なのだと痛感します。
当院においては,予約がなかなか取れないという状況ではなくなりましたが、診療は通常通りです。来院希望の方はいつものように御予約下さい。しかし感染予防のため待合室の混雑回避、social distanceや診察毎に清拭消毒など、どうしても予約人数の制限が必要であり、ご不便をおかけしています。
さて、美容医療は不要不急でしょうか。もちろん殆どはそうです。ただ、何を基準に不要なのか、不急なのかを論じることは難しいです。個人によって考えは異なります。そして2〜3週ならともかく、長期化してくると話も変わってきます。ですから、同類のものでたとえるのが良いかなと思っています。
視点が変われば価値観や判断も変わりますので、これはあくまで現時点での私個人の意見です。そして美容医療に肯定的な考えを基本としています。否定的考えなら全て一生涯不要になってしまうので、その点はご了承下さい。
しみの治療:これは白髪染めと同じと思います。放置しても見た目の問題だけ(紫外線予防は必須です)。気にしないなら白髪染めも不要不急です。一生白髪を染めない、なんていう人からすれば意味のないものです。こんな時期に白髪を染めに行くなんて言語道断、そう考える人もいるでしょう。一方で見た目が気になる、何とかしたいという人もいるでしょう。市販の白髪染めで十分だという人もいれば美容室に行きたいという人もいるでしょう。待てないか、長期でも我慢するか、永久に放置か、個人の考え方次第です。
ヒアルロン酸注入:ネイルや睫毛のエクステと同じです。急ぐことはないですし、1年放置でも、あとで何とでもなります。マスクするしstay homeだから人と会わないので今は不要。それで構いません。しかし「いや、外見は重要。ネイルのない指なんて恥ずかしい」、今の時期でもそう思う人もいるでしょう。逆にネイルをしない男性からしたら何を馬鹿なことを、そもそも平時でも「不要」だろうと感じるかもしれません。ただ、不急ではあっても女性にとっては「不要」ではないとは思います。
ボトックス治療:床屋と同じです。髪なんてしばらく切らなくても外見以外は困りません。でも切れば元通りすっきり。ボトックスを打たないと眉間の彫ったような縦皺が出てきますが、別に外見以外は困りません。でも治療すればすっきり。長期打たなければシワが深くなります。ただ短期に立て続けに治療する必要があるものでもありません。
たるみの機器治療:肩こりや腰痛で整体に通うのと同じ(何に重きを置くかは価値観の差なのでお許し下さい)。止めると悪化しますが、命に関わるものではありません。でも継続しないと,加齢と主に進行し、元には戻せません。「急を要する」治療ではないですが「不急」ではありません。定期的な施術を要します。もちろん、あくまで外見を気にする人に限ります。
スキンケア治療:基礎化粧品などと同じです。特に女性にとっては不要ではありません。乾燥を防ぐには必要です。ただ毎週のように念入りに通院するかどうかは微妙です。1〜2ヶ月も間隔が空くと肌の状態が悪くなりますので、治療が必要な人も多いと思います。
二重まぶた,隆鼻など手術:さすがにこれはたとえるまでもなく。。。。あとからでも結果は同じです。でも生涯不要、ではないと思います。ただ、メディアで言われるように長いダウンタイムが可能だから美容外科クリニックは大繁盛というのはミスリードで悪意ある記事です。
なお、ニキビ治療やケロイド治療は中断すると症状が悪化します。命に関わらない限り医療機関に受診するなというのはロックダウンになった時に考えましょう。現状なら症状悪化を防ぐことを考えて良いと思います。
美容医療は生死に関わるものではありませんが、求める人にとっては「不要」ではありません。なにより「美容」そのものが悪いのではありませんし、数ヶ月にわたる「不急」なのかどうか、でしょう。それは個人の価値観に左右されます。
そのうえでウィルス感染にとってリスクがあるかどうか、それを防ぐための行動様式に合致しないものは自粛しなくてはならないという考えではないかと思います。
なお、
当院では来院時の非接触式機器による検温と様々な感染防御態勢のもと通常通り診療をしています。またマスクとゴーグル着用で診療していますことはご容赦下さい。