先週末の土・日曜日は第102回日本美容外科学会(JSAS)が東京ビックサイトで開催されました。
以前から何度かブログで書いていますが、日本美容外科学会は日本に2つあります。
我々の間では同名学会問題と言われており、日本形成外科学会系の医師が中心となる英語表記JSAPSと、古くからの開業医が主体となる英語表記JSASの2つの学会がそれぞれ日本美容外科学会と名乗っています。
JSAPS側は形成外科専門医を取得しないと正会員になれないという、会員資格にかなり制限を持った学会ですが、一方のJSASは資格に制限無しという開業医らしい自由な雰囲気です。
一時期は両学会の併合が前向きに話し合われ、もう一息というところまで来ましたが、残念ながら諸事情で立ち消えになりました。
ただ、厚生労働省の指針(専門医認定機構)で医師の専門領域の資格をある程度厳密に定めるという方向性が示されたため、JSAPS側は形成外科という基本診療科のもとで厚生労働省の方針に則っていくということで進んでいます。一方のJSAS側は、そのような基本診療科をベースにしないために、現在のところ方向性は現状維持というところでしょうか。
どちらが良いのかは私のような一開業医には知る由もありませんが、美容皮膚科の隆盛によって美容外科的な領域が縮小していく状況の下、学会としての立場、力などにおいて影響なく、前に進んでいってほしいと切に願っています。
私はJSAPSに属しており、評議員も務めていますが、JSASも時々参加しています。今回はJSASの学会でランチョンセミナーの講演を依頼されて参加、講演してきました。
先月日本国内で初めて正規の厚生労働省承認(適応:シワや顔面のくぼみ)を得たヒアルロン酸である、ジュビダームビスタ(アラガン社)についての講演です。おそらく承認後にその実際の注入症例を供覧するという講演では我が国初という大役でした(先月協力頂いた学術モニターの患者様、有り難うございます)。
ヒアルロン酸自体は医師の個人輸入で10年以上前から使用されているために目新しい内容はないのですが、国から承認を得たという大きな前進があり、今後はより広まっていくのではないかと思います。
講演は解剖学的な話や世界のトレンドについてと実際の症例についてのお話をしましたが、残念ながら販売会社からはあまり情報を提供頂けない状況の下、個人として海外などで得た知識、知見をもとに注入材全般の特性をお話しをせざるを得なくて、講演準備はちょっと大変でした。outputだけではなくinputも今後はお願いしたいところです。ちょうど学会期間中に海外で同社の研修会があったようで、私はoutput、他のドクターはinput。。。。
さて、今回の学会ではサフォクリニックの白壁征夫先生による「日本における美容外科の歴史」の御講演があり、大変勉強になりました。白壁先生はお父様も美容外科医であり、まさに日本の美容外科の全てをご存じの先生です。フェイスリフトの世界的権威であり、JSAPSの重鎮でもあります。個人的に大変尊敬している先生です。
世界で初めての二重まぶたの手術の文献なども織り交ぜて、非常に分かりやすく、かつ深い内容のお話しでした。
学会シーズンという事もあり、まだまだ忙しい週末は続きます。。。。
もう一つの日本美容外科学会JSAS
エステやマッサージは有効?:美容外科の立場から。
医療機関によってはそんなの無駄だと言ったり、エステ側からは通えば若くなる、たるみが解消すると言ったり。。。。
老化は進んでいくもので止めることが出来ない以上、この手の論争はどこに落としどころを作るかによると思いますが、エステやマッサージが意味のない施術とは言えないでしょう。
顔面に限って話を進めていきます(ここからは個人的見解ですので、ご了承ください)。
顔面の老化は以前何度も書いているように、顔の骨の萎縮、深部脂肪の萎縮、筋の緊張の変化、浅部脂肪の下垂(特に増加)、皮膚の弛緩、下垂、構造変化などなど様々な要素が組み合わさって生じます。
これらを生じさせるものは細胞そのものの老化(純然たる加齢)、代謝の低下があります(この「代謝」という表現は、医学的には大ざっぱすぎて正しい表現ではないかもしれませんがイメージとして)。それに加え、光老化・洗顔・スキンケア・かみ合わせなどの影響も受けます。
運動と適切な食事が重要なことは言うまでもありませんが、代謝の低下は皮下脂肪や骨などの変化に影響を及ぼします。私自身テノールという深部加熱をおこなう機器を加齢性変化の予防に好んで用いていますが、この機器で患者様が感じる効果に夕方の顔が疲れなくなった、げっそりしなくなった、肌の調子が良い、乾燥しなくなった等々があります。こういった機器の作用は熱による様々な活性因子放出や代謝の亢進などによるとされていますが、エステでの施術においても、同様のことが言えるでしょう。
適切なマッサージを受け、医療行為には及ばないものの常に代謝を改善する事ができれば、老化の予防的処置として悪くはないと思います。そのためには若い頃から足繁く通って、最近調子悪いからたまにというレベルではなく、月に何度も、何十年も通うことが基本となるでしょう。もちろん腕の悪いエステティシャンに施術を受ければ逆効果です。
このマッサージにおけるもう一つの作用は表情筋への作用と言われています。顔の筋肉は基本的には鍛えることはできません(顔が筋肉隆々なんて人はいませんので、筋を鍛えるという表現は間違いです)。しかし老化によってトーヌス(緊張)の変化が生じます。動くはずのものがきちんと動いていなくなって固まったような状態で弛みも生じますし、付着部の骨などの萎縮も生じやすいでしょう。固定された状態、つまりシワの入った状態で表情が止まってしまう、そんな印象も生じます。動かしすぎると表情ジワを作るという面もありますが、やはり筋肉は適度に動く状況にあった方が良いと思われます。逆に弛緩してしまって力なく垂れ下がることもありますので、そういった意味でも動かすこと、ほぐしてあげることは重要でしょう。ただ、マッサージでどれだけ顔の筋肉のトーヌスが良くなるのかという関連については医学的には微妙な部分もあります。
エステのマッサージにおいては、リラクゼーション、自律神経の安定化など筋肉と直接、間接的な作用が相まって、継続によって老化予防にはそれなりの良い影響を与えるのではないでしょうか。
これらはヨーロッパ、特にフランスにおいては長年広くおこなわれ、医療として受け入れられている部分もあります。
しかし我が国においては、エステで機器を用いて光を当ててシミを焼いたり、脂肪を何とかさせようという、本来のエステの役割以上のことをする傾向が強く、業界の正常な発展を妨げている部分もあるのではないでしょうか。
「お金のなる木」としてのアンチエイジング産業ではありますが、長期的展望に立てば、エステティックサロンとして本来確立するべき基本手技をより高めていくことが、医療との共存も生み出していくのではないかと思います。
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糸によるたるみ治療:ウルトラVリフトの新手法公開
先週末はまたセミナー講演のお仕事。
当院でも人気の糸によるリフトアップ施術のウルトラVリフト、肌質改善の水光注射や最新の輪郭注射について当院での経験などをお話ししたうえで、実際の施術などを供覧しました。
ウルトラVリフトは従来単に糸を入れてその力で持ち上げようとするだけでしたが、当院ではその方法をさらに発展させた手法を用いて、しっかりとしたリフトアップ効果を出しています。
今回は加齢による皮下脂肪の下垂やその解剖学的構造変化を考慮して若い頃の位置に移動させるという手技を用いる事によって、従来法とは全く別物のような外観上分かる変化をもたらす3Dメソッドを公開しました。
1年半ほど前からこの手法に変更したことで患者満足度は大幅に上がり、ウルトラVリフトをリピートする患者様が増えています。
そもそも細くて引っかかりのない単純な吸収性の糸を挿入するだけで頬の皮下脂肪などが持ち上がるのかという意見もありましたが、4月の形成外科学会の発表後にその手技に興味を持ってくれたドクターも増え、今回実際の手法を披露することととなりました。
手技次第で効果が全く異なるので、この3Dメソッドが広まれば、今までなかなか効果を出せなかった顔の中央部頬のたるみに対する治療法の選択肢の一つとして重要なポジションを占めていくでしょう。
もちろん他に重要な事は糸の品質です。吸収性の合成糸は劣化もしやすいようです。今回のセミナーで質問があったのですが、他社の糸は実際の使用時に脆く切れやすくなっているものもあるそうで、これでは持ち上げる力を発揮できません。
韓国発祥のウルトラVリフト、類似品も多数登場していますが、先発の2社(ウルトラVリフトとリードファインスレッド)に比較して品質の劣る安価な製品も最近は見られるようです。
他にも水光注射の強力バージョンについても講演しました。出血や腫れなどのダウンタイムを最小に抑えた日本式水光注射手技の開発後、この手法は我が国でも随分普及しましたが、それだけでは物足りないという患者様も増えてきて、当院では最近、韓国式の強力バージョンも頻繁に用いるようになっています。この考え方や手法などもある程度確立されてきたので、患者様の希望によって薬剤選択だけでなく手技を選択して頂くことが可能となり、水光注射はさらに発展していくと思っています。
そして最後に新しい治療法、輪郭注射ですが、これは顔の脂肪を注射で減量させる手法です。韓国で流行しており、一度現地でその手法なども見学してきましたので、当院でも限定した患者様に使用をしてきました。ただ、薬剤の成分などはまだまだ日本人向けとは言いがたく、薬剤の製造元である欧州のメーカーとの調整の上、欧州で発売された新製品を導入してより安全に結果を出していく方向に進んでいます。さらに発展した手法になるのはもうすぐ。ある程度安定供給のメドが立てば一般の患者様にも実施していく予定ですので、もうしばらくお待ちください。当院の脂肪融解機器Vシェイプとの併用なども考えています。
バタバタしてなかなか休みが取れませんが、業界発展のため、そして新しく安全な良い手法を広めるため、講演活動などで医師向けの情報発信もしていこうと思います。
アダルトニキビやケロイド・肥厚性瘢痕に有効な最新機器レガート2
講演準備などで慌ただしく、ブログ更新をサボりがちです。。。。
さて、
先週末は当院導入の最新機器レガート2のミニセミナーでした。
その革新性や、実際の施術方法について等お話しをさせて頂き、実演しました。
レガート2はイスラエルAlma lasers社の製品で、iTEDテクノロジーという高周波プラズマiPixelと高圧超音波導入IMPACTの2つのハンドピースを有する機器です。1年以上前から当院でテストをし、日本人向け設定などをデータ集積して模索してきましたが、先日完成しましたので、輸入代行会社を通じて我が国において販売を開始した製品です。ということなので当院が本邦初導入、現在数台が国内で稼働しています。海外では既に韓国でも70台程度が稼働していますし、欧米や南米でも実績がある機器です。
iPixelはプラズマという光でもラジオ波でもないエネルギーを用いる事で皮膚表面に様々な変化をもたらします。プラズマは電離粒子のエネルギーの力によって、皮膚表面の剥離作用は僅かながらも深部まで熱作用を及ぼし、またプラズマ殺菌という作用も持ちます。
具体的には皮膚表面を3日程度の薄いかさぶた(化粧で隠せます)が生じる程度の力で剥がしつつ深部のコラーゲン再生を促します。これによって皮膚の質感を均一に整えます。張りや艶を出すのですが、ニキビ痕などでは従来のフラクショナルレーザーのような削って、持ち上げてという力よりもしっかりと張りを出すことで改善をしますし、ニキビが出ている状態でも照射が可能です。特にアダルトニキビに対しては質感を整えつつ殺菌しますので、肌が綺麗になりつつもニキビが出にくい状態を作ります。色々な方法を用いてもなかなかすっきりと治らないアダルトニキビには有効なのです。
加齢によって張りを失った肌に対しては引き締め感が生じます。
但し、効果の発現はなぜか不思議と1ヶ月毎に3回実施後です。
またIMPACTは物理的に叩きつけるような強い圧をかけることのできる超音波です。従来の薬剤導入法と比較して高濃度大量かつ深部まで各種薬剤を浸透させます。ニキビに対する薬剤、肌質に対する薬剤を導入するのに優れています。
そして海外でも注目されているのが傷跡に対するステロイド注射療法に代わる手法としてです。ケロイドや広範囲に生じた面状の傷跡に対しては従来ステロイド注射をおこなうと不均一でムラが生じますし、何より強い痛みがあります。IMPACTを用いる事によって、痛みがかなり軽減され、かつ綺麗に薬剤を浸透させます。肩や胸にある広範囲なケロイド・肥厚性瘢痕・熱傷後瘢痕に対しては現実問題なかなか良い治療法がなく苦戦していましたが、この方法によって良好な結果が得られるようになってきました。これは大変高く評価されており、美容医療としてだけでなく、形成外科・皮膚科における傷跡治療の難治例にも大きな福音です。
このレガート治療、実は半年ほど前からクリニックでは本格的な使用を始めていますが、まだホームページ上では公開していません。診察の上で必要な人には個別にお話をして対応させて頂いていましたが、本ブログをもって一般に治療を開始します。
治療費は、IMPACT消耗品(出血などにより患者様自身に触れる部分、本人だけに反復使用)が初回に1万程度必要ですが、ケロイド・傷跡では1回1~2万、ニキビや肌ケアでは顔全体で1回3万円程度となります。
もうしばらくしたらクリニック公式サイト情報ページを書き上げますが、まずはご紹介。
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韓国での新しいシワ用治療機器開発
先週末もお仕事。1泊2日の韓国弾丸出張でした。
行きの飛行機は機材の関係で国内線仕様。。。。
狭い座席とテレビモニター無し。機内食もなくなり、お弁当配布。幸先の悪いスタートでしたが、そのぶん韓国内では充実した仕事内容だったので良しとしましょう。
さて、今回は韓国内でKFDA(韓国の厚労省医療機器認可)取得を目指しているシワ用医療レーザー機器の開発、そしてその理論的な裏付けと実際の使用についてミーティングでした。
機器本体をヨーロッパから輸入し、日本で開発した特殊な部品を取り付けてワールドワイドに展開していこうという目論みで、その最終チェックと実際の使用法についてのレクチャーをしてきました。
基本的に、製造メーカーの技術系社員に対する指導と、様々なセッティングの打ち合わせでした。
どこまで上手くいくかは分かりませんが、精力的に突き進む韓国系の企業ですから、きっと良い製品に仕上げてくれるだろうと期待しています。
まだちょっと公開できない部分もあるので、この写真でお許し下さい。
機器の理論について、プレゼンしましたが、既存の機器にはない理論であり、海外の文献を探しても同類のものはなく、それゆえなぜそのようなことがメカニズム的に可能なのか、工学的な話で議論が白熱しました。非常に有意義な会議となりました。
その後は実際の使用法についてです。韓国内でテストをしても上手くいかなかったようで、出力などの設定を調整しながら、機器特性を探っていきました。
長時間の会議でヘロヘロになりましたが、私のつたない英語でも何とかこちらの考えも伝わり、今後は大きく展開していきそうです。
日本の部品メーカーと販社、現地の社長と集合写真。
皆さん、お疲れ?です。
この後も現地の社員達と記念写真を沢山撮りました。私は現在、韓国の美容医療専門誌に日本の現況について1年間の連載をしています(もちろん韓国語は書けませんので、翻訳してもらってます)。そのため、韓国内で少し知名度も上がってきており、本にサインしたりと、なんだか不思議な気分でした。日本では専門誌に執筆してもそんなことにはなりません。こういうところも国民性の違いです。
私自身のマニアックな性格上、こういった仕事は大好きです。機器の開発や様々な執筆活動・講演など、一般診療科の開業医ではなかなかできない仕事が、この美容医療の世界では実現可能です。
美容医療はワールドワイドに日々進歩していっています。ただ診療をしているだけではどうしても手に入る情報は限られてしまいます。
診療において常に新しいことを勉強し、場合によっては海外にも行って知識や技術を吸収してくるステップは重要ですし、最近は多くの美容医療に関わる医師がそのように努力しています。
そしてその上で、このような活動をもっと多くの日本人同業医師もしてほしいと思います。
日本の美容医療は世界的に見て保守的ではあっても、決して遅れているわけではありません。技術もアイデアも優れたものが沢山あります。ただ、国内で留まりがちな傾向にあるので、もっと情報を発信し、世界の美容医療が発展していくための、その小さな歯車の一つに、我々日本人医師もなっていけたらいいなと最近は考えています。
学会講演
今週末は浦安にて日本美容皮膚科学会総会(順天堂大学浦安病院皮膚科教授 須賀康会長)が開催されます。そのメインシンポジウムのトリを務めさせて頂くという大役のため、準備に追われています。有り難い忙しさです。
美容医療機器から見た美容皮膚科の現在過去未来という題で講演させて頂くことになっています。
本当の未来は分かりませんが、ある程度形になっている機器と市場の流れについては概略を把握していますので、面白い話ができたらいいなと思っています。
医学領域の学会でシンポジウムというのは、開催する会長の意向が強く反映されます。学会をどのように開催するのか、その一つの方向性を示すものでもあります。そんな中で依頼された講演ですので、ちょっと気合いを入れて準備中なのです。
学会には様々な講演スタイルがあります。
いわゆる招待講演は、教授クラスの権威の先生方が1時間ほどじっくりと自らの専門とする分野を講演するもので、別格です。その次にシンポジウムやパネルディスカッションといった学会の専門性と未来を示す講演があり、これは選ばれた数名の医師が一つのテーマについて講演し、討論をする形式で学会の「花形」です。そして学会の一般口演、つまり公募で日頃の研究成果を発表するセッションがあり、若い先生から中堅どころまで、最新の研究成果、臨床結果を発表します。ここで発表された内容が論文になっていくことも多いです。その他、ポスター発表も同様で、発表時間がやや短いですがビジュアルに強く訴えたいとき、何度も観てほしいときはこちらを選択します。
他にも私がよく依頼されるランチョンセミナー、業者さんが協賛してお弁当を用意しつつその会社の機器の最新情報を提供する講演があります。似たようなものにスポンサードシンポジウムやハンズオンセミナーがあります。これらは招待講演とは違いますが、長時間の講演なので準備が大変です。
ここでなぜ美容医療の分野では、私のような開業医ごときが多数発表などをしているのか疑問に思う方もいるでしょう。通常の医学では大学や大規模病院のドクターが講演をするものです。しかし、美容医療においては「保険診療」「厚生労働省承認」という足かせがあります。これから外れた医療を自らの理想に燃えて実践できるのは開業医です。それゆえ保険の利かない美容医療の分野においては、新しい治療を導入するのは開業医の方が有利なのです。
だからこそ、私はランチョンセミナー・スポンサードシンポジウムの講演数で業界屈指だと思います(笑)
ただこのような講演は、学術的には医師の業績にはカウントされないので、やはり一般口演やシンポジウムをどれだけしたのかが重要です。
いつか還暦近くなったら、小さくて良いので学会から招かれて招待講演をしてみたいものです。。。。
それができたら、自分がその世界で第一人者になれたという証です。招待講演なんて夢のような世界ではあります。
さて、先週末、クリニックの職員と話題の虎ノ門ヒルズ、その中でも予約が取れないと評判の熟成肉の「但馬屋」に行ってきました。5月にしようと考えていたお祝いが延び延びになってやっと叶いました。
当院は、「みやた形成外科・皮ふクリニック」として、今年で開業10周年なのです。
末永く宜しくお願い致します。




日本美容皮膚科学会参加
今年は順天堂大学浦安病院皮膚科教授の須賀康先生が会頭、須賀先生のお人柄もあって多数のドクターが参加、盛況な会でした。

この学会は皮膚科を主として、形成外科やその他の科も含め美容医療をおこなっている医師が会員です。非外科的な美容医療が中心となります。
大学の皮膚科教授などが主となって運営されている学会であり、理論や根拠に基づいた治療を主として講演が組まれていますし、商業的な部分はスポンサードシンポジウムやランチョンセミナーなどとして分けられています。
例年は初心者向けの内容が多く含まれるのですが、今回は最新の治療法なども含めた幅の広い領域をカバーし、年々レベルが高くなっていると感じる学会です。業界全体がスキルアップしています。
海外からは著名なドクターも招待され、勉強になる内容も多く有意義な学会でした。
今後は手術以外の美容医療というのが世界の主流となっていきますし、そう考えるとこの学会は非常に重要な位置を占めるようになってくるでしょう。
会場は東京ベイ舞浜ホテルクラブリゾート。ディズニーランドのオフィシャルホテルです。

前日入りしたのですが、夜はホテルの部屋から花火が。
相変わらず学会期間中はホテルに缶詰ですので、遊びに行くことはありませんでした。
今回はこの学会のメインシンポジウム「美容皮膚科の現在・過去・未来」においてトリを務めさせて頂くという大役を仰せつかり、柄にもなくちょっと緊張。。。。
しかし座長の和歌山県立医科大学皮膚科教授 古川福実先生の巧みなリードで緊張をほぐして頂き、つつがなく講演は終了。
このシンポジウムでは、私の大学同級生、そして同じ形成外科で苦楽を共にした順天堂大学形成外科教授の水野博司先生と、大きな学会で初めて共演しました。こんな日が来るとは思っていなかったので、非常に感慨深かったです。水野先生は脂肪由来幹細胞の研究において第一人者で、その業績もあり順天堂大学に主任教授として迎え入れられた才能あるドクターで、同じ順天堂大学呼吸器外科教授の鈴木健司先生と共に我が防衛医大同期の出世頭です。
私のような一開業医がこのような舞台に立てたことは非常に有り難く、とても充実したシンポジウムでした。

感謝状を頂きました。
その後は他のドクターの講演を聴講し、旧知の先生と談笑したり、業者さんの展示ブース巡り。
そして夕方は業者さん共催のイブニングセミナーでの講演。当院で導入している最新多機能型の炭酸ガスレーザーについて解説しました(これは後日また詳細に)。
その日の夜は関東美容医師会。銀座のブルガリタワーにて開催されたのですが、70名ものドクターが参加しました。主に開業医の会です。その中で私は基調講演をさせて頂きましたが、基本的に飲み会ですので、親睦を深めましょうというのが趣旨です。学会日程に合わせてこのような会が開かれると、本当に沢山のドクターが集結しますので、楽しく飲んで騒ぎました。

続きは次回に。
日本美容皮膚科学会〜その2〜:炭酸ガスレーザーについて
前回の続きです。
日本美容皮膚科学会第2日目は業者さんの依頼でハンズオンセミナー、つまり実際の機器の取り扱いを含めた小規模講演をしました。
高性能な炭酸ガスレーザーAcupulseについて、その有効性や利点を説明しました。
炭酸ガスレーザーというのは、美容皮膚科領域においては基本となる機器の一つです。しかしながら非常にポピュラーでかつ安価な機器が多数販売されているため、蔑ろにされがちです。
しかしこの機器による治療というのは、ほくろなどの小腫瘍の除去がメインであり、確実に結果を出せる治療法の一つです。そしてまた機器の性能差によって効果も大きく異なります。
ほくろを単純に焼灼してしまい、目立つ傷跡を残すこともあります。しかし高性能の機種ではスキャナというコンピューターで制御された皮膚を均一に削る・焼灼する装置が装備されています。誰でもが簡単にできる治療であるからこそ、いかに綺麗に仕上げるかが重要になります。
良い機器を用いてより良い結果を出すこと、特に確実に結果の出る治療法であるからこそ、そのあたりが医師の「ビジネス」ではない良心が問われるのではないかと思っています。
安い簡便な装置でもプロ魂・技術で良い結果を出せるという医師も沢山いらっしゃると思いますが、より高性能な機器をきちんと用いて、さらに上を目指すことこそが本当のプロであると、私はそう信じています。
安い馬力のない車でも、腕があれば、素人の運転するスポーツカーよりも速く走れるでしょう。でもそのような技量がある人がスポーツカーを操縦すれば、もっと速く走れます。
高性能の機器はもちろん高額です。安い機器で治療しても患者様から頂ける治療費は同じかもしれません。しかし、より良い結果を出すという信念、これは間違いなく差があるものですから、そのあたりを我々医師ももう少し考えて、美容医療という領域を高めていかなければいけないのではないでしょうか。
当院では、炭酸ガスレーザー機器を3種類導入しています。そのうちほくろの治療などに用いるスキャナが装着された機器はAcupulseとCO2REです。この両者はフラクショナルレーザーとしての機能・スキャナも有しますが、ほくろ治療のスキャナが秀逸です。両者の間には熱作用の強弱・瞬間的なエネルギーの出し方、照射形状など様々な違いがあり、私自身はより高度に使い分けるように配慮をしています。どちらか1台くらいは美容皮膚科を実践しているクリニックであれば所有していても良いのではないかと思います。
そして実は、この2台とも、ほくろなど小腫瘤を除去するためのモードは私自身が開発に関与させて頂いています。日本では炭酸ガスレーザーはほくろ治療には必須の機器であることを海外のメーカーにしつこく説明し、それを聞き入れてくれたのです。
だからこそ愛着もあり、日本でもっとこのタイプの高性能型炭酸ガスレーザーが普及してほしいと、切に願っています。より良い美容医療のために。
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顔面の輪郭形成と若返りは機器治療だけでは不十分
先週は夏期休診のためクリニックをお休みさせて頂きました。
ちょっとリフレッシュして、また昨日より通常診療をしております。
今週末は香港で開催されるIMCAS ASIAという美容系医師のための教育的学会に参加します。
この学会は以前何度か講演する立場として参加しましたが、今回は聴講のために行ってきます。
特に顔面の解剖と注入を並行してライブで見せてくれるワークショップが楽しみです。
昨今は美容医療も皮膚表面の平面的な改善から立体的な改善、アンチエイジングへと概念が変化しています。つまり輪郭、形状の改善です。
機器による変化というのは皮膚表層から数ミリに留まります。近年主となってきたウルセラシステムという機器ではSMASという筋膜様組織を収縮させてやや立体的な変化を生じさせたり、テノールのような高周波で皮膚深層や皮下脂肪のリンパの流れなどをコントロールする手法もありますが、加齢によって崩れた輪郭を変化させるには骨や筋組織、皮下と深部の脂肪組織などのボリューム・位置を考慮する必要があり、そのためのfiller(ヒアルロン酸やレディエッセなど)注入やボトックス注射、糸(ウルトラVリフト等)による引き上げがますます重要となってきました。
これらを理解するには顔面の立体的な解剖、加齢変化を熟知する必要があります。しかし日本国内においてはまだまだこの概念による治療というのは浸透しておらず、この勉強のためには海外に行くしかありません。
私自身、既に何度かこのような知識の習得のためにセミナー学会などを聴講に行っていますが、毎年のようにアップデートされるため、今年3月の韓国での研修に続いてまた勉強に行ってきます。
やや商業的な学会なので、果たして役に立つ知識が得られるのかは分かりませんが、自身の持つ知識が最新のものなのかを確認する意味でも重要と考えています。
日本では機器を主にした美容クリニックが増えています。しかしヒアルロン酸などの注入をおこなわずに機器だけでアンチエイジング系の治療は完成はされません。もちろん患者様がそこまで望まないケースも多々ありますが、そういった手法を持たずに治療説明をするのと、スキルを持った上で機器治療をするのとでは雲泥の差があります。
注入手技は、単なる溝を埋めるような手法から輪郭を主体とした修正へと変化しているのですが、患者様は鏡を顔に近づけ、局所の溝を埋めることにこだわるケースもあります。鏡を遠ざけ、顔全体を見渡して、どこを修正すれば若く見えるのか、自然な改善を得られるのかをアドバイスできる技術と知識も重要だと思います。
香港での美容系学会IMCAS Asia参加
先週後半は少しだけクリニックを休診にして香港まで行ってきました。
IMCAS Asiaという、加齢した皮膚への美容治療に関するレクチャーを主としておこなう学会に参加するためです。
今まで2回ほどIMCASには参加していますが、講演するためだけだったので、今回初めてじっくりと聴講しました。
この学会のセミナー最大の売り、メインイベントは「解剖」&注入のライブです。衛星中継(フランス?)で献体された人体を解剖、別の中継(香港のクリニック)で「生きた」患者に実際ヒアルロン酸やボトックスを注入します。つまり施術手法を、実際の人体内の構造に照らし合わせるので、非常にわかりやすく面白いレクチャーです。大盛況でした。
解剖と注入部位・手技の相関は、ビジュアルに確認できることは滅多にありません。ここに注入したら血管があり危険とか、この筋肉の層の下に入れると効果が出やすいとか、実際の解剖を見て把握しつつ、実際の患者・症例に注入、その場でその理論が正しいかどうかを確認できます。
このような催しは類似したものは幾つかありますが、やはり対比で見ることは勉強になりました。
概ねヒアルロン酸やレディエッセなど注入系の講演はそのコンセプトなど日本と違い、もっと全体のボリュームを変化させて輪郭を若くするものが多かったです。当院でも最近ではその概念を用いて治療をしています。局所の注入はやや時代遅れであり(もちろん必要なときも多いですが)、いかに全体として若く見えるように治療をするかがポイントとなります。そのための注入ポイントは、医師毎、人種毎に異なりますので、その点は非常に勉強になりました。ただ、やや海外ドクターの注入手技は粗いかなという印象があります。その中では海外で一緒に講演したこともある知り合いのDr 台湾のPeter YC Huangの仕上がりは非常に綺麗であり、そのコンセプトを私も使ってみようかなと検討中です。特に糸とヒアルロン酸などの注入を同日に併用するコンセプトは私の考えと非常に近く、すぐにでも応用できるアイデアもありました。
その他諸々、今回得た知見を診療に活かしたいと思います。
今回は多数の日本人ドクターも参加しており、お昼や夜はみんなで楽しくわいわいと宴会をしながら日中は3日間お勉強でした。もちろん友人のアジア各国Dr.たちとも再会し、色々と情報交換をしました。
先月夏休みを取ったので、今月は週末を含めてしっかり仕事します。診療と学会活動、海外研修など。。。。
たるみやニキビ跡などの治療効果発現時期
美容医療でのたるみ・ニキビ跡などの治療においては、コラーゲンの増加、再構築など肌自体の変化が重要になります。
機器治療でよく即日~数日で変化が出るとされているものがありますが、これは肌の構造自体が大きく変化したわけではありません。当たり前のことですが、機器照射によってその瞬間にコラーゲンが爆発的に増えたり肌構造が一変することはありません。光や高周波の刺激による、ある種の浮腫・炎症などによる急激な変化がその理由なのです。炎症に近似したものですから、その効果は2~3日目が最大となり、長いものでは1ヶ月ほど持続します。これを利用して定期的に治療を続けていく手法もあります。これはこれで非常に良い手法となりますし、患者側からすると効果の実感はあり、即変化する方が良い印象を与えます。
しかしながら、本来肌の構造を変化させるには最低でも3週間はかかります。通常は3週後から徐々に構造変化が生じ、3~6ヶ月かけて再構築されていきます。根本的な変化を生じさせる治療というのは時間がかかるものです。数日で効果を実感できるからすごい機械ということではないのです。素人ではない医療側からすれば、このあたりはどう説明するのか難しいところです。
当院でもたるみに対するウルセラシステムの治療などではその時間経過が長く、3ヶ月ほど経ってやっと変化してきたと仰る患者様が多数です。またニキビ跡のフラクショナルレーザー治療後などでは最初は何となく皮膚表面がツルッとする程度であり、その後レーザー照射時の熱作用でダメージを受けた皮膚が再構築され、半年から1年かけて徐々に浅く持ち上がっていきます。効果を確認してから次回の治療を受けたいという人に対して、照射まで1年空けても問題なしとしています。
同様のことがPRP(多血小板血漿)注入治療でも生じます。自身の細胞からの刺激によって徐々に肌構造が変化しますので、3週間以上経ってからの変化が主役であり、遅い人だと3ヶ月ほどしてから変化してきたということもあります。
水光注射のような肌質を変化させる治療もそれは同様で、最初の頃は注入材そのものによる肌水分量などの変化が主役となりますが、これは成分が体内で吸収されてすぐに効果を失います。しかし徐々にその刺激によって肌構造が変化していき、自身のヒアルロン酸をはじめとする細胞外基質の増加、コラーゲンなどの肌構造物の変化が生じていくため、最初の頃は2~3週間の効果持続だったものが2~3ヶ月程度の期間になってきます。
顔面のマッサージなどではどうでしょうか。強い刺激を与えるような痛いマッサージでは、表情筋などの加齢による拘縮が解除されたり、少し腫れを生じます。それによって顔の形は瞬時に変化を起こします。しかし、これはまた短期間で元に戻っていきます。ほどほどにおこなえば、筋の拘縮などは加齢現象ですから、改善するのかもしれません。一方、リンパの流れをコントロールするようなマッサージでは、浮腫を取るような短期的作用で変化はしますが、本質は常に良い状態を維持することによって肌環境が整い、また加齢に対するコントロールともなります。ある程度のインターバルで受け続けることで良い環境を維持していけるわけですから、長い目で見れば良いこととなります。
このように短期的な効果で一喜一憂するのではなく、長期に渡って効果を得るにはどうすれば良いのか、医療側は患者様とよく相談、説明して治療にあたる必要があります。
短期効果の方が評価は高い傾向にありますが、正しい医療として実際には長期的な効果もきちんと理解した上で、それぞれの様々な利点、欠点を考えていかなければいけません。
韓国弾丸出張:新しいシワ・たるみ治療機
今回の目的はシワたるみ治療機。以前にも一度韓国出張で施術を見学してきたのですが、当院にてテストを繰り返すうちに疑問点などが出てきましたので、もう一度ということで使用経験豊富なドクターとのディスカッションをしてきました。
この機器は特殊な形状の針(ハートカニューラ)を皮膚の下面に刺して剥離しながら高周波を流し、直接局所に熱を与えてコラーゲンの増殖を生じさせたり、皮下脂肪を縮める作用があります。また癒着したようなシワ・傷跡の下を剥がすことで改善させる作用があります。
最も有効なのは額のシワで、彫ったような硬いしわに対して、当院のテスト例でも有効性が確認されました。その他に目の下のシワ・脂肪や法令線にも有効であり、特にヒアルロン酸注入では難しいような線状のしわに対して、この機器を照射し、さらにその下にヒアルロン酸を同時に注入することでより大きな変化を出すことができるようです。
通常の注入手技に比較して、局所の麻酔注射を要することと、数日間軽く腫れること、2~3回の施術を要することなどが欠点です。しかし手術をせずに目の下の膨らみ・たるみを変化させたりと、しわと弛みがあるものに有効な点や、癒着して剥がさないと効果の出ないくぼみ・しわ・ニキビ跡に、高周波で剥がした上で再癒着を防ぐようにヒアルロン酸を入れることが可能な点など、従来の機器では得られない治療効果があるそうです。
まだまだテストは必要ですが、少しずつ経験を積み、結果を見て、当院でも治療を開始しようと考えています。


2件のクリニックを訪問しました。
韓国のドクターは自分の手技をなかなか教えてくれず、秘密とされることが多いようです。ライバルが沢山いる現状では手の内を見せないようにするのは当然です。但し日本に機器を導入する際にはそれでは受け入れてもらえません。細かい設定や安全性などを公開して、リスクを最小にする必要があります。そんな日本と韓国の国民性(?)の違いをいつも韓国側には説明し、情報を聞き出していきます。
韓国側にきちんと日本との相違点を伝え、かつ機器の工学的理論を技術者と話し合う、訪韓の回数が増えるほどに、そのような仕事が増えてきましたし、これが私自身に与えられたポジションの一つかもしれません。
もちろん韓国語が喋れればもっとスムーズなんでしょうが、英語でも四苦八苦。。。。
機器による部分痩せがトレンド
部分痩せというのは体重減少ではなく、局所の気になる皮下脂肪を減少させ、ボディラインを綺麗にする考え方です。
従来は脂肪吸引が代表的な治療方法でしたが、最近の傾向として外科的な手法より効果が弱くても、安全にかつ痛みがなく、つまり日常生活に支障がない方法で皮下脂肪を減少させる手法に移行しつつあります。ちょうどたるみ治療がフェイスリフトという外科的手法から機器を中心とした軽度の変化を得る治療法に移行してきたように、世界的には脂肪吸引の件数は減少し、徐々に機器治療が多くなってきているようです。
日本国内では様々な部分痩身の機器が導入されていますが、世界的に見るとそのなかでゼルティック社のクールスカルプティング(凍結脂肪融解)というものが半分以上のシェアを占めるようになってきています。これは痛みが殆どないという点もありますが、1回の施術で局所の効果がきちんと出るという点が最も大きな理由でしょう。韓国の美容医学誌などを見ると、そのコピー製品も多数登場しており、マーケット的には凍結痩身が主役となってきています。
もちろん魔法のように皮下脂肪が減少するわけではありません。ほんの少しではありますが、確実に脂肪が凍結されるのです。百聞は一見にしかず、実際施術直後には脂肪がシャーベットのようにシャリシャリと凍ります。その上皮膚は凍りません。強いダメージを受けつつも破壊されないようプログラミングされており、2ヶ月ほどかけて徐々に脂肪細胞はその機能を失っていきます。
この治療を受ける上で重要なのは、1箇所について1~2回の施術ではあっても、例えば腹部であれば全体的な輪郭を見て数カ所実施をする必要があることです。T2T(Treatment to Transformation)という考え方に則って、きちんと治療計画を立てるのです。この機器が登場した当初は1回で局所の脂肪が減るという点を売りにしていましたが、確かに効果は出るものの周囲の脂肪が垂れ下がったりして、外観上の改善に乏しいことがあるために、今一つ患者満足度が上がりませんでした。せっかく効果が出せるのに、それはなぜだろうということから検討が始まり、今ではボディラインを考えながら治療計画を立てることが重要という結論となりました。
この策定こそがゼルティック/クールスカルプティングのポイントであり、そのためには部位を変えつつ5~6回の施術をする必要があります。総計30~40万円ほどの費用にはなりますが、これによりボディラインを整え、部分痩身は完成されます。
他にもアクセントウルトラというリンパの排出を促しつつ、脂肪細胞膜を破壊する機器において同様の考え方があります。リンパドレナージを組み合わせるわけですから、より広い範囲において有効な機器となるでしょう。
当院では導入はしていませんが、トゥルスカルプ・バンキッシュといった高周波機種もそれは同様です。
小範囲よりも広範囲の治療をした方が効果が分かりやすいというのが部分痩身の結論です。
ゼルティック/クールスカルプティング、世界的に主流となった凍結部分痩身機器で主に腹部周囲のスタイルを整える手法は日本でも今後は大きなトレンドとなることが期待されます。
そのためには痩身がダイエット・体重減少とは違う概念だという理解が必要でしょう。
日本においてはエステでの痩身が長年主役であり、どうしても体重減少・サイズ縮小ばかりが取り上げられていました。ボディスタイルを整えるというイメージが定着するには時間がかかると思いますが、それを理解した上で治療を受ければ満足度が高いジャンルの治療です。
当院でも実施をしてかなり長期間の経過を見ていますが、最近ではその効果は安定してきて満足度が上がってますので、この夏・秋で、はみ出た脂肪を何とか減らしたいと思っている方にはお勧めしています。
診察しないと分かりません:美容医療におけるメール相談の問題点
当院ではクリニックホームページ上で、メールによる相談を受け付けております。
一般的な内容に関して、差し支えのない範囲で回答をしているのですが、回答しても不満足だとかなり辛辣なメールを頂く事がありますし、より詳細なことを聞かれて答えに困窮することもあります。
診察もしないで、どのような状態なのか本人の文面だけで判断し、その上で治療方法や費用、改善の度合いを答えることはできませんし、それで済んでしまうなら、医療において診察やカウンセリングという行為は必要なくなります。
車を売りたいときの査定でも今やネットで受け付けている時代です。しかし実際には車を見て、傷がないか、状態はどうなのかを確認しない限り査定額は出ません。車種や年式を聞いて、本人の申告でドアに少し傷があるだけとか、それだけで査定額を決めて車を買い取ってくれる業者さんはいないでしょう。売る側が大したことがないと思っている傷でも、実は重大な欠陥につながる傷・へこみだってあるのです。エンジンが快調と思っても、実際にボンネットを開けてみると故障寸前のことだってあります。
生き物である魚などではもっと差が大きくなります。同じ「まぐろ」でも、個別に味・脂のノリは違うでしょうし、産地・保存状態にもより違いがあります。「まぐろ」としての味は共通ですが、どんな「まぐろ」でも同じ味ではありません。その「まぐろ」がどれくらいの大きさなのか、何を食べて育ったのか、どのような回遊をしてきたのか諸々で大きく違います。切り身なら、その部位によって筋っぽかったり脂が違ったり、冷凍したのか生なのか、言いだしたらキリがありません。
自分が魚屋だとして、見ず知らずの人が「近所の魚屋でまぐろを買いました。美味しいですか?」と質問したとします。産地や部位、見た目など素人が可能な範囲で文章にして伝えてこられても、おそらく回答としては実際にそのまぐろを見せてほしいと言うでしょう。それに自分の店以外で買ったものをどう答えていいのか、、、、悩むはずです。
そして食べてみないと結局のところ味は分からないのです。
肌質も違えば傷の治りも違う「人間」において、実際に診察してみないと答えられないことは多いですし、治療しても結果には個人差があります。
生きている「人間」は、ネットや電話でのやり取りだけ、それも本人の申告だけで全てが分かるものではありません。
延々と答えを求めてきて、自分の納得する回答となるように何回もメールを頂いても答えることはできません。時には(お会いしたこともないのに)誹謗中傷されてしまうこともありますが、やはり「医師として」回答する以上は調子の良いことばかり、本人にとって都合の良い答えになるようなお返事はできません。
メール相談は一般的な内容や当院での治療ご経過・相談に限ります。他院の治療後の経過やトラブルの相談、診察もしないセカンドオピニオンはできません。
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美容医療機器でリフトアップ
先日の日曜日は、リフティング&タイトニングシンポジウムで講演しました。
リフティング&タイトニングというと、一般の方は何のことか分かりにくいかもしれませんが、我々美容医療の業界では「顔の引き上げと引き締め」という意味になります。
引き上げと引き締め、何が違うのか専門家の間でも意見は分かれると思いますが、基本的には顔の形状を含めた上方や外側への移動が引き上げであり、引き締めというのは緩んだ皮膚を縮める力です。
例えて言うなら、一枚の皮を吊し、上下端を緩く固定しておいて、ひょいと上に持ち上げてピンと張る感じにするのが引き上げ、裏から熱を加えてジュジュッと皮そのものを縮めていくのが引き締めです。
ボリュームの変化は引き上げよりも引き締めに強く生じます。これは三次元的に組織が縮むためであり、引き上げのような二次元方向の動きではありません。そのため引き上げの治療機器の代表的機種であるウルセラシステムは2~3層の深さに分けて照射をおこない、二次元的な引き上げ効果を多層に渡って生じさせて対応します。一方引き締めの代表的機種であるサーマクールは三次元的にボリュームを縮めるゆえの小顔効果を有するのです。
このセミナーでの私の講演内容としてはこれらの理論的違いや機器別の照射深度に留まらず、より深部の脂肪や骨組織の加齢変化を補うべく糸によるリフトや注入剤による輪郭形成についても解説をしました。
いつも実際の診療で実践している内容でしたが、今回のプレゼンをまとめることで、自分なりにも整理ができました。
一緒に講演した先生方 左から
クロスクリニック銀座 石川浩一先生
私
クリニックF 藤本幸弘先生
新橋形成外科 新橋武先生
天神下皮フ科形成外科 加王文祥先生
さて、来週は日本美容外科学会(JSAPS)、私のフィールドにおける最も核となる学会です。3つのシンポジウムと1つのランチョンセミナーでのお仕事があり、準備に大忙し。今週末にもミニセミナーで講演が待っており、もうバタバタです。。。。
若々しい顔貌・綺麗な顔貌を作る:注入剤のセミナー
ブラジルからDr. Mauricio de Maioが来日し、5時間にも及ぶセミナーにてプレゼン・注入方法などについて講演してくださいました。
同社から招待された150名を超えるドクターが全国から参加したそうで、非常に盛大な会でした。
内容的には少量のヒアルロン酸にて綺麗な顔貌を作っていくための解剖・理論に基づいたテクニック解説で、近年世界的に主流となりつつある手法の一つです。
以前は局所を膨らませるだけの注入法であったものが徐々に面として全体を注入する手技に変化していき、近年は顔の加齢変化を理解した上で、自然に若く見えるように、綺麗に見えるようにと注入法は発展してきました。
頬を主とした注入と、さらには顎にも注入をおこなうことで、Vシェイプ・ハート型の顔貌を作ります。
頬への注入法は比較的浅い層に少量の注入手技でしたが、ヨーロッパ系の医師は深い部位(骨膜上)に注入をおこないます。アジアのドクターもやや深い部位に比較的大量注入をおこないます。医師それぞれの考え方の違いはありますが、基本的には加齢によってボリュームをなくした頬骨の部分を持ち上げたり、引き上げたりということが主眼という点では共通です。
今回は極少量を浅い部位・頬骨に沿っての注入でしたので、数ヶ月後もその効果が持続するのかという点や、やや頬外側への張り出しが強く、アジア人には適合するのかという点が気にはなりましたが、今後の診療に大変参考になりました。
顎への注入は現在当院ではレディエッセで実施をしています。顎の加齢変化を考えるとヒアルロン酸にて修正した方が良い変形部位もありますので、このあたりは今後はまた適応や組み合わせなどを考えて応用していきたいと思いました。
実は2009年に顎への注入によって若く見せることができるという発表を海外でさせて頂いたのですが、当時はあまり反応が良くなく、ちょっとがっかりだったのですが、今では頬への注入と合わせて顎への注入という手技が広く普及してきたようです。またもう一度このあたりは検討していきたいと思います。

講演会の後は仲良しのドクター達と飲みに行き、四方山話。。。。
そして日曜は、当院で導入したマイクロプラズマ&高圧超音波導入機器レガートのミニセミナーで講演。小さなセミナーでしたが、実際に機器に触り使用法を説明するという実践的なセミナー。
広範囲な傷跡やケロイドの治療に非常に有効であり、またニキビ&ニキビ痕の治療にも優れた結果を出せます。
さて今週水・木曜日は日本美容外科学会(JSAPS)が開催されます。前日夕方は評議員会に出席し、学会期間中は2つのシンポジウムと1つのランチョンセミナーで講演、座長も一つ務めさせて頂く関係上、9月2日午後から4日までの2日半、休診となります。ご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。