さて学会2日目。この日は私の発表はありませんので、お勉強。ただ、形成外科というのは美容だけをしている訳ではないので、美容医療領域はごく一部です。学会期間中には現在の自身の診療とは関係ない時間も沢山あります。観光に行って楽しむという手もあるのですが、私はその時間帯は業者さんのブース巡り。情報収集でした。もちろん得られた情報も多々ありますし、新しい機器を使わせて頂けそうな面白い話も幾つか。
お昼は日本料理店で業者さんと、ご高名な先生と会食。
午後は講演を聴き、幾つか質問をした後、夕食兼ねて打ち合わせ。歴史のある有名な中華料理屋で韓国から来た業者さんと、日本での販売権を取ろうと考えている業者さんとの打ち合わせです。
古くから付き合いのあるYujin氏は美人でキレモノです。
以前この機器を使用したときはピンと来なかったのですが、新しい機能がついたため再度説明を聞き、今後の計画を練りました。
2次会は、前々回ブログに書いた美容医師会に参席。公私ともに面白い話を沢山聞きました。こういった会では若手の先生方が多く、エネルギッシュさに押され気味です。自分自身、いつまでも若手と思っていたら、気がつけばかなり年上の方になってしまっていました。まあ医学部卒後25年目ですから。。。。
そして3次会では、年長の先生方とカラオケ。なぜかこちらの方がしっくり来ていたような。。。。
そして学会3日目。午前中はいくつか業者を訪問したり、教育セミナーを拝聴したあと、自身の発表です。いわゆる一般演題といって、自ら演題を申し込み、採択されることで初めて発表できるものです。セミナーなどの講演と異なり、自ら最新の知見を報告する一般演題は学会発表の基本中の基本であり、初心忘れるべからずということで、できるだけ毎年発表するようにしています。
今回は、ウルトラVリフトに関する発表でした。軟部脂肪組織構造をいかに利用して、本当にリフトアップさせるか、従来の方法との違い、自らの方法のメリットについて発表しました。質疑応答は本題と全く関係ない内容で時間を割かれ、ちょっと不完全燃焼でした。。。。
ということで、学会期間中は観光にも行かず、食事くらいでしょうか、現地を満喫したのは。
ただ、学会は金曜終了。当院は土日休診。あっ!!遊べる!
ということで、博多にも寄っていかんね?ということで、
親しくさせて頂いている先生方のお誘いを受け、福岡へ移動。
金曜夜は楽しく過ごさせて頂き、土曜の昼に帰京しました。
飯尾クリニックの飯尾先生、くろき・ひろクリニックの右田先生、河田外科形成外科の河田先生、赤坂クリニックの吉家先生、木下先生、そして久留米大形成外科の新進気鋭の女医さんお二人とともに。
第57回日本形成外科学会に参加して〜その3〜
コンビネーションリフトはじめました。
レストランでいうと、アラカルトでメニューから自ら選択して決めるのではなく、コース料理のように費用を固定し、幾つかの選択肢を設けつつも基本はお任せ頂くような治療法です。
たるみ系の治療で、ダイナミックな変化を得るためには、単独治療では不十分なこともあります。そして何より患者様自身が、どのような治療をしたいかではなく、どのような結果を求めるか、本来こちらの方が圧倒的に要望が高いものです。今までは治療法を提案し、それらの中から選択をして頂いていましたが、今回始めるコンビネーションリフトにおいては、どこを変化させたいのかを伺った上で、ベストな結果となるよう複数の治療を組み合わせていくことを前提とします。ヒアルロン酸、レディエッセ、ボトックス、ウルセラ、サーマクール、ウルトラVリフトなどを主として、同日併用治療です。それぞれの良い面を引き出しつつ、複合的に改善します。
従来の単独治療を組み合わせるのと何が違うのか?ですが、基本的にレストランのアラカルトとコースの一皿あたりの量が異なるように、アラカルト:単独の治療に比較して少なめの施術となります。
全てを全量実施すると過度になってしまうこともあるからです。トータルでバランスを取るのです。
例えばウルトラVリフトでは、土台を他の注入剤で作り上げた上で実施になるため、必要な局所のみを実施します。もちろん不足と感じれば通常どおりの挿入に近い実施もあり得ます。
一方、注入剤であれば何本注入するかにこだわらず、治療をしていきながら不足すれば少し追加していきます。事前に費用を決めていますので、1本程度余分に注入しても後で追加費用などは頂きません。あくまで最初の見積もりで費用を固定してしまいます。
通常半年から1年ほど持続する治療方法を主に組み合わせる手法で25万円(税別)を基本としますが、大量(3~5本)に注入剤が必要と考える場合には数万ほど費用が余計にかかります。サーマクールの併用は+10万円です。
コース料理のように通しで実施をして、結果として最善のものを得るようにします。
顔全体をトータルで引き上げる手法、つまり各治療の良い面を生かし、老化の基礎であるボリュームの増減と皮膚・脂肪の下垂の両面を改善する事で、ただ引き上げるだけではない、若々しさを再現する治療法です。
近年世界的に広がっている老化の概念、若く顔立ちを作る手法を、総合的にコンビネーションリフトという手法にて当院では実施していきます。
美容医療における国内承認のヒアルロン酸
昨日は、アラガン社が主催する新製品の発売記念講演会に参加してきました。ちょっとピンぼけ。。。。
皮膚注入材としてシワやくぼみの治療に用いられるヒアルロン酸のジュビダームビスタです。
今更ヒアルロン酸??と思われるかもしれませんが、実はこれまで全てのヒアルロン酸製剤は厚生労働省の未承認品であり、医師の個人的裁量によって輸入、注入治療に用いられていたのです。
厚生労働省の承認を得るためにはかなりの諸費用と手続を要するため、美容領域においては現実問題ほとんどの会社が承認を取ることをしませんでした。
アラガン社は世界的に大きな会社であるため、我が国における承認に意欲を燃やし、眉間の表情ジワ治療薬ボトックスビスタも承認を取った上で、今回はヒアルロン酸のジュビダームビスタの承認を取りました。
実際にこの製材については以前に使用経験があります。他社よりも1本あたりの容量が少ないことなどから、私自身は他社の製品を主に使っていました。品質や使い勝手で何か問題があったわけではありませんでしたので、今回承認品となったことで、少しずつ使っていこうかなと思います。ただ、当然ですが販売される価格によっては患者様に負担頂く治療費に反映される可能性があります。そのあたり、ボトックスもそうでしたが、大量に使用する際にはちょっと考えてしまいます。。。。
今は世界最大手のQ-med社の製品(レスチレン・パーレイン)などを主に使用しております。さて、この先、アラガン社の戦略はどうなるのでしょうか。
私自身、ヒアルロン酸だけではなくレディエッセ(ハイドロキシアパタイト製剤)も使用していますし、世界的にはこれらの同時使用や使い分けが重要になってきています。加齢による顔面構造の変化は、皮膚・皮下脂肪の下垂と、深部脂肪・骨の萎縮とされており、このことが近年非常に強調されています。注入治療がますます重要になってきています。もはや機器だけでアンチエイジングをカバーできるほど美容医療は容易なものではなくなりつつあるのです。ボリュームを増す治療は加齢を改善するには必須です。機器だけでは絶対に無理な点があるのです。
そんな中、承認された正規品が登場してきたことは歓迎されることです。日本における美容医療が発展する足場を作ってくれていると思います。
そんな私も、今度の学会でアラガン社ジュビダームビスタを主としたヒアルロン酸注入について講演をすることになっています。ちょっと力を入れて世界の最新トレンドなどを話せれば良いなと思います。
糸を入れてたるみを取るには。
某クリニックで糸を顔に入れた患者様がトラブルを起こして集団訴訟というニュースが流れております。
どういうものを入れたのか伝え聞いていますが、手技的な問題と費用と、説明不足とこれらが相まって問題となっている印象です。
基本的に、手技が良くないとトラブルの元になるのは当然ですが、特に棘付きの糸を顔面皮下に引っかけていくタイプは、強い効果を出そうとこめかみなどに引っかける処理をハードにするほど施術後の痛みが強くなります。かなりの痛みと歪みが生じた上に、金額が異常に高かったようですから、トラブルになったのでしょう。
当院でも糸を入れる治療(ウルトラVリフト)はしていますが、全く違うタイプのものであり、引っかけたり、こめかみに埋め込んだりはしません。短いタイプの糸を浮遊させて、引っかけることなく皮下脂肪を下から上に持ち上げ支える手法です。
今回のニュースでも分かるように、引っかけて外上方に引き上げるタイプの糸ではどうしても歪みが生じやすいものです。本来のたるみの方向である上から下への下垂を、生理的に逆らわずに下から上に上げていく手法の方がトラブルが少ないものです。
私自身が実施しているウルトラVリフトは、そのような点ではあまり大きなリスクなく、実施できますし、先日の日本形成外科学会において発表した内容というのは、まさにそういったトラブルを避けて、かつ自然にしながらもしっかりと結果を出していく手法でした。
棘付きの糸も有用性は高いのですが、きちんと入れないとトラブルの元です。私自身は、現時点では棘付き糸は最小限にするべきであると考えていますし、大半は棘のないスムースな吸収される糸を、固定点なく引っかけずに自然に挿入するのが良いと考えています。
コンビネーションリフトの理論:顔貌の見た目の若返り
当院では、ゴールデンウィークは土日祝日の休診で暦の上での平日は通常どおりの診療ですが、再診の短い時間枠も含めて全く空きがない状況です。お問い合わせが多く、その都度お詫びさせて頂いておりますが、何卒ご理解ください。
現在、初診は約1ヶ月待ちとなっておりますが、キャンセル等で予約の空き状況は変動します。お電話頂ければ最新の状況をもとにご予約をお取りします。
さて、
先日ブログにも書いたコンビネーションリフトについてです。
加齢では皮膚・皮下脂肪の下垂と深部組織(深部脂肪と骨など)の萎縮によって顔貌が変化します。この変化を、表面的な引き締めや引き上げと、深部へのヒアルロン酸・レディエッセの注入療法によって総合的に改善するのがコンビネーションリフトです。
自然な(外見上の)若返りを目指す手法であり、世界的な趨勢でもあります。
深部(骨の直上層)への注入によっても引き上げ効果を得ることができます。ほうれい線が改善するというよりはその外側にのしかかっている軟部組織の持ち上がりによって「若々しい」ほうれい線を作り出せるのですが、このことについて興味深い観察があります。なぜ注入によってそれより下方の頬部分が引き上がるのか、ずっと理由を考えていたのですが、どうも深部脂肪組織内にある頬を引き上げる筋肉(大小頬骨筋)が注入材による引き延ばしを受けて、その張力が増し、上方へと引き上げる力が増すのではないかと考えられます(この筋肉は下方では口脇に付着しています)。特に、筋肉の骨への付着部周囲を主として下方から持ち上げる力が働くと、自然に筋肉は緊張した状態となり、張力がアップします。そのために深部の圧迫痛のような一時的違和感が数時間程度続くのでしょう。今までは単なる圧迫のみであり、好ましいものではないと考えていましたが、この違和感こそが筋肉の引き締め効果なのではないかと考えました。
正しいかどうかは分かりませんが、そう考えると引き上がる理由が納得できるものとなります。
そしてその引き上げ力を維持するためにも、深部にウルトラVリフトのような糸を留置し、固定力を増すことも重要なのでしょう。経験的に得られた結果と理論が一致することで、また一つアイデアが浮かびましたので、それを最近実践しはじめ、さらに良好な結果が得られるようになりました。
コンビネーションリフトという考え方は、当院で注入系による治療をご希望される場合には非常に有効な手段となってきました。
実際に顔の状態を見ながら手法は変えていきますので、様々なバリエーションを持った治療法です。
注入材単独での変化の方が良い場合もありますし、ケースバイケースですが、そのあたりは受診されれば診察の上できちんとお話をします。
ヒアルロン酸注入学術モニター募集のお知らせ
学会発表の症例写真を要するため、プライバシー保全(目線隠し)のもと、ヒアルロン酸注入のモニターを若干名募集します。
ほうれい線、頬、目の下などの注入になります。注入部位は相談の上で決定しますが、基本的にはトータルでの加齢によるボリューム改善となり、複数部位を注入します。
費用は頂きませんが、写真の肖像権は当院に属します。ホームページ上でも公開することがありますので、その点は承諾頂く事になります(プライバシー保護の上)。
ご希望の方はクリニックの質問フォームから、注入モニター希望の旨と、お名前&診察券番号を明記の上、お申し込み下さい。
なお当院受診歴のある患者様のみが対象となります。
来院当日に実施となりますので、注入の経験がある患者様が主です。
5月中旬までに実施をしますので、来院日についてはある程度融通のきく方でお願いをすることとなります。
適否は当方で判定をしますことをご理解ください。
すぐに定員になると予想されますので、その点はご了承ください。
新しいアンチエイジング薬剤:いざ台湾へ
このGWは台湾に行ってきました。
もちろん家族サービスもありますが、仕事をしてきました。
Neo Asia社という台北の美容医療機器や薬剤を取り扱う会社が開発した新しい製品についての情報を得るためです。
新製品ができたので見に来てくれないかというお誘いがあったのです。
たまたま台湾の高雄で台湾皮膚科学会の美容医療領域の会があったらしく、それに来るのならということだったのですが、私はもともと参加する予定はなく、しかし新製品はやはり見ておきたいということで、予定を合わせて台湾に行くことにしました。
今回はこの会社が以前開発したBTD Essential Activatorという基剤を利用した製品で、様々な脂肪由来ステムセル抽出物を活性の高い状態で使用できる化粧品もしくはそれに準ずる製品群です。
詳細についてプレゼンしてくれましたが、まだここでは書けません。。。。
以前のBTD基剤はPRP(自己多血小板血漿)をフリーズドライにしたものを活性化するもので、PRPは肌の再生を促す治療としては世界的にポピュラーになってきており、発想は面白かったのですが、費用対効果では今一つでした(高すぎました)。やはり市場ではあまり芳しい評価ではありませんでした。
今回は満を持して、BTD基剤の利点を最大に利用した製品群であり、これは結構期待できる気がします。まだ世界各国での認可を取得しはじめたばかりであり、我が国ではまだ紹介もされていません。サンプルを頂いたので、少し使ってみて評価をすることになりました。
日本ではおそらくは化粧品として承認はされないで、薬品扱いとなると考えられます。
ただ、皮膚の老化に対するホームケアの一つとして、面白いかもしれません。
まだ日本での輸入代行業者は決まっていないとのことで、その点も相談されました。
会社前で一緒に記念撮影。
台北は美容医療のクリニック急増中です。
日本人の観光客も多いのか、日本語表記もあります。台湾は韓国と違い、割ときちんとした日本語表記が多いのですが、やはり微妙な誤りはあります。
ビヨウゲーカって。
老化による顔貌変化は機器だけで改善できる???
機器や化粧品、薬剤の直接作用は皮膚表層から数ミリの範囲内に限られます。もっとも深く作用するウルセラシステムでさえも4.5ミリ、皮下の浅い層の脂肪を越えるのが限界です。老化による変化を治療するためには、本来は深部の脂肪の萎縮や骨の加齢変形、皮膚・筋膜から骨をつなぐ靱帯(retaining ligament)などに対して何らかのことをしなければいけません。
もちろんそれには機器が無効です。
多くの場合、ヒアルロン酸やレディエッセ(ハイドロキシアパタイト)などの注入材でボリュームを増したり、ウルトラVリフト等の糸で下垂した組織を吊り上げたりと深い部分での変化が出せる治療を要します。
一部のドクターはこれをlayer treatmentと称し、深さに応じて各種治療を組み合わせていく手法を勧めています。当院でも機器や糸、注入材を組み合わせる方法を、コンビネーションリフトと呼称して費用固定として受けやすくしました。
ただ、このような深部組織の老化を考慮するということについては、医師の間でもまだまだ認識が不十分です。機器を照射すれば、それだけで老化が予防でき、加齢変化は全て改善可能であるというのは大きな誤りです。あくまで「表層」という条件がつきます。
私自身はアンチエイジングに関しては非外科的な治療を主に組み立てていきますが、機器だけで全てがカバーできるとは毛頭思っていません。だからこそ注入系や糸などを用いた治療法に関しても情報を集め、最新の治療手技を身につけるようにしています。
もちろん一般皮膚科を主にしていて美容を少し実施しているクリニックでは、注入や糸まで手を出していくことは難しいですし、それを主にすることは時にはリスキーだと思います。
しかし当院のような美容が主のクリニックでは、機器や薬剤だけでは見た目のアンチエイジング治療は完結しませんでの、機器や薬剤とともに注入材・糸を用います。
また美容のうち外科を主としているクリニックでは、機器によるマイルドなものではなく手術を主とし、注入を組み合わせたり、時には脂肪注入もおこなわれています。
それぞれのクリニックの特徴を考えると分かりやすいでしょう。
機器治療によってシミなど色素系の改善を得るだけではなく、肌の張り感や引き締め感を感じ、満足する方も多いでしょう。しかしそれが全てかというと、そうではありません。注入系などの治療をする事でさらに深部の変化も得ることはできるのです。
ただ、これは患者様個々の考え方、希望次第なのだと思います。
注入系や糸、手術は避けたいという人は、機器や薬剤で出来る治療というのは皮膚~浅部皮下脂肪の変化に限られると理解して頂く必要がありますが、これをきちんと理解して頂ければ、機器治療というのは非常に気軽で有効な手段です。
しかし、医師が患者希望を無視して制限をかけてしまうのは良くないでしょう。機器は魔法ではありません。出せる変化は表層に限られます。美容を専業とするなら、注入系や糸などをきちんと使えるだけの技量も必要となります。もちろんどのような製剤を使用するのかは医師それぞれの考え方があります。全てを使う必要はありません。レディエッセの硬さなどは好みが分かれ、使わない人もいます。
但し、これらの話とは別に老化の予防・マネージメントとしての機器治療があります。テノールなどの痛みを伴わずに緩やかに熱を深部に生じさせる機器です。このタイプの場合、治療をお受けになった方はご存じのように熱影響は深部まで及びます。皮下脂肪層だけでなく、筋層まで広範囲に熱影響を及ぼし、老化の予防的作用を生じさせます。
瞬間的に熱を与えるタイプの機器と違い、持続的に照射していくと深部まで影響を与えることが可能となります。当院でも最も評価の高い機器の一つです。
ただ、大きな効果を得るタイプではないので、その点は注意が必要です。
それでも輪郭の萎縮が改善する事は、やはり残念ながら難しいのです。
PR: キヤノンA4レーザー複合機!価格.com内で大人気!
直接シワを焼灼する新しい高周波機器
昨日は新しい機器のテストでした。
高周波を用いて皮膚内からシワの局所に狙いを定めて焼灼し、引き締める機器です。ヒアルロン酸の注入なども同時に行えます。
以前からこの手のタイプの機器はあり、当院でも実は所有していますが、実際に使用してみるとパワーが弱すぎて、あまり意味がないということで使用していません。
今回の機種は、例えば食肉片に直接当てるとジュッと焼けて蛋白が変性してしまうようなハイパワー機器です。
3月に韓国に行って、この治療の実際を見てきました(ブログ参照)ので、昨日は本邦初の臨床試験です。もちろん患者様にはできないので、業者さん自身や身内の人にトライ。
物理的に先端の鈍な針を皮膚の下にプスッと刺して、高周波を流します。それにより直接真皮を焼灼、即時の引き締め効果と長期のコラーゲン増加を生じさせます。ジュッと焼ける感覚は、皮膚の下に同様に刺し込んで焼酌する機器アキュスカルプ(当院導入済み:脂肪融解レーザー)でも得にくく、皮膚の下面を焼灼するにはこの機器は非常に優れている印象でした(脂肪融解機器ではありません、念のため)。
今回は焼灼するだけでしたが、ヒアルロン酸注入を同時におこなうと効果も長持ちするとか、まだまだ色々とテストが必要そうです。
治療後の腫れも少なく、痛みは局所麻酔のため殆どなく、日本でも受け入れられそうです。
額のシワや首のシワ、ほうれい線などにテストしましたので、その安全性をもフォローしていきます。焼け具合を間違うと皮膚自体のダメージが大きくなりそうですし、その点は日本人向け設定が不明ですので、慎重に見ていかなければいけません。
新しい機器を借りるだけで感覚的に分かる部分もありますが、実際に国内外のメーカー・業者と一緒にその安全性や出力などの設定を検討していく作業、時間はかかりますが面白い仕事です。それが上手くいった後に我が国で機器が多数輸入されていくと、やりがいを感じます。
PR: まだ仲介手数料を払ってますか? 2014年ですよ?
美容医療機器の経年劣化
よく、古いレーザー機器は出力が落ちて効果が薄くなるというのは本当かと聞かれます。
この話、本当のようで間違っています。
レーザーのような光学製品は、古くなるとレーザーヘッドという部分の性能が落ちていきますので、パワーは出にくくなります。しかしながらキャリブレーションといって、機器の表示する出力通り出ているかどうかを確かめている機能がついており、機器立ち上げの際に毎回それをチェックする製品も多いものです。つまりパワーが出なくなってきても、エンジンを強く動かして表示パワーを出すように機器が調整しているるので、結局照射エネルギーは変わらず効果も変わりません。その上、メンテナンスをきちんとしているクリニックであれば定期的に保守点検をして、必要とあればレーザーヘッド(エンジン)そのものを交換します。
フォトといわれる機械も同様です。ただ、安価なタイプの多くはキャリブレーション機能は付いていません。しかし殆どの機器ではハンドピース(照射部分)の照射可能発数制限がありますので、時期が来たら取り替えます。そしてこのハンドピース部分に出力に関する機能がほぼ集約されていますから、完全ではありませんが、ここを交換すれば出力の大半は回復します。
つまりキャリブレーション機能があれば、古くなったらパワーダウンということは回避できますので、通われているクリニックの機器が古いから効果がない、近くにできた新しいクリニックにかかった方が良いと判断するのは早計です。
優れた光学系の機器は、古くなっても十分なエネルギーを発振できます。
ただ、あまりに機器が古くなると各種部品のへたり等も生じてきて、パルス形状にブレが生じたり、安定した出力を出せなくなることもありますので、そのあたりは限度があるでしょう。機種にもよりますが7~15年がメドになるのではないかと思います。
車と同じですね。ベンツみたいな機器は長持ちしますし、古くなるほど安定することもあります。二流の機器は、古くなると??です。
もちろんレーザーメーカーさんとの保守契約を結べば不具合はほぼ修理してもらえるので、その場合、気がつけば主要駆動部品は全て交換済みということもあります。これなら外見は古くても中身は古くないのです。
キャリブレーション機能がついていない機種では、パワーが落ちているのを知らずに医療側が使用していたなんてこともあり、患者サイドで効きが悪いと感じたためにそのような疑問が生じているのでしょう。
ただ、これも車と同じく、最新型を使用すると様々な機能向上が図られており、スタンダードな機器であっても私は買い替えるようにしています。目新しいものだけを買い足していくのではなく、スタンダードな機器を用いた標準的治療に対してもより良い結果を求めていくことが重要です。
新しい美容医療機器:今月の弾丸韓国出張
週末は新しい美容医療機器の情報を得るために、韓国へ。
今回は毛穴に強力なジェット水圧をかけて薬剤を導入する機器の新型が登場したということで、日本で輸入代行を考えている業者さんと一緒に視察です。
羽田から出発。
さて、この機械、毛穴から薬剤が入っているというのが体感できます。ゆっくり動かすと痛くて、早く動かすと痛みが軽減します。小さな点状のもので何か中の方へ押し込まれているような、そんな感じです。結構ヒリッとするので、顔中擦られて赤くなっているのかと思えば全く何の変化もなし。
今回の新型はその上に電荷をかけていきます。これは通常の各種機器のように電極を直接肌に当てるのではなく、薬液自体が運んでくる電荷によってエレクトロポレーションのように角質に薬剤の通り道を作り、その上でジェット水圧をかけることで、しっかりと薬剤を深部まで届けることができるようです。
おそらく毛穴の中に押し込む力(水圧)だけで無理矢理孔をこじ開けるのではなく、電気的な作用をかけてあげて通り道を作った上で押し込む圧をかけていくのでしょう。
以前の機種よりも薬剤が皮膚内に入っている感がしっかりとあり、私は顔半分施術したのですが、違いが分かりました。直後から赤みもありませんし、張り感や質感の効果実感ということで、案外良いかもしれません。
数回の施術で効果持続とのこと、知り合いの韓国人ドクターに聞いても評価は高いようで、さてまた新しくほしいものが増えたなという状態です。
私が懇意にしている韓国の業者さんということもあって、機器をしばらく貸し出してくれるようです。また当院に入ったらモニター募集するかどうか検討します。
ということで、夜は美味しい食事。
穴子?が泳いでいました。
鉄板焼きになって登場。美味しかったです。
美容外科医の目から見たビューティーワールドジャパン2014
今週の月曜から水曜、お台場の国際展示場でビューティーワールドジャパン2014が開催されていたので、クリニックの昼休みを利用して、情報収集のために行ってきました。
この展示会はエステティックサロン向けの展示・商談会ですが、時によく分かっていない海外の業者さんが医療向けのものを展示したり、医療向け機器を販売している会社のエステ部門がブースを持っていたりします。また化粧品でも時に目新しいものを展示したりもしますので、情報収集には侮れない催しです。実際に多くの同業ドクターや美容ライターさん達も来場されていました。
以前、この展示会で医療向け製品を見つけ、日本への輸入などに関して少し関わったりしたこともありますし、今回もいくつか面白いものがありました。
ただ、光脱毛機関連がかなり減ったなという印象です。そのかわりに光を用いた美顔(安全な弱い光)の機器が多数展示されていました。やはり近年続々と逮捕者を出しているエステの脱毛ビジネスは徐々に縮小していくのでしょう。そのかわりに、世界的にエステで標準と言えるフェイシャル・ボディトリートメント・SPAへと我が国も移っていくのでしょう。それが自然であると言えますし、本来の姿です。瞬間的に儲かるビジネスよりも、長期的に安定して、かつ事業規模拡大が順調なビジネスに軸をおくべき時代になったのだと思います。これで医療側がきちんと棲み分けして、共存ができれば、我が国の美容関連産業は健全化し、世界に誇れるものになっていくと思います。官民でこのような方向に舵取りしていく必要があります。その中で我々美容外科医のできることはなんでしょう?少し考えてみたいと思います。
ブース巡りをしていると顔なじみの業者さんを見つけ、エステ部門の機器をちょっとテスト。
リツビさんはすごく大きなブースを出しており、立派でしたし、韓国の Eun sungもかなり大きく、他にも協力ドクターを前面に出した業者さんとか、見ていて面白かったです。
さて、この展示会、医師法、薬事法は国際標準ではありませんので、国によって医療向けだったり、そうでなかったりと異なってしまい、海外からの出店業者や、法律を理解していない国内の輸入業者さんが多数います。えっ、この機械をエステに販売したらトラブルが生じるし、場合によっては逮捕されるんじゃないかというものもありますが、質問すると「安全ですので大丈夫です、パワーは落としています」という回答があったりします(販売している方も分かってないし、違法行為とは思っていないエステ商法)。でも実際に設定を見てみると、我々が使う出力と同じ!、トラブルが起こったら確実に医師法違反に問われます。それなのに、そんな口先の説明で機器を売られたら、エステティシャンの人は大変です。かなり法に熟知していない限り、トラブルが起こって警察が動き、捕まったあとで、危険性を認識していなかったという状態になります(毎年何人ももエステ関係者が逮捕され、大体はこんな感じになっています。。。。)
まあ何はともあれ、医療系の学会と異なり、華やかで楽しかったです。
ニキビ跡の治療
先週末は世界最大の形成外科・皮膚科領域レーザーのメーカー、キャンデラ社のユーザーズミーティングで講演しました。
私以外に東海大学准教授の河野太郎先生、元町形成外科の橋田直久先生、咲くらクリニックの小林直隆先生の4人の演者によるパネルディスカッション。座長は東海大学形成外科教授の宮坂宗男先生でした。
私の講演はニキビ跡治療についてでしたが、そのあとは肝斑やアザなどの治療を含め、どのように治療をするべきなのか、自身の工夫などをディスカッション形式で討論するセッションでした。
キャンデラ社の機器に関しては国内での第一人者の先生方と一緒のセッションだったので、論じている間にどんどんマニアックな内容になっていきましたが、とても勉強になる討論でした。
当院では、ニキビ跡の治療にはハードな手法としてのレーザーアブレージョン(皮膚表面を削り取る方法)、3種類のフラクショナル炭酸ガスレーザー、そのほか2種類のマイルドなフラクショナルレーザー、マイクロプラズマと高圧超音波導入による治療機器など様々な手法を用いています。
そのなかで、キャンデラ社の製品はフラクショナル炭酸ガスレーザーCO2RE(コア)です。
この機器は、フラクショナルつまり微小な0.15ミリ径のレーザーを高密度に多数照射し、微小な傷を作って、表面を削りつつ熱作用と治癒力によってコラーゲンの増加を促し、ニキビ跡のくぼみをなだらかにする作用があります。それに加えてより大きな面状のスポットでニキビ跡のエッジをそぎ取っていくfusion modeという機能を持っています。
フラクショナル炭酸ガスレーザーでは、より熱作用が強いeCO2がスタンダードなラインとして用いていますが、ニキビ跡のエッジが硬くて盛り上がりが生じにくい場合にはCO2REは非常に有効な手段であり、赤みや色素沈着が長引くなどのマイナス面はありますが、ハードな分だけその効果も大きなものです。そのうえ、CO2REはかなりマイルドなdeep modeという照射パターンも有しています。
最近ではより熱作用がマイルドな高出力型スーパーパルスのAcupulseも加わり、状態による使い分けや組み合わせが(よりマニアックに)多種多様となってきましたし、レガート2(マイクロプラズマと高圧超音波導入機器)によって、肌に強い張り感を与えて改善を促しつつ、炎症性にきびを殺菌、沈静化させるという効果を得ることもできるようになってきました。
しかしそれだけの治療があってもなお、ニキビ跡を完治させることは難しいものです。軽減はできますが、完全になくすことはできません。もっとも効果が高いのはレーザーアブレージョンという、皮膚表面をそぎ取ってしまう手法になります。ただ、この方法では数ヶ月から年余にわたって皮膚表面に強い赤みや色素沈着が生じます。表面をそぎ取るのですから転倒して激しく擦りむいたのと同じなのです。ただれたように肌は変化し、じくじくと浸出液が出て、真っ赤になっていきます。強く削りすぎるとヤケドあとのようなテカった皮膚になります。治療後しばらくはかなり痛みが強いですし、仕事をすることには相当な制限がかかりますので、通常の仕事をしている方には無理な治療法です。
年間数人程度がこの方法を選択しますが、相当な覚悟を持って受けて頂く必要があるのです。
そのなかでフラクショナル炭酸ガスレーザー治療というのは、それなりの結果を出すことができますから、今やレーザー治療の主流とも言えます。
但し、このレーザーは適当に照射しても効果は出ません。強く削るべきポイントはしっかり、リスクのある部位は軽く、また正常との境目をぼかすなど実に様々な工夫を要します。メーカーの推奨出力どおりでは殆ど結果が出ないのが現状です。それだけに医師の腕が問われますし、真剣勝負でもあります。それでもなお、全員の方に満足を頂いているわけではないのです。
今はレガート2の登場によって、炎症期からニキビ跡に移行するような慢性ニキビの状態までカバーできるようになっては来ましたが、まだまだ探究していかなければいけません。。。。
PR: 夏に向けたエコ活動 グリーンカーテン-政府ネットTV
産学連携と新しい機器
週末はまた慌ただしく過ごしていました。
土曜は、浜松へ。ご縁があって静岡大学イノベーション社会連携推進機構の清水一男准教授の研究室を訪問しました。将来有望な新しい機器を見させていただき、今後どう美容分野で使っていくかを探るのが目的です。
新しい機器とはいえ、まだ医療機器として認可を得ている訳でもなく、研究室レベルでの話なのですが、美容への応用の可能性について説明頂き、その中で我々の領域で使えそうな機器の試作品を、当院でもテストすることになりました。様々な制約はありますが、大学の研究施設でじっくりとデータも取られており、理論は間違いありませんが、あとは「人の目で見た」「人に対する」効果が得られるかどうかの評価になります。
まず第一弾は、ドラッグデリバリーの革新的な手段になり得るかどうか。私の頭の中にもアイデアはいっぱい浮かびました。
ちょっと機器を見せて頂きました。私の手にプラズマが照射されている状態。電離した粒子が当たっている~という感じで、快感です。
静岡大学では産学連携を主として考えたイノベーション社会連携推進機構という組織があり、産業応用を常に念頭に置いて、様々な実験がなされています。そういった意味では、今回の交流で、何か一つでもお役に立てたら良いなと思います。
そして何より、私の子供と年齢が変わらないような学生や院生が実験しており、頑張れ~~と応援したくなる感じです。
せっかく浜松に来たのに鰻も食べず、うなぎパイだけ買ったら新幹線に飛び乗り、京都へ。
日本皮膚科学会に参加してきました。
今回はランチョンセミナーでの講演を依頼されており、皮膚科の先生方に美容医療機器の基礎理論について広く浅くお話をしました。私の担当は堅い話でつまらないかなと思いましたが、同じセミナーで東京女子医大青山女性医療研究所の根岸圭先生の素晴らしい講演があるとあって、満員御礼。
もちろん学会の時は、夜は全国から集まる先生方と飲み会。。。。
みんなではじけて、深夜まで飲めや歌えの大騒ぎでした。
やや疲労を感じつつも講演を無事済ませたらその足で新幹線。
しばらく慌ただしい週末は続きそうです。
PR: 貯蓄性重視の学資保険(無配当)新発売!
老化に抵抗する
当院では加齢に伴って生じるシワやシミ、たるみなどの治療をおこなっています。
これらは永久に効果が持続するものではありません。
加齢に対する予防も重要となります。
普段のケアとして日焼けの予防や保湿も重要ですし、肌に過度の(誤った)刺激を与えないことや運動、食事、睡眠、ストレスなど、実に様々な方面から対策を打っていかなくてはなりません。
しかし、老化を止めることは出来ません。加齢現象は慢性の進行する病気みたいなものです。
その中で各種治療はどのような役割を担っているのでしょうか。単なる対症療法的な、現在の悩みをなくすだけの一時的なものでしょうか?
よく、美容医療で若くなってもそれは意味がない、一時的なものだからという意見も聞かれます。
もちろんそのような治療も多々あります。そして主たる効果は一時的なものが圧倒的に多いでしょう。何より外面だけではなく、内側からのアンチエイジングが最も重要なことは言うまでもありません。
ただ、各種治療にも最近では抗加齢作用があることが分かってきました。
経験的に最もそれを感じるのはテノールなどの高周波でじっくりと加熱するタイプの機器です。夕方に疲れて見える顔が改善するなど、代謝の亢進及び様々な熱による各種活性物質の放出などと相まって顔のたるみ、肌の老化の進行を穏やかにします。理論もそうですが、もう7~8年実施している患者様の実際の評価です。
他にも光治療(当院ではICON)の定期的照射によって、コラーゲンの構造などが改善され若さを作り出すことができるとされています。もちろんシミなどメラニン系の沈着を軽減し、遺伝子情報が狂った表皮のメラニン顆粒を持つ細胞を絶えず破壊し光老化から肌を守ります。但しずっと毎月のように照射すると過剰であり、ヤケドのような肌質としては綺麗とは言えない状態になるので、年間3~4回が適度と考えます。これには医学論文による裏付けがあるので、肌表面のアンチエイジングには向いていると言えるでしょう。
またヒアルロン酸やレディエッセの注入、糸によるリフトアップによって、その周囲にはコラーゲンが増加するとされています。レディエッセでそれは顕著ですが、増えたコラーゲンは当然肌の張り、支えになります。
サーマクールやウルセラのような機器でも、熱による破壊とコラーゲンの再構築が起こります。
全ての治療は理屈の上では何らかの老化を抑える効果はあると考えられます。つまり1回だけ実施してあとは何もしなかったら無駄かというとそうではありません。
但し、それが目に見えてというものではなく、残存する長期効果は微々たるものとなる治療では、結局は効果を得るためには定期的な施術が必要となるのです。
むしろテノールやIPL(ICON)の施術のようなものこそ、長期に老化を抑える手法として、長い間続けていくと良いでしょう。テノールは深層部、ICONは浅層部です。
「どうせ効果は持続しないし、年は取っていくんだから諦める」という考えもあるかと思いますが、
例えば
「どうせ汚れるから家を掃除しても無駄」と考えて全く掃除しないなんて言う人はいないと思います。毎日掃除する家の方が月に数回掃除する家よりも汚れはこびりつかないし、何より家が傷みません。
それが目に見える効果でなくてさえも、きちんと日頃からケアをしていくことこそが重要です。ダメージを受けたら取り返しがつかないのです。
若い頃から一生懸命努力して若さを保っている人がいます。年を取ってから、お金に糸目をつけないので若く戻してくれと言っても、同じようにすることはできません。似たようにはなっても、若さを維持している人には勝てません。