最近、ネット上では歳を取ると「劣化」と言われるそうです。
女優さんなどの顔が昔より歳を取ったら、劣化だそうです。
「物」ではないので、劣化という表現はいかにも現在ネット社会らしいと思います。
またそのようなことを真に受けて、自らをいつまでも若く保とうとすることは避けるべきです。
もちろん、アンチエイジングする事は重要ですし、治療によって若々しい顔貌になることは非常に喜ばしいことです。
しかし、無理な若作りや極端にバランスが悪い造作の変更は好ましいものではありません。
ヒアルロン酸の注射において、頬に入れましょうと提案すると、テレビで見た女優さんみたいに顔がパンパンになるのは嫌と言われることがあります。
老化とは、骨が縮み、脂肪が下がり,皮膚が伸びて下がっていく,大まかに言うとそんな変化です。縮んだ骨の位置を解剖学的に理解して正しい部位を適量膨らませれば若々しくなります。しかし、やみくもに膨らませたあげくに、たるんだ皮膚までも膨らませてしまうと顔は大きくなります。さらには少しヒアルロン酸が残っている状態で、どんどん追加追加で注入していくと、頬が膨らみすぎて目が小さくなって見えます。いわゆる「ヒアル顔」です。
ヒアルロン酸を注入すると全員がおかしな顔になるのではありません。正しく、そして無理せずに注入すれば若々しい顔になるのです。
伸びてしまった皮膚は無理しすぎず、時には機械で引き締めたり、糸で引き上げたりしないといけません。
逆に機器だけで一生懸命引き締めても完璧ではありません。
注入も機器も、糸も全てをバランス良くおこなって、若々しい顔を作ることをコンビネーションリフトと称して、私自身は好んでおこなっています。
もちろん老化は止められないので、それをいかに軽減させるか、周りから見ても綺麗にゆっくりと老化していくというスタンスも考えておくべきでしょう。
人は劣化しません。歳は取ります。その際に綺麗に歳を取っていくことこそが重要です。「若々しい」ことはシワ一つない顔ではありません。
「若作り」の方が痛々しいことも多いのです。不自然です。
よく、あの芸能人は最近顔が変だと噂になる事があるでしょう。
一方で「噂にならないほど」自然な顔立ちであれば、それが年老いて見えるかというとそうではありません。噂にならないほど自然に、綺麗に若々しく作り上げていく治療こそが,我々の腕の見せ所です。
張りぼてのアンチエイジング、仕事上頼まれれば実施はしますが、それよりもバランスの良い,自然な若々しさを作り出すこと、これを念頭にいつも治療をおこなっています。それはヒアルロン酸などの注入治療だけでなく、機器、糸、手術さえも。
この方針に賛同頂き、10年以上通院して下さる患者様が大多数です。
同じ機器、同じ名称の治療ならどんな医師が治療しても同じ結果になるわけではありません。医師の考え方、スタンス、そして技術などによって大きく結果は異なります。
もちろん私の考えが気に入らない人もいるでしょう。「相性」があります。
ただ、私の治療に関する考えを理解頂ければ幸いです。