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Channel: 美容外科開業医の独り言
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治療手技をもう少し評価するべき

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先週末はヒアルロン酸の注入勉強会。テクニックシェアと言って、ヒアルロン酸を実際に注入しながら、ドクター間で指導、ディスカッションするというセミナーの仕事でした。この手のお仕事を毎月のようにさせて頂いており、初心者の先生からプロフェッショナルの先生まで、様々な手技を拝見させて頂きながら、自身の持っている技術を教えたり、逆に教えられたりと、最近は注入剤関連のお仕事が増えています。


さて、患者様へのカウンセリング時に良くあるのですが、例えば糸で頬を引き上げようと提案すると、それは他院で実施したが効果なかった、別の方法でというふうに言われてしまうことがあります。

美容医療においては、ある特定の治療法を提案するだけで、同じものは医師が異なっても効果は同じと考えてしまいがちです。
風邪薬など誰が処方しても成分が同じものと異なり、技術が違えば効果も違います。例えば顔のケガをしたら、誰が縫っても同じと考える人はいないと思います。研修医よりも形成外科の専門医や美容外科医に縫合してもらいたいと思うはずです。使用する針糸や縫合の道具が同じだから誰が縫合しても同じとは考えないでしょう。
使用する道具、機器が同じでも、施術する人が異なれば効果は異なります。特に注入剤や糸の処置などは製剤よりも医師の腕の差が殆どです。
スレッドリフト(糸によるリフト)の名称は各種あり、名称だけで治療効果を決めつけるのは正しくありません。棘(コグ)のないタイプにおいては特に効果の差が著しく、きちんと施術すれば頬中央部はしっかり上がりますが、初期の方法では殆どリフトアップ効果はありません。

機器においても、最もベーシックなシミ取りに関してでさえ、機器による差も大きいので、最も適した機器を選択するために何種類も当院では用意をしていますが、さらには照射する出力や照射方法などによっても差が出ます。肌質によってもかなり左右され、実査の治療は非常に難しいのです(ほくろ治療などは同じレーザーと言っても外科的なイメージがあるのか、技術的な差を患者様は認めているようです)。
たるみの治療器は、例えばウルセラの照射方法などはクリニック毎に大きな違いがあります。サーマクールはウルセラほどの差はありませんが、当然ですがクリニック毎の工夫があります。誰が照射しても同じ、看護婦の照射でも大丈夫ではありません。
フラクショナルレーザー(eCO2など)のハードな治療ですと、高出力でしっかり照射をしたいのですがリスクとの兼ね合いがあります。肌の状態を見ながら臨機応変に照射方法を変えていくなど経験と技術からなる様々な手法をもって、許す限りの高エネルギーを肌に与えるようにします。この機器はおそらく医師によって結果の差が最も大きいタイプです。

もちろん差が出にくい機器もあります。レーザー脱毛などでは通常は効果にさほど大きな差が出ず、むしろトラブルを生じた時の対応、効果がなかった時の処置などでは差が出ます。

最近、様々な治療機器の情報がネット上で簡単に手に入ります。しかし機器の評価だけで治療法を決めつけるのは問題です。多くの医師が効果に否定的な意見を持っている機器でも、上手く使いこなして非常に良い効果を出す医師もいます。医師の経験や技術なども含めて、きちんと評価をするべきでしょう。

各種治療においては、最も重要なのはどう使いこなすか、です。
そのベースに理論があり、また経験や専門医としての技術、知識があります。






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