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Channel: 美容外科開業医の独り言
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エランセという注入剤:bio-stimulator

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昨年からトライしている新しい注入療法があります。日本では殆ど普及していませんが、アジア各国では最近よく耳にするbio-stimulator、つまり生体を刺激してコラーゲンなどを作り出す注入剤のテクニックです。

もともと、newfil、sculptraといった名称のPLLAポリ乳酸系注入剤が自己組織を増殖させてシワを持ち上げるということで使用されていました(台湾などではポピュラーです)が、腫れやしこりなどの問題もあって、日本では全く流行しませんでした。今度はエランセという注入剤を用いた方法です。エランセはPCLという、吸収糸の材質をパウダー状にして水やグリセリンなどと混和して作られた製品で、鼻や顎を作る硬さある注入剤として我が国でも輸入・使用されています。材料としては一般医療での長期安全性が担保されているので、その点は安心です。

エランセはPCLを細かなμmレベルの粒子にしたもので成り立っているため、その一つ一つの粒子周囲に線維芽細胞からコラーゲンが出されていきます。PCL自体は1年〜4年(製品による)で吸収されます。

数年前からアジアの学会で何かと話題になっていました。私自身、何となく気にはなっていました。

レディエッセを用いる手法もあるようですが、異物による刺激という意味合いではエランセの方が強い効果を期待できます。友人ドクターからそれなりに良いという話も聞いていたため、業者さんに問い合わせたのですが、皆さんbio-stimulatorを知らないとのことで、じゃあ見学に行こうということになりました。

 

昨年秋に、韓国に見学に行き(その時のブログはこちら)、実際の手技を学んで帰国後早々にテストをしていました。コラーゲン増殖に3ヶ月かかるということで、最近になってやっとその評価も得られるようになりました。

bio-stimulatorとしての注入手技では、ボリュームとしての増量効果はありません(ただし、範囲を限局して入れると、通常の注入剤と同じく材質そのもので膨らみます)。薄くばらまくように注入すると、コラーゲン増殖のみの効果になりますが、肌の張り感などが出るようです。

よく考えると、このPCL,糸によるリフト手技と同じ材質です。これらの治療後は肌の質感が良くなり、張りが出ます。引き上げるだけではなく、この張り感が良いと言う患者様もいます。これは今まで糸による刺激でコラーゲンが増えると説明はしていたものの、正確にはbio-stimulatorなのです。

この効果はあなどれません。

目の下や目尻、額などにも用いる事が出来ます。額の形状を変えずにコラーゲン刺激で小じわを改善する方法となります。ボトックスのような動きを止める治療が嫌いな患者様には向いているかもしれません。

 

ただ実際にある程度の症例を経験してみて、期待していたほどシワが「消える」手法ではないようです。張り感や質感の改善、まさに全体のコラーゲン増生効果でしょう。

PRP(自己多血小板血漿)と比較すると良いのかなと思っています。

結果をコミットできないということで、ずっと秘めていたのですが、最近沢山のドクターがこれを学び始めたため、そろそろ情報公開。


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