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Channel: 美容外科開業医の独り言
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部分痩身の未来

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今日はアラガン社(ボトックスなどの製造会社)の注入系のグローバルマーケット担当者が当院来訪、日本の美容事情などのヒアリングでした。英語、ちょっと久々だったので、やや不調....でした。

さて、
前回のブログで、部分痩身の需要が広がる可能性を書きました。
それに対して、もう少し詳しく知りたいという意見もあったことから、私個人の見解を述べようと思います。私は経営学を学んだことはないので、あくまでこの業界にいて様々な新しい機器を使ったり、海外のマーケッティングなどに関わることが多い立場からの推測です。

2~3年前に部分痩身の機器が登場したとき、今後の需要は拡大するであろうと考えました。実際に多数のメーカーがこの領域に参入、機器については活況です。医師ー業者間でのマーケットは大きく広がりました。
しかし日本では、実際の患者数は横ばいです。理由は部分痩身とダイエットの違いをはっきりと分かりやすく伝えることができなかったこと、部分痩身自体の意味・意義が理解されていないことなどが挙げられます。まだまだ日本では痩身というとウエストが何センチ減ったか、体重が何キロ落ちたかが主であり、形状の変化については二の次です。

2~3年前に「ウルトラアクセント」がシェアを広げたのは、メディア戦略を一部クリニックが大々的に実施をしたためですが、その後に正しく認知されないままだと市場規模は徐々に縮小します。参入する医療機関が増える以上、希望される患者数が増え続けていかないと一時的流行で終わってしまうのです。マーケットを完全に動かすような大きな力ではなかったということです。維持するためにはずっと広告を出し続けるしかありません。

まだ現状では医療での市場規模は大きくなく、出来上がっていません。しかしもっと大きな市場規模であるエステが脂肪凍結・冷却機器(冷却美容)へ参入することによって、我々の市場規模も変わる可能性があると考えています。しかし、もちろんすぐに変化することはないでしょう。数年後まではむしろ縮小するかもしれません。脂肪冷却という概念が正しく広まればそこで大きく変化します。
しかしながら、エステがもしこの手の機器を痩せる、ダイエットであるという誤解のもとで宣伝をしてしまったら、エステのような広告ありきの産業では、今までの痩身市場の中でのみ脂肪冷却・部分痩身は広がっていくと思いますが、新たなマーケットを起こす事ができません。そしてエステでの広告によって消費者が誤った理解をしたままでは、規模の小さい医療がどんなにあがいても、部分痩身市場がなくなってしまうでしょう。

今は慌てずじっとしておかないとリスクも高そうですし、部分痩身の機器を追加で導入するのは見送り、かな....
うーん、でも欲しいものもあるし…

あくまで私個人の見解ですので、「外れたじゃないか」とは言わないで下さい。



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