この1年、我々の業界ではピコ秒レーザーが世界的な話題になっています。
数百ピコ秒という短い時間だけ発振されるレーザーです。
具体的には375~750x0.000000000001秒という、光が10~20センチくらい進む時間です。
光は1秒間に地球を7周半進むとされるので、その短さは驚異的です。
従来はナノ秒のレーザー(ピコ、ナノ、マイクロ、ミリ秒の順です)が最も短い時間発振される機器でした(Qスイッチレーザー)。それよりさらに短いピコ秒となると、レーザーによる熱発生(光が熱に変わる作用)は殆どありません。ごく小さな物質内でのみ熱が発生して消えてしまいます。
そのため周囲への熱影響は皆無であり、またあまりに瞬時に熱が発生するので強烈な熱膨張が生じる,破壊力が強い可能性があります。さらには光の衝撃によって発生する音響的な効果(光音響効果)も非常に強くなったり、瞬時のエネルギー(ピークパワー)の強さからプラズマのような高エネルギー状態が発生するともされています。
医学分野では入れ墨治療に非常に有効であるという報告が多いです。その瞬発力、小さな物質への熱作用で、粒子の細かい入れ墨の色素をバラバラに分解できるのです。
医学分野以外では、熱発生が皆無なため、クールレーザーとも言われています。燃えやすい物質への工業的な加工が出来ますし、非常に微細な形状、薄い物質への加工が可能です。
これが人に対してどう有効なのか,入れ墨以外にも色々考えられます。
炎症の発生がどれくらい抑えられるか(シミ治療後には非常に重要です)
瞬発力によってメラニンなどを含む細胞が刺激されることなく破壊されるか(アザや肝斑治療)
肌にあるメラニンの一掃(日焼け肌や地黒肌,肌のbrighteningなど)
微細な組織形状の変化(デリケートな場所や細かい皺)
強烈なパワーによる非熱的な機械的・音響的な組織破壊と再構築(肌全体の若返り,ニキビ跡)
これら諸々において、ピコ秒レーザーは有効であろうと考えていますが、現状ではまだまだデータがありません。日本国内ではオフィシャルに公開されているデータは皆無です。
入れ墨以外にもどれだけ有効なのか、そのデータがないと日本などアジア各国では流行しない機器でしょう。
今現在メジャーなところで4社がこのピコ秒レーザーを発売しています。全ての機器を見て、幾つかは使って、さあどれにするか考えていこうと思います。
今日からは以前お借りしたPicosureに引き続き、Picowayを試用します。
発振波長が違う2機種で比較してみます。
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ピコ秒レーザーとは?
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