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Channel: 美容外科開業医の独り言
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第37回日本美容外科学会に参加

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9月2日午後から昨日までの2日半、日本美容外科学会に出席してきました。
この学会は美容医療、特に外科系の学会ではもっとも規模が大きく、大学の教授方も多数参加する学術的な学会です。
今回は神田美容外科の征矢野進一先生が会長でした。注入治療でご高名な先生ですので、内容的にはノンサージカルつまり手術以外の内容が盛りだくさんの会となり、美容皮膚科系の先生も多数参加されていたようです。

学会前日は評議員会と会長招宴。私も一応学会の評議員ですので会議に参加し、予算の話や組織、会則の変更のお話しなどを聞いてきました。今後は(内科・外科・小児科などを含めた全ての)専門医制度の変更と共に、日本美容外科学会は正式に日本形成外科学会の上に成り立つ組織へと移行して発展していきます。そのために必要な準備、会の法人資格、会則や予算の厳格化などで大変な時期だと思いますが、理事の先生方が色々と労を取って下さっており、組織としてよりしっかりしたものになっていくようです。
会長招宴は学会の主要メンバーと、重要な講演をするドクターだけが呼ばれる会です。今回はうつみ宮土理さんがサプライズゲスト。バンドの演奏も入り盛り上がるなか、お偉い先生方から貴重なお話しを伺った夜でした。

さて、学会では初日にランチョンセミナー講演、2日目には午前のシンポジウムで2つ講演した上、午後はシンポジウムの座長と、我ながらハードなスケジュールでした。
学会場

初日のランチョンセミナーでは、当院でも最近非常に評価が高いレガート2というマイクロプラズマ&高圧超音波導入機の講演をしました。この機器はプラズマと高周波による熱&非熱的破壊、殺菌作用と特殊な超音波による薬剤の真皮への導入を主たる作用とする機器です。
どういうことかというと、通常イオン導入やエレクトロポレーションと言われる機械は真皮まで薬剤が入るかどうか懐疑的です。しかしレガートの場合は確実に真皮まで薬剤が到達します。
最たるものがケロイド治療です。ケロイドの治療にはステロイドの注射が一般に用いられます。真皮内に針を刺して注入するのですが、注射をせずにイオン導入や各種導入器でおこなっても無効です。レガートは実際に注射に近い効果を得ることができます。
フラクショナルレーザー照射後やダーマローラー時に薬剤を塗布する古い方法もありますが、それほど深くには薬剤は入りません。当院で以前に実施したこともありましたが、レガートがある今では効果は雲泥の差と感じます。
また殺菌作用が強くニキビがでにくくなるのも特徴的です。つまりニキビ・ニキビ痕・ケロイド等の症状複数が同時に生じている人などにも用いる事ができます。

これら非常に興味深い特徴を持つレガート2について、基礎から実際の治療法までを解説しました。それなりに評判が良かったかなと思います。

午後はごく内輪の某治療症例検討会にオブザーバーとして急遽呼ばれて参加。特に最近問題となっているトラブルケースについて腹を割った検討会でした。どのような手法をしているのかが分かればその後の対処法も分かります。非常に勉強になりました。また意見を求められたので、私の考え・経験について発言しました。

夕方には私が開発に関与したイージスYAGというシワ治療レーザー機器の動物実験データなどを戸田中央病院・順天堂大学形成外科の堀口雅敏先生が発表されたので、拝聴しました。12月には別のグループですが、国際学会でこの機器の発表があります。韓国での発売も迫ってきており、イージスYAGが世界デビューの予定です。

さて、夜は学会懇親会参加後に、ご高名な先生方とお食事会。普段なかなか一堂に会してお話しすることがない面々であり、非常に楽しく、勉強になる夜でした。ちょうどサフォクリニックの白壁征夫先生のお誕生日であり、みんなでハッピーバースデー!

集合写真


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第37回日本美容外科学会に参加〜その2〜

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さて、前回に引き続き、美容外科学会のお話しです。

2日目は大忙し。シンポジウム講演です。
シンポジウムというのは学会で主役となるセッションです。数名の医師がテーマに沿った最新の知見を発表します。
今回は全部で11のシンポジウムが用意されていましたが、そのうちの3つに関わらせて頂きました。光栄なことです。
午前中は立て続けに2つ、シンポジウムで講演。
最初は注入剤レディエッセによる顔面の輪郭形成についてです。
レディエッセはカルシウムハイドロキシアパタイト製剤で、骨に近い成分で粘りけが強いことから、顔面の加齢による輪郭の変化、ボリュームの欠如に用いる事が多い製剤です。1年ほどでほぼ確実に吸収されてなくなるので、将来的な不安も少なく、非常に優れた製剤ですが、やや技術的に使いづらいことがあります。ボリューム変化の予測や構造的に注入するべき深さなどです。それらに少し絞って詳しくお話しをさせて頂きました。
次はQスイッチアレキサンドライトレーザーについて。この機器は非常にスタンダードなシミ、アザ取りレーザーで、私自身も15~16年ほど前から使用している馴染みの深い機器です。美容医療における使い方、つまり主としてシミ治療について利点などを含めて解説しました。

発表

ちょっとこのあたりでバテ気味でしたが、午後はシンポジウム「水光治療」の座長を務めました。
水光治療、水光注射は今流行りの治療法で、非架橋という状態のヒアルロン酸と様々な薬剤を混合して機器によって痛み、ダウンタイム少なく注入する手技です。今回は演者それぞれの考える薬剤の選択に相違点があり、それぞれ素晴らしい結果を出していました。各薬剤についてもう少し突っ込んだ討論をしようと思ったのですが、時間が短く総論的なところで終わってしまいました。座長としての技量はまだまだ。。。。です。

感謝状を3つ、頂きました。
感謝状

さて、また秋の講演・学会活動は続く。。。。

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美容医療における医師の技術・治療と対価

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我々医師は、様々な治療に対して患者様から金銭を頂きます。
赤ヒゲ先生のような医師であれば別ですが、仕事として診療をしている以上、対価は発生します。

当院では診察費も頂いております。初診、再診ともにです。
診察費無料という所もあるようですが、多くの場合は医師ではないカウンセラーが話を聞いて、色々な治療プランを組む・勧めてくることになります。
診察費というのは保険診療でも認められた医療技術です。弁護士の先生に相談に行けば相談料がかかるのと同じく、医師としてその医学知識によって診察をすれば対価としての費用は発生します。

治療に関しても同様です。保険医療では研修医でも教授でも、どの医師が治療をしても手術代は同じであり、これが病院における医師の疲弊を招き、諸問題を発生させていると言われていますが、美容医療の場合は自由診療で、クリニック毎に治療費は異なります。

しかし高額だから患者が満足するとは限らず、それゆえ「高い」の逆が「良心的」と言われがちです。ではどう考えるのが妥当なのか。

レストランと同じと考えます。フランスに行って長年修行を積んで、色々な知識と技術を持ってレストランを経営しているシェフがいる店と、そのような修行はなく、最初の数年働いた上で開業した何となく調理しているシェフ、もしくはバイトが調理しているようなレストランで食事代が同じでなければいけないと考える人は少ないでしょう。


1修行を積んだシェフは、若い頃苦労してフランスに行って修行し、色々な知識を吸収し、また帰国後も研鑽を積んだから、それだけの対価をもらって当然だし、料理も美味しいのです。
そのシェフの経歴(修行)、そしてそれを維持するにかかるお金(毎年フランスに行くとか)が料理代に加味される事をおかしいという人は少ないでしょう。
医師でも、病院勤務で下積みをしてしっかり研修し、学会にも参加し海外にも勉強に行く医師であれば、それなりに技術も経験もある上、かかる費用もあり、治療費がそれなりの金額になりますが、それを良しと思わない人もいます。。。。

2シェフ自らが調理してくれれば、それなりのお金を払うでしょうし、材料が同じだから皿洗いの若手に作ってもらって安く済ませるという人は少ないでしょう。
しかし、医師がその持てる知識と技術を発揮して治療をしてくれるよりも、1週間前に入職した看護師によって施術を受けて安く済ませたいという人は沢山います。

3食べログの記載を見ても、美味しいお店なのにコストパフォーマンスが悪い、とか単に高いから最低と書かれていることもあります。中には値段が価値の判断基準という人ももちろんいます。
我々の仕事もそれと同じで、安くない治療で効果が弱ければ、即悪徳と言われることもあります。

4意味もなく高い内装で味は美味しくないのに、その雰囲気で(短期に)流行っているレストランもあります。
内装もサービスの一つであり、医療でも最近そのようなことが叫ばれていますが、このあたりはどう考えるべきでしょうか。

5メディアに頻繁に取り上げられるもしくはタイアップされているレストランは流行に乗って大繁盛になる事が多いですが、美味しくて取材されるレストランと、なにがしかの力で取材されるレストランがあります。イケメンシェフなんてのも「あり」です。
美容医療でも同じく、腕もありメディア対応も上手な医師もいれば、何となく立派そうに見えるがその専門性に乏しい医師もいます。「綺麗」が売りの医師も。

6高いワインを頼めば美味しいと考える人もいます。間違いではないですが、何事も常識の範囲があります。通常の価格設定ではそんなにしないはずでも、豪華な雰囲気で高い価格設定を見るとつい注文して、美味しいと思い込んでしまうこともあります。そういう所で食事できるという「選ばれた」意識が強いのでしょうか。
美容医療でも、常識的にあり得ない高額設定の治療を受けて、そのラグジュアリーさと高額費用だけですごい治療を受けているように勘違いしてしまう。本当に妥当な費用なのでしょうか、そこまで違うものでしょうか。

以上、色々書きましたが、レストランと美容医療には決定的に大きな違いがあります。
医療行為の場合は「味覚」以上に、効果の評価が主観的で曖昧であり、また医師と患者サイドの意識のずれも大きいものです。
患者様の話をきちんと聞き、悩みにきちんとフィットした治療が出来るかどうかも、診療技術の一つと言えます。そのあたりが難しいところです。

偉そうに書いた私は、、、、
一応色々勉強はしてますが、まだまだ未熟な部分は沢山あります。
本当の一流シェフのように、人としても優れ、腕も最高峰、そうなりたいです。

顔やせの輪郭注射

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週末は業者さんのセミナーで福岡にて講演。
肌の透明感や質感を改善する水光注射、頬の引き上げ作用が強いウルトラVリフト(糸によるリフト)、そして新しい手法輪郭注射について解説、デモンストレーションをしてきました。

水光注射は、2~3年ほど前に韓国に訪問した際にたまたまダーマシャインという機器を見て、日本への導入を積極的に推進してきた、私自身の思い入れがある治療機器・治療法です。今や日本でもかなりの台数が稼働し、学会でもシンポジウムが組まれるほどスタンダードな治療法となってきました。日本人にマッチした治療法であり、今後も発展していくことが期待されます。

ウルトラVリフト(ショッピングスレッド)は私自身は顔中央部頬を主とした引き上げ効果に関して最も結果を出せる方法と思っていますが、通常の糸の入れ方では効果が出づらく、医師の技量の差が大きな治療法です。どうすれば結果を出せるのか、3Dメソッドという深部脂肪組織への立体的な施術法について解説をしました。

そして新しい治療法、輪郭注射。
ここ数ヶ月ほどテストを繰り返し、最近治療メニューに導入した方法です。皮下の水分代謝、循環を改善する短期的効果と、長期的な脂肪融解作用をもつ薬剤を注射する手法で、韓国で輪郭注射という名称で急激に普及しました。ただ韓国で流通する薬剤には種々の問題があり、そのためレシピを変更して、オリジナルであるスペイン(メソセラピーという治療法が盛んです)の製剤を用いて、日本人に最適な注射方法などを検討してきましたが、最近結果を伴う治療と確信が持てたために、その理論や薬師作用などを解明し、現在「顔やせ」を希望される方に治療を開始しています。
従来の脂肪溶解(融解)注射は腫れや赤み、痒みなどを生じ、なかなか一般化しませんでしたが、この輪郭注射は腫れも生じず、大きな副作用も現在のところ認められていません。スペインの開発ドクターの話では1万例以上の経験でもそのような副作用は見られないとか。もちろんゼロではないと思いますが、安全性は高い治療法です。

ただ、製剤がハーブ系を主成分としており、我々日本人医師にとってはハーブ=怪しげなものと考えてしまい、私も本当にどうなのかなと考えていましたが、ヨーロッパでのハーブ治療は中世から始まる歴史ある療法で、漢方のようにその薬理作用が現在医学によって解明されてきています。最近そのあたりを勉強してその面白さに気づきました。美容医療において、新しい一つの分野としてこのような薬剤治療にはまだまだ秘められた可能性があるのではないでしょうか。
ただ、西洋医学で解明されない「得体の知れない」注射はやはり用いる事ができません。今は輪郭注射の効果効能を医学的に理解するのがやっとであり、本来もっと多様なこの手の治療に関しては、徐々に安全性などをきちんと検証していかなければなりません。焦って怖い治療には手を出さないよう、きちんと勉強していきながら、また新しいものを提案していければ良いなと思っています。

シワ治療の最新機器と韓国人ドクター来訪

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先週末は当院へ韓国のドクターが3名、来訪されました。
当院で実施しているイージスYAGの実際の治療法や効果、理論などについてディスカッションするためです。
この機器は日本で開発されたlaser fillerというコンセプトのシワ治療用レーザーで、主に目の下や目尻、法令線のしわに対して有効であり、最近では広範囲照射によって顔全体の引き締め効果も得られることが分かってきました。機械の治療ですので、もちろん劇的効果ではありませんが、従来は難しかった様々なシワ治療に用いる事ができる新しい理論の機器です。

韓国でも同じ仕組みの機器をライセンス生産することとなり、まずは情報収集ということで当院を来訪されたというわけです。
韓国ドクター

近年は韓国で新しい治療法が開発されて、日本へと導入されることが圧倒的に多く、逆のパターンは殆どありません。それに今回のケースでも、正規のモノとして韓国に輸出されるのではなく、同じ事ができるレーザーにイージスYAG特有のハンドピース・レーザーコントロールシステムを搭載する形式になります。日本における法的な様々な制約や価格の高さなどがネックとなっています。

まあ、そんなぼやきはさておき、
このイージスYAGは微小な径のレーザー光をローターで軸回転させながら1秒間に30照射します。逆円錐状のベクトル方向でレーザーファイバー自体が回転しながら周囲(逆円錐の底面)から順次照射され、焦点が合った部分、つまりは皮膚の深部(逆円錐の頂点)のみはエネルギーが集中して熱破壊が生じます。皮膚表面は微小なエネルギー分散のためにダメージを生じず、皮膚深部はエネルギー集中のためダメージが生じる仕組みです。
イージス
今までにない新しいアイデアで、私自身も開発に関わったために非常に愛着ある機器です。その効果も今までにはないものであるため、最近多用しています。

韓国人ドクターは常に新しい治療機器、治療方法を探すことに熱心であり、今回もこのイージスYAGについて非常に熱心に質問され、またディスカッション終了後に近くで食事をしたのですが、その席でもずっと機器の話でした。。。。

韓国ネタついでに、
私の書いた拙書「美容医療機器の理論と実践」が先月韓国内で販売されました。友人のリーダースクリニックのDr.Rhoが1年近くかけて翻訳の監修をしてくれて、韓国人ドクターに合った素晴らしい書籍に仕上げてくれました。非常に名誉なことで、すごく嬉しいです!


書籍
韓国語版と日本語版、重ねてみました。



イチからはじめる美容医療機器の理論と実践/全日本病院出版会

¥6,480
Amazon.co.jp

顔やせの輪郭注射セミナー

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本日は台風直下。予約キャンセルは幾つかありますが、この天候の中、来院される患者様も沢山いらっしゃいます。有り難いです。

昨日は顔やせの輪郭注射セミナーで講演でした。台風の接近中にも関わらず、全国から沢山のドクターに参加頂きました。
さて、最近ではこの手の薬剤が幾つか登場していますが、輪郭注射の本家本元、スペインsimildiet社の薬剤を用いた治療法について解説をさせて頂きました。
この輪郭注射、数回の注射で皮下脂肪が減少します。本家ではボディも実施をしていますが、セルライトの少ない日本人においては効果発現は軽微であり、その影響を受けにくい顔面が主たる適応です。
治療後の腫れが当日程度で殆ど生じず、赤くなったり痒くなったりも殆ど見られないために、従来の脂肪融解注射と比較して非常に受け入れやすい治療法です。注入後数日で、何となくすっきりとした感じになり、その後徐々に脂肪が減量してきますが、効果発現には数回を要します(詳細はクリニックサイトをご覧下さい)。
前々回のブログでもその作用機序などは軽く説明をしましたが、日本人に馴染みの少ないハーブ由来の成分を使用しており、効果効能について今までははっきりと解説したものがありませんでした。
今回のセミナーをするにあたって、本国よりその作用機序の詳細を内密に教えて頂き、また自身で調べ得た「西洋医学的な」効果効能をも加え、医学としてきちんと納得できる内容に仕上げることができました。この作業が非常に大変でしたが、セミナーで講演する以上は、参加されたドクターが納得できる医学的なプレゼンを作る必要があり、その役目を果たすべく時間を割いてきました。
詳細は医学的な内容が多いので割愛しますが、理に叶った作用機序であり、安全に効果が出るのであろうと考えられます。
脂肪融解と代謝亢進作用の二つを有するこの輪郭注射は、他の怪しい治療法と異なり、今後は徐々に我が国で受け入れられていくのではないでしょうか。
ただ、まだまだ検証していかなければならない部分もあります。

昨日は、このほかに水光注射の講演・実演と、「美容医療の基礎と考え方」なる講演もさせて頂きました。この話は今回初めてだったので、プレゼンもかなりの部分を一から作成、今後の美容医療がどうなるか、またどういった戦略をするべきなのか、クリニックタイプの違いも含めて自身の考えをお話ししました。結構この講演の評判が良く、嬉しかったです。



杉野先生と
今回一緒に講演した青山エルクリニックの杉野宏子先生と。

セミナー
杉野先生の御講演の様子。メソセラピーの理論と歴史の話は非常に勉強になりました。

美容医療の疑問点:レーザーは似たようなもの?

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先週後半は松本市で開催された日本形成外科学会基礎学術集会に参加してきました。
基礎学会
信州大学形成外科 松尾清教授が会長です。
会場
会場は松本市のキッセイ文化ホール。駅から少し遠かったです。。。。

今回の出張、私が開発に関与したレーザー「イージスYAG」についての基礎(組織学的)検討の発表があり、そのサポートをするためです。
大学の研究室でデータ取りをしてもらっているのですが、オリジナリティが高く、非常に面白い結果が得られたため、今後も発表していく計画ですし、また別の大学での臨床試験も進んできて、若手の先生による海外での発表も決まりました(そのため12月に香港に行かなければならず、師走ですが2日程度休診します、申し訳ありません)。韓国でのライセンス生産についても順調に話が進んできていますし、韓国の某大学教授が非常に興味を示してくださっています。
機器開発に関しては今までも幾つかお手伝いをさせて頂いています。提案した機能をつけて頂いたり、その検証をしたりという仕事は楽しく、海外の技術者とのやり取りも勉強になりました。そして、いつかは基本設計から関与したいと思っていましたが、今回の機器はまさに念願叶って、です。
「皮膚の深部に熱を入れる機器」であり、現在ではシワ治療に用いていますが、少し前から顔全体のたるみ治療にも有効であることが分かり、検討中です(もう少ししたらモニター募集も考えています)。

さて、レーザーというのは一括りにはできませんし、同じように見えても様々な違いがあります。
まず、種類と機器の名称がありますが、これを混同しがちです。名称が異なっても同じ種類だと、効果や標的となる物質は近似します。
例えば、ジェネシス、ジェントルヤグ、イージスヤグ。これらは機器名ですが、レーザーの種類としてはロングパルスNd:YAGレーザーという同一のものです。一般にヤグレーザーと称します。ターゲットは血管であったり、やや暗く濁った水分、メラニンなどにそれぞれ緩やかに反応する波長です。種類が同じなら反応するターゲットは同じです。
じゃあロングパルスヤグレーザーなら違いはなく、何もかも同じかというとそうではありません。
全く同じ光の波長・照射時間であっても、イージスヤグは照射方法が同心円状にレーザー光線が移動しつつ中央深部に集束します。他は単純に表面から一方向に真っすぐ皮膚内へ照射されます。物理的な仕組みが異なるのです。
その他にも同じ種類のレーザーでも異なる部分は沢山。だからこそ、炭酸ガスレーザー、QスイッチNd:YAGレーザー等々、様々なメーカーから自分に合うものを選択したり、複数台の導入をしたりしています。

もう少しマニアックな話を続けましょう。
同じ種類のレーザーでも、レーザー発振時間中の波形も各社異なります。車で喩えると、加速の良いポルシェと大衆セダンの違いと同じで、スタートから時速100キロに達する時間は異なります。瞬間的な立ち上がりの高いパワーというのはレーザーにおいて組織破壊が強くなります。それ以後の時間は同じパワーであっても瞬時の力は重要です。
レーザーの照射面の出力分布(横モード)も機器で異なります。トップハットといって、シルクハットの形のように歪みなく均一な照射面を持つレーザーもあれば、ガウシアンといって、正規分布曲線のような中央ほど高エネルギーの照射面もあります。均一であれば安全でリスクが少ないので最近流行りのレーザートーニング(肝斑治療)に用いられ、中央に高いエネルギーがあれば切れ味鋭くなるので、反応の弱い対象に効果を発揮しやすいですし、工業製品では物を鋭利にカットする際に好まれます。
さらにはレーザー照射時間が同じように見えても、1発照射と思ったら実は3発の短い時間のレーザー照射の組み合わせだったりすることもあります。

これらはレーザーのカタログや性能表では示されていないのですが、このような事を理解して使い分けることでレーザーの持つ特性を引き出すことこそプロの仕事です。

と、今回はまたちょとマニアックな話でした。

そう言えば、学会のついでに善光寺参りをしてきました。暗闇の中、錠前に触れて帰ってくるという戒壇巡り、これで極楽浄土に行けるそうです。

善光寺

PR: 世界と日本の未来を育てるODA-政府広報

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政府開発援助の役割・意義、日本が行ってきた援助の成果や評価についてご紹介。

新しいシワ治療機器:目の下の脂肪とたるみ、額のシワなどに有効!

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昨日は業者さんのセミナーで講演してきました。
スムース

この時期、セミナーが多いのですが、特に昨日は5社くらいのセミナーが開催されていました。聞きに行きたい講演もあったのですが、自身の発表もあるので、我慢我慢。。。。
と思っていましたが、非常に役に立つセミナーで、充実した日曜となりました。

昨日のセミナーは、「スムースライナー」という機器に関するものでした。この機械、まだ本邦では殆ど使用されていない新しい機器ですが、お隣韓国ではかなりの台数が既に流通しています。最大のメリットは皮膚の下の癒着を高周波の力で剥離したり、脂肪を収縮させることが可能という点です。
額のシワなどはがっちりと硬く溝を刻んでいますが、その下面を高周波で剥がし、熱を与えてコラーゲンを増殖させ、シワを改善します。
また目の下の脂肪に関しても、高周波の力で縮めてしまいます。その上で皮膚の弛みも熱によって改善させることができます。今までは外科的に目の下の脂肪を除去したら皮膚がシワシワになったり、逆にシワを改善させても脂肪の膨らみが良くならないことで効果が出にくいという問題点がありましたが、このスムースライナーはこれらを解消できるという点で非常に面白い機器です。

同時にヒアルロン酸やPRPなども注入できるため、再癒着を防止したり、膨らませたり、傷の治癒力・コラーゲン産生能を高めて更なるシワの改善なども図れます(特に目の下にはPRPやヒアルロン酸併用がお勧めです)。

原理は、特殊なカニューラ針(先端がハート型になった鋭利ではない注射針)を目的とする部位に挿入し、その先端のみに高周波を流して、その熱で脂肪を熱収縮させたり、皮膚に強い熱作用を与えます。従来もこれに似た機器はありましたが、スムースライナーはしっかりと組織が焼けているのが分かります(先端に焦げたようにこびりつきます)。なにより先端がハート型になっている構造によって、組織がしっかり・安全に焼けますし、癒着を綺麗に剥がすことが可能なのです。

法令線や首のシワなど、様々な対象へも応用されつつあります。

もう一つのメリットは、施術時間が数分程度ということです。あっという間です。そのため治療費も5~8万円程度(+ヒアルロン酸やPRPの治療費加算)。もちろん1回でも改善しますが、1~2ヶ月毎に2~3回程度が推奨されています。
但し、熱でしっかり焼くために、目の下では4~7日程度腫れが生じます。額や法令線などでは2~3日で腫れはほぼ目立たなくなります。

昨日は、私が国内における初期治療の結果や機器の使い方などについて講演し、また韓国からこの機器の使用経験豊かな医師であるDr. D.H.Ahnが来日され、実際の手技などを含めて供覧して下さいました。
ハンズオン
私も2回ほどDr.Ahnのレクチャー・指導を受けに韓国に出張し、その手技を見てきたのですが、どんどんアグレッシブになってきています。ある意味韓国らしくより結果を得るために、高出力・広範囲での施術を推奨されていますが、当然腫れも強くなりますし、痛みも生じます。やはり日本人にマッチした手技の確立を要すると思います。

実は当院では既に治療を開始しています(日本人向けにアレンジした手法)。ホームページなどが追いつかず、まだ表記はしていませんが、ご相談・治療ご希望の場合は御電話にて予約対応致します。

スムースライナーは、従来の機器治療や注入治療では不十分と考えられた局所の変化を、より大きくしっかりと出せる新機器であり、今後も様々な適応が出てくるでしょう。注目です。

吸収性注入剤レディエッセによるリフトアップ

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昨日は吸収性の注入材であるレディエッセのセミナーで講演をしました。
少人数制のセミナーで、レディエッセの特性の紹介や特殊な注入法、実際の手技について詳細にディスカッションしながらおこなう会でした。
レディエッセは販売当初、ヒアルロン酸と同じような使い方で実施をしたことによるトラブルなどがあり、きちんと相違点などが分からないままの使用によって評価を落とした時期もありました。しかし海外では徐々に認知され、その特性を生かした注入手技の確立がなされたことで、いわゆるリフトアップとしての使用法が普及してきています。しかし、日本においてその考え方はまだまだ知られておらず、今回はその使用法についての話を中心に解説をしました。
 レディエッセはカルシウムハイドロキシアパタイトを主とした製剤で、カルシウムとリン酸で構成される固形をごく小さな顆粒にして水と増年剤に混和させて作られています。
レディエッセ

顔面の深い層に注入し、顔面の輪郭を変化させます。ヒアルロン酸のようなブヨブヨしたものではないため、垂れ下がったり、全体に腫れぼったいような印象を与えません。浅い注入をしてしまうと諸問題が生じますので、しっかりと深い層に押し広げつつ注入します。触っても殆ど分からないという馴染みの良さがあり、また自然な若返りを得ることができます。
イメージ
頬をふっくらと若返らせ、シャープに引き上げていきます。

頬の注入手法の代表的なものはこんな感じです。
手法

もちろんヒアルロン酸の代用になるものではありません。使い方が異なるのです。その点を理解して使用することこそが最大のポイントです。


このような話は主に海外のセミナーで勉強します。来月に開催されるためお誘いがあったのですが、諸事情により断念。。。。
海外の知人のドクターから、レディエッセは最近新しいアップデート情報がないと聞いていますので、また来年か再来年には勉強しに行ければと思います。

さて、セミナー終了後は参加者での記念撮影。
みんな
少人数で充実したディスカッションができました。

光治療機ICON

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年末のご予約は再診の方も含め、かなり混雑しております。ご希望の方はお早めにご連絡下さい。
また通常の11~12月の予約も相当先まで埋まっています。再診でも平日夕方などはかなり先まで埋まっておりますので、余裕を持ってご予約頂ければ幸いです。ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。そのため、新しい治療法などはクリニックサイト上に更新するのを控え、できるだけ再診のご予約の妨げにならぬようにしております。当ブログで読んだ最新治療などは直接診察の折などに聞いて頂ければと思います。


週末は業者さん主催のセミナーで講演でした。
今回の主催はサイノシュアというアメリカの会社で、現在吸収合併を繰り返し、かなり元気のあるレーザーメーカーです。私自身はもともとパロマ社というレーザー脱毛の特許を取得しているメーカーとのお付き合いが深く、パロマ社がサイノシュア社に吸収合併されたことでお付き合いが始まりました。

まあこのあたりの業界話はともかく、
今回のセミナーではICON(アイコン)という複合光治療機器の理論と臨床について講演させて頂きました。このICON、いわゆるフォトフェイシャル、IPL等と言われる光治療機の一種ですが、何しろパワーが強力です。熱エネルギーがしっかり発生するように作られており、メジャーな機種の中では最大の出力を有します。そのために、皮膚を保護する必要がありますので、冷却装置も強力です。皮膚の浅い層でのメラニン(しみ)の改善や表面の張り感を得るには非常に便利で、レーザーのように局所的なしっかりした治療ではなく、顔全体を万遍なく改善していくタイプの治療機器です。この機器の先々代から好んで使用しており、先代のスターラックスではフラクショナルレーザーが搭載され、その頃から使用用途が広がった機器となりました。
現在では圧迫式のフラクショナルレーザーが搭載可能です。これは先端がちょうど「レゴのブロック」のように突起状となっており、
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皮膚に押し当てることで物理的に深く食い込みます。
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既存のフラクショナルレーザーでは到達しない深層までレーザーが入り込むため、かさぶたができないタイプのフラクショナルレーザーの中では最強だと思います。何しろ持ち上がる力が強いので、肌質なども改善します。表面があまり角張っていないニキビ痕なら深さという面ではeCO2やCO2REをも凌駕します。表面を削る力はないので、その点はカサブタを作るタイプには劣ります。
しかし強い赤みは1~2日で、軽い赤みが数日というのは、週末を用いて治療が出来るわけですから、大きなアドバンテージです。気楽に施術でき、効果があるフラクショナルレーザーと言ったら良いでしょうか。

この機器の詳細について、40分程度の講演でした。

今回の演者の先生方と。厳選された講師陣のため、大盛況でした。
集合写真

疲れて、老けて見える顔の治し方

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本日は私事でクリニックを休診させて頂きました。
予約が取りにくい状況となっているにもかかわらず、申し訳ありませんでした。

12月は2日間ほど、海外の学会参加のため休診しますが、それ以外は30日まで通常通り診療いたします。
もちろん週末はまだまだ学術活動、講演に励みます。

さて、最近はたるみ治療に関して、注入剤や糸、機器を組み合わせた治療を受ける患者様が増えています。以前からブログで何度か書いていますが、加齢による変化というのは皮膚のシワ、たるみだけではなく、皮下脂肪の下垂、そして筋肉の張力変化、深部の脂肪萎縮、そして骨の容量減少(萎縮)が相まって生じています。機器では深部の変化に対応できませんし、注入だけでも引き上げることはできません。糸でもしかりです。
もちろんいきなり全ての治療をするのではなく、単独の治療を主体にして実施していくことが基本となりますが、もっと根本的に若い要望を作りたい時には、加齢変化に応じて、様々な方法を最適に組み合わせていくこととなります。
日本人の場合、若く見せる上で特に重要なのが頬正面の容量減少と法令線の上の脂肪の下がりです。いわゆる中顔面のたるみというのは、若い頃のご自分の顔を思い浮かべると分かるように、頬がふっくらしています。ここのボリュームがなく垂れ下がることで「疲れたような」顔になってしまいます。それを洗面台や電車の中など上からの光が強い状況下で見ると、「ぞっとする」と皆さんが表現するお顔になります。この改善こそが若く見えるためのポイントであると、最近強く思います。もちろんフェイスラインのたるみが気になるなど、はっきりとご本人が改善したい部位を認識されている場合にはそれに対する対処をするのが最適なのですが、何となく顔に元気がない、老けた気がするがどこをどう改善したらよいか分からないという場合、頬正面がふっくらしたらどうかをご自身で鏡を見て確認してみると良いと思います。ご希望であれば特殊なカメラで撮影して、どのような光の角度で頬に影ができて老けて見えるかをお示しすることもできます。

各種治療を組み合わせての施術が最も適していますが、最低限、頬へのボリュームアップリフト(レディエッセ注入)や糸による頬正面の三次元的引き上げを実施することでも改善が可能です。この部位は機械や手術ではなかなかしっかりした変化を出せませんので、一度検討されてみるのも良いでしょう。

機械好きと理論好き

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ご予約が大変混み合い、申し訳ありません。年内は初診のご予約枠が埋まってしまいました。ご了承ください。
また初診で来院される方においては長い時間を確保してお待ちしておりますが、無断キャンセルされる方もいらっしゃいます。予約が混み合っておりますゆえ、治療を受けたい方のためにも、必ずキャンセルのご連絡をお願い致します。
通常の飲食店と同様、時間と場所を確保してお待ちしておりますので、無断でのキャンセルに関しては、キャンセル料などの請求をさせて頂く事もあります。

さて、
私は美容医療機器の理論を検証するのが大好きです。もちろん工学的に内部構造を全て理解しているわけではないですし、壊れたら自分で修理はできません。
なぜ好きなのかと言えば、機器の理論を理解すれば、どのように使用すると臨床的に結果が出るのか、そしてその結果はどういう作用機序で、どの部分に強く働きかけるのかが分かるからです。

機械好きで美容医療を極めたいのではなく、美容医療を極めたいから機械のことを知りたい、そしてまた自分の性格的に物理学的な考え方が合っているので深みにはまったと言えば良いでしょうか。

それゆえに新しい機器が登場すると、使ってみたいし、また理論と作用が分かれば沢山のドクターとシェアしたいと、そう考えています。自分自身には人に自慢できるような才能や特殊な頭脳はありません。ただ美容医療というののが非常に面白く、自身の天職としてできるだけ高みに向かって進んでみたい意欲だけは強く持っています。

そのため、機械だけでなく、注入剤や各種薬剤の施術に関しても、沢山の情報を得て勉強したいと考えていますし、最近ではその領域のセミナーで多くのドクターへ情報を提供できるよう仕事をさせて頂いています。

注入剤も、以前はただ窪みに注入して膨らませるだけ、極端に言うと顔をぱんぱんに膨らませてシワやたるみはないけどプクッとはち切れたような顔にする手法がおこなわれていましたが、今は無理に窪みを膨らませるのではなく、いかに若い時のような顔にするのか、加齢による顔貌の解剖学的変化を理解して、謎解きをするように一つ一つのポイントを修復していく手法へと移りつつあります。欧米のドクターはそれらを芸術的なプレゼンで解説してくれますが、やはり日本人に合った施術というのがあります。頬骨の張り出した丸い・四角い顔、欧米のようなシワの多い状態ではない、重くたれた顔をどう改善するのか、海外の手法をさらに改良して注入する手法に、最近はある程度の手応えを感じています。

ですから、私は機械好きかもしれませんが、それは結果としてであって、工学的理論好きではなく、医学的理論好きなのです。

形成外科専門医として、顔面の筋や脂肪、骨を長年外科的に治療してきたからこそ分かる経験は何物にも代え難いです。美容外科では滅多に触ることのない頬骨や眼窩内、表情筋も、顔面骨骨折や顔面神経麻痺の治療、頭頸部ガンの再建手術、先天異常の手術で実際に見て触って修復してきたからこそ、皮膚科とは違う視点から治療をすることができると思いますし、また長年皮膚・スキンケアの美容皮膚科的治療をした経験、そして大学勤務時代に没頭した創傷治癒の研究で得た知識、これらは私のかけがえのない財産です。それに足りない機器の工学的理論を今勉強し、それをもって医学的理論を組み立てています。

所詮医師は機器の理論でプロにはなれませんが、実際の診療に結びつく理論ではプロなので、それを極めたいと思います。

スタンダードな機器、炭酸ガスレーザーは奥が深い

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先週末はまたセミナー講演。
土曜の夜はディナーを食べながらという趣向の業者さんのセミナーがあり、アレックストライバンテージという機器についてお話をしました。
トワイライトセミナー
世界的にも数少ない(3つの波長、2つのパルス幅で)4種類のレーザーが発振できる高機能を有する機器であり、その使用用途は幅広く、様々な濃さのシミや肝斑、アザ、ほくろ、入れ墨の治療に用いる事ができますので、その優位性などを解説しました。

そして日曜は第9回美容抗加齢医学会。
美容抗加齢
パネルディスカッションで炭酸ガスレーザーについての講演をしました。4名の演者で討論を主におこなう形式でしたが、私がおこなっている方法などを説明するだけではなく、皆さんの使用法などを聞き、様々な討論をしたので、自分自身にとっても大変勉強になりました。

炭酸ガスレーザーは、主にほくろなどの良性腫瘍を美容目的で綺麗に取るのに用いられるスタンダードな機器です。最近ではこれらにフラクショナルレーザー機能(無数の微小な点状照射をおこなう装置)が搭載されるようになっており、ニキビ痕、傷跡やシワなどの治療にも多用されています。
当院ではCO2RE、アキュパルス、eCO2の3種類を導入していますが、それぞれに良さがあり、症例によって使い分けをしてより良い結果を出すようにしています。1台あれば十分じゃないかという意見もあるかと思いますが、やはり違いはあります。スタンダードな機器だからこそ、最もよく用いる機器だからこそ、その特性を理解し、複数台を使い分けることが患者満足度につながると思います。安価な機種だけで「腕」で勝負するのも良いのですが、やはり高性能な機器を複数台用いて、より良い結果を得たいものです。
例えば、剣の達人はボロボロの刀でも素人の名刀を持った人に勝てるかもしれません。しかし、達人が名刀を持てば最強です。達人だからボロボロの刀でも大丈夫、なのかもしれませんが、より極めたいと思う気持ちがあればそうはなりません。プロほど、高性能な機器を使って、より良い治療成績を出したいものです。

昨日はシネロンキャンデラ社という世界有数の医療レーザー機器メーカー本社の人達が来訪され、技術的な話を含めた様々な意見交換をしました。相変わらず下手な英語で悪戦苦闘しつつも、有益な時間でした。
新しい情報を入手しつつ、それを上手くアウトプットしていき、患者様に還元する・業界に還元することは我々医師の務めであり、ちょっと忙しくても今後も続けていきたいと思います。

美容医療は医療なのか、ビジネスなのか

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最近ブログ更新頻度が落ちていますが、疲れているのではなく仕事が多忙なためです。ご安心ください。元気いっぱいです。先週末は注入剤レディエッセの実演セミナーを一つこなし、そしてハーフマラソン大会にも参加、完走しました。自分自身の有り余る体力に怖さを覚えます。。。。


さて、本題。
美容医療は病気を診るのではなく、健康な人をより綺麗にする、もしくはアンチエイジングとしての予防的医療であったりと、通常の医療とは異なった分野です。
私個人としては美容医療は「人」の対象が違うだけで、通常の医療と同じと考えていますが、大きなポイントとして、保険診療の枠から大きくはみ出す自由診療分野であることが挙げられます。そして患者側から見れば、病気になって仕方なく受診するのではなく、自らの意思で、目的をはっきり持って受診するものでもあります。
そうなると収益を考えたり、集客を考えたりと、「ビジネス」としての側面が強くなりがちです。しかしやはり医療なのです。

以前からよく喩えていますが、私は美容クリニックというのはレストランと同じだと考えています。均一な味を安心の元に提供するチェーンレストラン、最高の食材を最高の技法で一流シェフが調理して提供する高級レストラン、地元密着の、町で評判のレストラン、一品にこだわった名物料理のあるレストラン、並んでも食べたい味・こだわりの頑固オヤジがいるラーメン屋、決してメディアにでない取材お断りのお店、業界では有名で実は予約が全く取れない知る人ぞ知る名店などなど、スタンスは違うし、お互いに批判はあるかもしれませんが、全てお客にとっては素晴らしい店です。
またシェフの考え方で、何人もの人を雇い、オペレーションをしっかりとしつつ大規模に展開、多数の客に料理を提供するお店、一人のシェフが全てに目を光らせて少ない席数で自身の納得する料理を提供するお店というのもあります。

我々美容医療機関も全く同じです。
最高の腕でなくとも、しっかりと管理された安心が得られるクリニックチェーンもありますし、豪華な内装・高価格で最高のものを提供しようと考えているクリニック、誰も知らないようで実は有名なクリニック、ある手技では誰もが知る有名なドクターが小さく開いているクリニック、頑固で変人だが固定ファンがいて常に繁盛しているクリニックなどなど。

レストラン経営を考えてみると、チェーン展開したり、会社にしてマネージメントをしっかりしていく事業としての考え方が必要な場合もありますが、多くのオーナーシェフは、自分の腕に自信を持ち、また自身の提供する料理を美味しく食べてもらいたいことに情熱を燃やしています。サプライズを与え、お客の笑顔を見たり、時にはクレームを言われたり。。。。
事業としてビジネスとして考えるのか、料理人として考えるのか。もちろん最低限の常識的な経営ノウハウは必要ですが、腕がなければ、料理の知識がなければそもそも上手くいきません。
最高の道具を揃えても、全く意味がありません。

我々の業界に当てはめると、経営者としてなのか、医師としてなのか、どちらを主に考えるのかによって異なります。チェーンクリニックの院長が経営のこと一切抜きに最高の医療だけを考えてしまうと、おそらく破綻しますし、個人の小さなクリニックが経営論だけで上手くいくことはありません。

私の知人友人医師でも、メディアに多数登場しつつも最新の医療を優れた腕をもっておこなう大繁盛のクリニックもありますし、一切メディアに出ないのに、業界では有名な凄腕が評判のクリニックもあります。

そして最高の道具=機器を揃えても、やはり全く意味がありません。腕がなければ、知識がなければ上手くいきません。機器よりも人体の解剖に詳しい医師の方が良いでしょう。

このように美容クリニックはレストランと殆ど同じだと考えているのですが、最大の違いは医師のキャラクターがレストランよりも前面に出ることでしょう。厨房の中にいて普段は常に顔を出さないのがレストランですが、クリニックは何よりもまず医師が前面に出ます。患者にとって医師のキャラクターが合わないと、通院しなくなります。

多くの個人クリニックでは、経営戦略は無用であり、医師の技術・経歴・知識に加えてキャラクターでクリニックが取捨選択されるのではないかと思うのです。

なぜこのような話しを書いたかというと、先日行った赤坂の素晴らしいレストランが、キッチンはオープンにかつ客席と対面で舞台のようになっていました。非常に少ない席数で、全てに目を配りながら調理していたシェフ(テレビにも出て海外でも活躍している人)を見て、これが本人の目指す理想のスタイルでそれを体現しているのだろうなと感服したからです。
そしてこのスタイルはシェフのキャラクターが前面に出ており、逃げも隠れもできません。非常に参考になりました。

日本レーザー医学会出席と、いよいよ噂の新しい治療機器導入

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先週末は日本レーザー医学会に参加してきました。
学会

皮膚科形成外科領域だけではなく、様々な科のドクターや技術者が出席する「レーザー医学」専門の学会です。今回は学会会長が帝京大学皮膚科教授の渡辺晋一先生ということで、我々領域の講演が多かった印象です。
もともと私の出身校である防衛医大というのは基礎系のレーザー医学において素晴らしい研究を多数おこなっている施設であり、今回もこの学会で防衛医大関連・出身の先生方による発表が多数ありました。理事長の菊地眞一先生も元防衛医大の医用電子工学教授で、学生時代には大変お世話になりました。
ただ、基礎の話はちんぷんかんぷん。工学者の先生方による発表は難しすぎです。

私はこの学会の評議員ですので、(苦手な)会議に出席しなくてはいけないのと、開発に関わったレーザーに関する発表が総会賞の候補になったとのことで、共同演者としてこれは是非聞かねばというのが、今回参加の最大の目的でした。

演題

残念ながら総会賞は逃しました。筆頭演者の堀口先生には、レーザーの基礎理論をもう少し私からしっかり伝授しなければいけなかったと反省です。。。。

他にも肝斑のレーザー治療の是非についてや、次世代レーザー機器の普及、承認などに関するシンポジウムは大変興味深く、勉強になりました。


さてさて、本日新しい機器が当院に導入されました。
テノール

えっ、テノール?何が新しいの?と思われた方もいるかもしれません。色が「黒い」のです。素晴らしいではありませんか。


もちろんそれだけではなくて、
テノールのモデルチェンジ版です。旧型よりも効率良くなり、熱がかなり深くまで入るようになりました。この手の機械は深部加熱が最も重要な要素です。その根幹が大きく進化しました。
フルモデルチェンジと言って良いと思います。素晴らしいです。古い機器を使っている施設は一気に買い替えが進むでしょう。
既にテストも済ませており、すぐにこの機器を使用開始します。
もちろん治療費などは従来と何も変わりません。
テノール実施中の患者様は次回来院を楽しみにしていて下さい。

加齢予防!新型テノールの理論的優位点

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年末年始のご予約が大変混み合い、申し訳ありません。
かなり前に殆どの予約枠が埋まってしまい、12月中のご予約は再診の枠が数カ所のみとなります。
初診のご予約は来年1月の後半まで埋まっておりますので、受診を希望される方におかれましては、少しお待ち頂く事をご了承ください。

さて、週末はまた医師向けセミナーでの講演でした。大阪日帰り出張。当院で大活躍中のプラズマ&高圧超音波のレガートと、Radiative高周波機器のテノールを用いた長期結果・患者満足度についてのお話をしてきました。


レガートという機器は、最近では主にケロイドや傷跡などで今まで治療が難しかった広範囲例や難治例に良い結果が出ていますし、またニキビとニキビ痕の併発例に、殺菌効果と皮膚の改善効果両方が得られる治療でもあります。
なかなかマニアックな機器なのですが、形成外科医にとっては本当に望まれる結果を得るために必要な機器であり、当院の診療には欠かせないものになりました。

テノール(たるみ治療機)は前回ブログで書いたように、とうとう新型となりました。黒い鏡面仕上げで見た目も効きそうな感じになりましたが、なによりその効果は「深度調整」と「熱効率」という面で非常に優れています。高周波専用機であり、他の余計な機能はありませんが、そのぶんだけ使いやすく、またしっかりした造りになっています。
テノールの治療というのは、クリニックによっては即効性や、引き締めの熱作用の大きさを前面に押し出しているようですが、私が経験的にそして理論的に感じる最大のメリットはもっと異なる次元です。主に顔面においては非常に深い層にまで十分な加熱作用を有します。瞬時に深部加熱をする機器はありますが、テノールの場合はその熱効果が長時間継続します。
今までの理論では瞬間的に深部をいかに高熱にするかが各社の機器で競われていましたが、それでは本当の意味でのこの手の高周波機器のメリットを生かしていません。
瞬間的な加熱ならサーマクールやウルセラのような機器の方が圧倒的に上です。表面で良ければジェネシスやジェントルYAG、タイタンのような近赤外線機器の方が遙かに効率的です。

かなり深部まで十分に加熱し、それを保持することによって深部組織の加齢進行を防ぐ効果が実は重要なのではないかと考えています。その場その場での引き上げ、たるみ治療効果ではなく、長い期間にわたって老化をマネージメントする、綺麗に年を取るためのものとして、このテノールは非常に優れた力を持っています。
私自身も加熱温度の高さにこだわった時期もありましたが、今では加熱した状態をいかに維持するかにこだわっています。
テノール施術を受けると肌が綺麗になる、調子が良くなる、夕方に疲れたような顔にならない、肌理が整う、これらは大きな引き上がり感ではないですが、誰もが若い頃は当然と感じていた「若さの証」なのです。それを少しでも取り戻せる助けになるのがテノールであり、またその状態こそが若さの維持には重要です。
そしてもう一つ、この7~8年間、テノールをずっと定期的に受け続けている人の顔貌変化を解析すると、深部組織の萎縮が少なく、シワや表面的な細かい老化は進んでいたものの、骨格を含め老化で萎縮する組織構造がかなり保たれていたのです。

加齢による深部の血行・末梢毛細血管やリンパ循環の低下は骨や深部脂肪の萎縮を招き、筋肉の硬さを生じさせることでしょう。深部加熱はここに対してある一定の作用を及ぼすのではないかと推測します。そのため瞬間的な熱よりも持続性こそが重要な鍵となります。

その理論で考えると、新型テノールは深部に熱が溜まりやすく、理に叶っています。ある人は熱感が翌日まで何となく残ったと感じたそうです。そしてそれが均一に確実に起こることは最大のアドバンテージであると確信します。旧型とはかなり差があります。
老化のマネージメントとして、治療のベースに新型テノールを置き、その上で様々な局所や目に見える効果の治療を組み合わせていくのが最近の当院での方針です。


海外美容医療:香港学会出張〜その1〜

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先週後半は休診にさせて頂き、香港で開催された5th 5-Continent-Congressという学会に参加してきました。美容医学専門の学会であり、原則、非手術的な機器と注入剤の内容のみの学会です。
学会長は香港、いえ世界を代表する機器系治療の権威ヘンリーチャン先生。
ヘンリー

今回の主目的はピコ秒レーザーの情報収集と、私が開発に関与したレーザーの講演をサポートするためです。

ピコ秒レーザーとは、非常にレーザー発振時間の短いレーザーです。通常我々がシミ取りに使用するレーザーがナノ秒レーザーであるQスイッチレーザーです。代表的なものに「シミ取り」のルビーやアレキサンドライトレーザーがありますが、それらの問題点として炎症後色素沈着、つまり照射後に炎症を起こし、少し色戻りする期間が数ヶ月生じる事があります。ナノ秒よりも遙かに短い時間であるピコ秒レベルで照射すると、炎症後色素沈着が軽減されるとされています(理由は難しくなるので省略しますが、衝撃波が関与します)。肝斑に効果的だという発表もありました。また入れ墨に対しては、強い衝撃波と入れ墨の粒子特性の関係上、非常に少ない回数で除去できるようです。他にもフォトメカニカル作用という従来の機器にはない機械的な組織破壊作用によってシワにも有効だとか。このあたりは少し懐疑的ですし、やはり色素選択性つまりメラニンなどに優位に反応する光ですので今後の報告を待ちたいところですが、大変興味深い革新的技術です。
今回の学会では全世界で開発、発表されている3社の機器が勢揃いしました。実際に試験照射して貰っていないので、優劣などは分かりませんが、全て見ることができたのは有意義でした。

ピコウェイ
この機器はsyneron-candera社のpicoway。発振時間が最短。3社の中でもっとも高性能です。

このピコ秒レーザー、販売価格が通常のレーザー機器の4~6倍程度しますので、日本での普及は難しいかもしれませんし、治療費も高額にならざるを得ません。それだけの価値がある機械なのかどうか、各社の実際の使用感や臨床成績など、今後も情報収集に努め、いつかは。。。。と考えています。

~その2~に続く。

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